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短編2
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夢日記

 暇を持て余したとある日曜日、ふらりと古書店に立ち寄った。偶然目に留まったタイトルは「夢日記」。聞いたこともない出版社だったが、表紙の雰囲気もいいし、面白そうなので買ってみた。

 それは主人公の少年が見る夢を時系列に並べたもので、小学生から高校生までの夢のエピソードが日記形式で記されている。読んでみると、実にありそうな話ばかりで、夢にありがちな不思議な部分などないことに気が付く。

なんだ。こんなものか。買って損した。

 ページを飛ばし飛ばしに読んで、最後の二、三話を読んで何かが引っ掛かった。もう一度小学生の部から読み始めてみる。

 僕の手が震え始めた。

 押し入れにしまってあったアルバムや夏休みの日記を取り出して確認する。小学生の頃、中学生時代のこと、高校生の今…………。

 なんだ、これ…………。なんでこんなに一致しているんだよ…………。

 最後のページを見て僕は目を疑った。

『現実は誰かの見ている夢かも知れない

────そう、お前のことだよ、○○○○!!(笑)』

 ぼ、ぼ、ぼ、ぼぼぼぼくのな、名前がななななんででで

 あたふたと電話で出版社に問い合わせる。興奮の余り舌を噛みながら怒鳴りつけるように抗議する僕に、電話口の人は寝ぼけたような声で、これは投稿作品で著者には直接会っていないという。メールで問い合わせてもいいが、数年前のものなので連絡がつくか分からないとも。数年前? そんな訳あるか!!

 冷や汗を流しながら、僕は電話を切った。すると待っていたかのように電話が鳴った。相手は非通知。嫌な予感がしたが、僕の指は無意識に通話ボタンを押していた。変声機越しの、楽しんでいるような口調で相手が言った。

 

「ねえ、読んだ?」

Concrete
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