短編2
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声と照明

ある男性の体験談です。

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AIスピーカーってあるじゃないですか。

「音楽流して」とか、「テレビつけて」とか言うと家電を操作してくれる、あれです。

そのAIスピーカーをこの彼も使っていたんですね。

特に照明のON,OFFに。

「電気を消して」って言うと、ピロンと音がして部屋の照明が消えるんですね。

彼は寝る際、ヘッドホンで音楽を聞くのが習慣になっていたんです。

なので毎晩ベッドに入って布団を被り、ヘッドホンをつけてスマホで音楽を再生、曲を聞きながらAIスピーカーに明かりを消させて眠りにつくという流れができていたんです。

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その日も布団を頭まで被って暗い中でスマホをいじり、音楽をかけました。

大好きなアーティストの曲がヘッドホンから流れてきます。

そのまま布団の中から目を瞑って「電気を消して」とテーブルに置いてあるAIスピーカーに指示を出しました。

でもなんだか、目蓋を通して光を感じるんです。

目を瞑っていても多少明るさって感じますよね。

彼、目をうっすら開けると布団の隙間から光が漏れてたんです。

やっぱり電気が消えていない。

彼は半目のままもう一度「電気を消して」と言いました。

しかし、照明は煌々と点いたままなんです。

ちゃんと作動してないのかなと思い、あのピロンという音を確かめるためにヘッドホンを外し、AIスピーカーに話しかけました。

「電気消して」

「……いいよ」

ピロン

作動音の直前、低い女性の声が部屋の中で聞こえ、そのまま部屋は真っ暗になりました。

Concrete
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