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中編3
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音の鳴るタンス

ガタガタガタ!「またか」里子はそう思った。最近タンスがの中から音が鳴ることが多いのだ。時刻はまだ陽の明るい午後1時。「正直幽霊の仕業としてもこんなに明るいときなら怖くないわね」と里子が呟いた。

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その日の夜7時頃、テレビを見ているとガタガタとまたタンスが鳴った。「本当めんどくさいなぁ」里子がそう思うとバンバンバンバン!と今度は台所の小窓の方から音が鳴った。

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流石に怖くなってきた里子は近くにあった毛布に包まり小さくなっていた。「おい!今すぐ出てこい!あぶねぇから!」と外から男の声で聞こえてきた。

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その声も怖く感じたので返事ができずに縮こまっているとトゥルルルトゥルルルとポケットに入っていたケータイが鳴った。見ると友達からだった。里子は不安でたまらなかったので藁にもすがる気持ちで電話に出た。

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「もしもし。里子!」里子が呼びかける前に友達が言った。

「もしもし、菜摘?」

「そうよ。里子大丈夫なん?今すぐ車で里子の家行くから待ってて!」

なぜか菜摘は焦った声だった。

「どうしてそんなに焦ってるの?菜摘なんかあったん?」

「私のことはいいから。里子すぐ行くから待ってて!あと心配だから電話繋げたまま行くから切らんといてね?」

「うん、分かった。

バンバンバンバン!「〇〇さーん?大丈夫ですかー?大家です開けてください」

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里子は確かに大家さんの声だったので玄関に向かおうと思った。

「大家さんが呼んでるから出るね?」と菜摘に言うと

「ダメ!絶対にダメ!」と菜摘が今まで以上に大きな声で言った。

「なんでなん?なんでダメなん?」

「理由は付いてから話すから!あと少しで着くから待ってて!」

「分かった」

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里子は震えながら菜摘を待った。菜摘は「大丈夫だから大丈夫だから」と里子を励ました。

里子と菜摘は古くからの親友で互いのアパートの合鍵も持っている。ガチャと音がして「里子ー?大丈夫?」と菜摘の声がした。

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「菜摘?菜摘こっちよ!」と里子は毛布の隙間から菜摘を見ながら言った。

「あぁ良かったぁ!」と菜摘は里子を抱きしめた。

「それで菜摘、どうして来てくれたん?」

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「これ見てよ」

菜摘は自分のケータイの画面を里子に見せた。そこには里子の部屋のタンスがあった。次は動画だった、ガタガタと鳴るタンス。次にバンバンと小窓が叩かれた。視点は部屋の中から徐々に玄関へ向かいやがて外へ、、、

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里子は思わず「きゃあ!」と叫んだ。小窓に向かって永遠出てこいと叫ぶおっさんと玄関の正面には鎌を持ったびしょ濡れの女がいた。

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「これなに?」

「あなたから送られて来たのよ。」

確かにラインのトーク画面は里子からだった。

「でも私そんなの送ってない」

「時刻見てみて」

菜摘の画面に再び目をやると今日の夜11時に菜摘に送っていた。

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その日は菜摘の車に乗り菜摘のアパートに泊まった。里子と菜摘はなぜあんなことがあったのかを考えたところ。里子のタンスは骨董品で購入したもので、それが原因ではないかと。未来からのメッセージがあったのは里子のスマホには菜摘から貰ったお守りがぶら下げており、それが幸いして菜摘へ届いたのだと。

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(あとがき)友情や愛情は時として人知を超えた力があるとこの話を聞いた時に思いました。誰から聞いたとはプライバシーの関係で言うことはできませんが、ぜひ友達や家族を大切にして過ごしていただきたいものです。

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