俺は葬式が苦手だ。
まあ好きな人なんて居ないだろうが。
俺は参列した事は片手で数える程しかないのだが、そのうちの2回で大変なトラウマを植え付けられた。
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正直、怖いのである。
今後の人生で必ずあるだろう葬式で同じような目に合うかもしれない。
可能性は限りなく低いだろうが無いとも言い切れない。
それを想像するだけで絶望的な気持ちになる。
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次にまた同じような事があれば、俺は今度こそ耐えられないかもしれない。
それはいつも突然やってくるのだ。
そして、それは誰にでも起こり得る事なのだ。
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俺が小学校3年のとき、朝の会で先生が言った。
「昨日、トモのお祖父ちゃんが亡くなった。」
その言葉に俺達は騒然となった。
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トモのお祖父ちゃんは、
「子供が大好きな爺さんで遊びに行くといつもお菓子を出してくれた」
訳でもないし、
「物凄くおっかなくて近所でも有名なカミナリ爺さんだった」
訳でもない。
正直顔もよく知らない。
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トモのお祖父ちゃんは、その名前だけが有名だった。
「寅作(とらさく)」
ちょっとカッコいい名前である。
寅作は俺達の間ではちょっとしたヒーローだった。
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発端はある授業の一環だった。
国語だったか社会だったかは忘れたが、
「身近な人の名前を調べよう」
といった内容で、自分のお祖父ちゃんやお祖母ちゃん、出来ればひいお祖父ちゃんやひいお祖母ちゃんの名前も。
今と昔の名前の違いを調べてみようという事だったのだろう。
俺達は解る限りの親族の名前を発表する事になった。
ちなみに俺の祖父母の名前は、父方も母方も割と普通の名前。
たいして面白くも珍しくもなかった。
皆も割と似たり寄ったりで、たまに出る「タツ」や「ウメ」といったカタカナ二文字の名前ですら多いに盛り上がった。
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そんななか、
「俺のお祖父ちゃんは寅作です。」
と言ったトモの言葉に俺達から歓声が挙がった。
名前に「龍」や「虎」が付くなんて、問答無用でカッコいいし憧れる。
小学生男子なんてそんなもんだ。
そんなわけで字は多少違うが「寅」の名前を持つトモの祖父に俺達は多いに盛り上がった。
普段は目立たないトモも心なしか少し自慢げだった。
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この「寅作」であるが実際は名前程カッコ良かった訳ではない。
家業の漁師は息子であるトモの父に任せ昼間っから酒を呑んで寝てばかりのろくでなしだったらしいのだが、名前のインパクトから俺達のなかでは密かな人気者となり事あるごとに、
「寅作は元気か?」
とか
「今日も寅作は呑んでんのか?」
とトモに聞いたりしながらマスコットキャラのように扱っていた。
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その寅作が死んだ。
俺にとっては初めての身近な(でもないが)人間の死になんとも言えないいたたまれない気持ちになったのを覚えている。
悪餓鬼のくせに学級委員長だった俺は、その夜に担任の先生と寅作の葬式に向かった。
トモも落ち込んでいるだろうから何か話して元気づけてやれ、との事だったが今考えると割と無茶なミッションである。
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ともあれ斎場に着いた俺はトモに近付いた。
トモは俺を見ると一瞬笑顔を見せたが、すぐにまた暗い顔をして俯いた。
そんなトモを見かねてか先生はご両親に了承を得て、俺とトモを二人で外に連れ出してくれた。
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「二人で少し散歩でもして来い。
トモ、辛いだろうけど元気だせよ。また学校で会おうな。」
と言って斎場に戻って行った。
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さて、なんて声を掛けてやろうかとトモの顔を見る。
ろくでもない爺さんだったとはいえ、やはり自分の身内の死は辛いのだろう。
トモは本当に暗い顔をしていた。
「少し歩くか。」
掛ける言葉が見つからない俺はトモと並んで歩き出した。
「あのさ…」
トモがボソボソと話し出す。
「俺、今日初めて知ったんだけどさ…」
「うん。なに?」
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「じいちゃんの名前…
『とらさく』じゃなくて『えいさく』だった…」
え?どゆこと?
驚く事に祖父の名前すら知らなかったトモは呑んだくれの本人に聞くことも出来ず、たまたま見つけた祖父宛の葉書の名前を見て「とらさく」と判読したらしい。
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確かに「男はつらいよ」の「寅さん」と同じ字だ。
読み間違いも解らんでもないが、存命中の同居の家族の名前である。
そんな間違いあんのか。
予想外の告白に驚くと同時に笑いが込み上げてくる。
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「トラサクジャナクテエイサクダッタ…」
「エイサクダッタ…」
自分のじいさんの名前間違えんなよ。
あんなに誇らしげに発表したのに。
やばい。
めちゃくちゃ面白い。
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だからといって笑うわけにはいかない。
身内を亡くしたばかりの友人を前に、それだけはしてはいけない。
そう思った俺は
「そういえば寅作…じゃなくてお祖父ちゃん、何で亡くなったの?病気?」
話題を変えてみる。
これはこれで不謹慎な質問ではあったが、そこは小学三年生、許して欲しい。
トモはそんな俺の思いを知ってか知らずか、またボソボソと言った。
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「うん…なんかお医者さんには止められてたけど、隠れて煎餅とかお菓子食ってたから…
それで死んだ。」
そんな死因があってたまるか。
今でこそ多分糖尿病だったのでは?とは思うがトモには理解出来なかったであろう病気と死因に、俺の笑いのダムは決壊寸前だった。
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「カクレテセンベイヤオカシヲクッタラシンダ…」
「カクレテセンベイクッタラシンダ…」
「センベイクッタラシンダ…」
無理だよ、こんなの。
笑いを堪えた顔を見せないように俯く。
血が出るほど強く唇を噛んで、爪が食い込むほど二の腕を掴んで俺は耐えた。
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「そろそろお焼香が始まるから、二人共戻って。」
トモのお母さんが呼びに来た。
笑いを堪えて俯く俺の姿を、
「一緒に悲しんでくれる心の優しい友達」
とでも思ったのだろう。
トモのお母さんは涙声で俺達に歩み寄る。
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違うんです。
必死なんです。
お願いだから顔見ないで下さい。
俺は俯いたまま後に続き、先生の隣に腰を降ろした。
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ふう…
ようやく落ち着いてきた。
大丈夫、いける。
お焼香のやり方が解らない俺は、顔を上げて辺りを見回す。
遺影が目に入る。
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にこやかな「とらさく」改め「えいさく」の顔がそこにはあった。
「トラサクジャナクテエイサクダッタ…」
「カクレテセンベイクッタラシンダ…」
再び呪いの呪文が頭にこだまする。
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笑っちゃ駄目だ…
笑っちゃ駄目だ…
また唇を噛んで下を向く俺。
その姿を見て先生は、
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「ごめんな、お前にも辛い思いさせちゃったな…
でもありがとな、来てくれて。
トモのお母さんもお礼言ってたぞ。」
と言って俺の頭をくしゃくしゃ撫でてくれた。
ごめんなさい先生、違うんです。
面白かっただけなんです。
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それからの事はあまり覚えていない。
次々と押し寄せる笑いの波に耐えながら俺は、
「早く帰りたい」
とずっと下を向いていたように思う。
家に着いてからも親に言うわけにもいかず、俺は風呂でひとり思い出し笑いに悶絶した。
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こうして俺にトラウマを植え付けた「寅作」の葬式は幕を閉じた。
この出来事から俺は不謹慎系の笑いに弱い体質になってしまった。
映画ターミネーター2でのスカイネットの開発者の死亡シーンは長年に渡り俺のツボであった。
大人になるにつれてその体質は改善されてきたが、人間性を疑われるので直していきたいと心から思う。
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2つ目も葬式である。
嫁さんの身内のことなので書こうか迷ったが、嫁さんの了承を得たので書くことにする。
ここ迄読んで不快に感じたのなら、これから先は読まないことをお勧めする。
断っておくが俺は普段から斜に構えてる訳ではないし、厳粛な場で空気を読まず笑ってる訳ではない。
自分で言うのもあれだが、良識のある大人である。
そこんとこを理解して欲しいと切に思う。
それを踏まえた上で、二つ目のトラウマを。
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もう10年ほど前になるか、嫁さんの叔母が亡くなった。
俺も結婚報告のご挨拶で一度だけ会った事があった。
二人で千葉まで行ったのを覚えている。
嫁さんのお母さんの妹なのだがあまり顔は似ていなく、従って嫁さんとも似ていないがちゃきちゃきとした感じの良い人だった。
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彼女はシングルマザーで嫁さんと同い年の娘が一人、二つ離れた息子が一人の三人で住んでいた。
好印象の叔母さんとは違い、二人とも非常に無愛想で挨拶もそこそこに部屋に引っ込んでしまった。
嫁さんとも小さい頃はよく遊んだが、中学に上がる頃にはほとんど交流もなかったそうだ。
加えて嫁さんの祖母が亡くなった際に理由は定かではないが一悶着あったそうで最近は余り会う事もなかったようである。
まあ、会って話した限りではそれほど悪い人ではなかった。
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そんな叔母さんが亡くなったとの報せを受け、俺達は葬儀に向かった。
死因は脳溢血との事だった。
お酒が好きだった彼女は亡くなる前日も遅くまで呑んでいて、朝起きたあとでに頭が痛いから薬を飲んで寝ると言ったままベッドで亡くなったらしい。
前夫は姿を見せず、姉弟を喪主として葬儀は滞りなく執り行われた。
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イラストの仕事をしているという姉と、殆ど引き篭もり状態という弟の行く末を多少心配したが、
「遺された姉弟二人で力を合わせて生きていきます。」
という挨拶に俺は二人の幸せを心から願った。
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さていよいよお棺に蓋を、故人にお花と最後の挨拶を。
となったところで喪主からの提案があった。
「故人の口にお清めの酒を含んだガーゼを、周りにも酒を振りかける」
という風習があるのだが、故人は生前日本酒よりもビールを好んでおり亡くなる前日も飲んでいたから清めもビールで行いたい。
との事だった。
まあ反対する理由もないし、そうしたいのであればと一同見守っていた。
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厳かな雰囲気の中、アサヒスーパードライの缶の蓋が開けられる。
「プシュッ!」
余りにも場違いな景気の良い音が会場に響く。
やばい。
この空気はまずい。
今までの悲しみに包まれた空気に亀裂が入ったのが解る。
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俺はこういう気配に敏感だ。
霊感とはちょっと違うが解る人にしか解らない気配である。
こんな事でマウントを取れるわけではないが、俺には解る。
そしてこれは後天的に備わった能力である。
そう、あの寅作の葬式からだ。
長いこと封印されていた「不謹慎笑い」の蓋が開き始めた。
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いや、大丈夫だ。落ち着け。
この程度では問題ない。
俺は口を引き締め儀式の続きを見守る。
ビールに浸したガーゼを故人の口に。
そしてビールを棺の中に振りまく。
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ドボドボと注がれるビール。
え?
そんなに入れんの?
さっと振りまく程度だと思っていた俺の予想を裏切り、景気よく500ml缶を全て注ぐ喪主二人。
「シュワー…」
お棺の中から響く泡の音。
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これはまずい。
会場に小さなどよめきが起こったのを俺は聞き逃さない。
「この儀式を注視してはいけない」
心の不謹慎アラートが鳴り響く。
こういった際に発生源を注視するのは厳禁である。
今回なら喪主二人の容姿や振る舞いなど、普段なら気にならない細かい事が気になってしまうのだ。
それは想像を産み、そして拡大する。
例えば今、俺は気付いてしまった。
弟の方の髪が年の割に薄いのを。
俺より二つ下ならまだ20代半ばのはずだ。
早すぎる。
引き篭もりの原因はこれかもしれない。
等、どうでもいい事に気付いた挙げ句、その想像に囚われてしまう。
危ない。
やはり注視してはいけないのだ。
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俺は気を紛らわそうと呼吸を整え辺りを見回す。
ふと、俺の二つ隣のおっさんの口元がピクピクしているのに気付く。
ああ、彼もまた自分と闘っているのだ。
予期せぬ戦友の参戦に安心する…
わけがない。
こいつも敵だ。
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あれほど注意していたのに…
薄毛の弟から逸して置いてのこのコンボである。
「お棺にビール」と「誘い笑いのおっさん」の挟み撃ちに俺の中の何かが弾けそうになる。
蓋はとっくに開いているのだ。
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「アサヒィ スゥパァドゥルァァイ」
なんでこんな時にCMの発音が頭に響くのか。
まずい兆候だ。
頭の中の映像が止まらない。
日本シリーズを制したソフトバンクのビール掛けが浮かんでくる。
喜びを爆発させビールを掛け合う選手達。
リポーターが選手に感想を求める。
入れ代わり立ち代わり応える選手達。
飛び交うビールの飛沫。
そしてインタビューは優勝の立役者である叔母の番に。
映し出されるお棺。
「死んどるやないか!」
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駄目だ。
映像が止まらない。
想像が暴走する。
俺の思考回路はショート寸前である。
あと一押しで決壊する…
本当に箸が転がるだけでも駄目だ…
それだけはまずい。
ここで笑ったらこれから先、一生
「葬儀で笑った奴」
と嫁さんの親族から白い目で見られる…
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尻の下に挟んだ手で思いっきり内腿をつねる。
涙が出るほど痛い。
いいぞ。
もっと痛みに集中するんだ。
「こんなことをして必死に耐える自分」
にすら笑いが込み上げてくるが、さらに強くつねりねじる事でようやく笑いが収まる。
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危なかった…
もう駄目かと思ったが山は超えた。
もう少しだ。もう少しで全て終わる。
「それでは故人に最後のお別れを。
お一人ずつ棺に花を入れて下さい。」
指示に従い立ち上がる。
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余計な事は考えず列に並ぶ。
前を行く嫁さんの目は真っ赤だった。
そうだよな…
小さい頃から知ってる叔母さんが亡くなったんだもんな…
お義父さん、お義母さんも泣いていた。
色々あったとはいえ、やはり悲しいに決まっている。
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俺も一度しか会わなかったとはいえ、知人の死である。
遺影に目をやり自然と手を合わせる。
先程までの波が嘘のように引いていき、俺は故人の冥福を心から祈った。
俺の番が近付いてくる。
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お棺に近付くにつれ、俺の鼻は匂いを察知した。
この匂いは知ってるぞ…
カラオケではしゃぎ過ぎてテーブルに乗った時によくする匂いだ…
若しくは居酒屋でベロベロに酔っ払った時の匂いだ…
すなわち盛大にジョッキを倒した時の匂い…
ビールをぶちまけた時の匂いだ。
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匂いの発生源は何処だ?
そう、棺の中だ。
油断していた。
視覚、聴覚を閉じて警戒していたのに、まさか嗅覚で攻めてくるとは。
ビールをぶちまけたテーブルと化した棺に俺は近付いた。
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故人は据えたビール臭の中、安らかな顔で眠っていた。
大丈夫。
匂いには慣れた。
俺は手を合わせ一礼してから、花を棺に入れる。
いや、入れようとした。
俺の手は花を入れる寸前で固まった。
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泡立っていた。
故人の周りを包むように置かれた花は、
「嘘だろ!?」
と思うほどに泡立っていたのだ。
「あんだけ注いだからな…」
限界だった。
いつの間にか俺の笑いのダムは表面張力で耐えていた状態であり、それはこの一押しで完全にキャパを超えた。
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俺は目を瞑ったまま花を置くと、悲しみに耐えきれないかのように両手で鼻と口を覆った。
口さえ隠せれば…
笑いが吹き出すのを堪えると今度は鼻水が吹き出した。
掌が鼻水で溢れる。
俺は急いでハンカチを取り出し、顔を覆ったままその場を離れた。
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そんなにも悲しいのか…
と不審がられる程の勢いで俺は斎場からまろび出た。
俺は斎場の影で悶絶した。
経験上この「不謹慎笑い」は爆笑という形はとらない。
ただ強烈な思い出し笑いの波が止まらないのだ。
傍から見れば「悲しみに身悶える」ように見えない事もない姿で俺は嵐が過ぎ去るのを待った。
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どれ位の時間が経ったのだろう。
既に嵐は去り、時折やって来る余波を受け流して俺は斎場へ戻った。
儀式は進み、棺は閉じられ今まさに出棺の時を迎えていた。
俺は列に加わろうとしたが、曇りきった眼では棺はもはや神輿にしか見えず新たな嵐の予感を感じた俺は、
「すまん、会社から電話入った。
もっかい外でるわ。」
と嫁に伝えその場を離れた。
嫁の怒りの顔に手を合わせると逃げるように外に出る。
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電話をする振りをして遠くから出棺を見つめ、俺はこの儀式が終わった事に心から安堵した。
当初の予定通り、俺達は火葬には立ち会わずに帰宅の徒についた。
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帰りの電車で真っ赤な目をした嫁は、案の定不機嫌だった。
「ねえ、なんで葬儀で休んでるのに電話してくるの?
非常識だよ、誰から?」
全くもってその通りである。
笑いを堪えていた事に対して怒っているわけではない事に、ひとまずは安心し俺は答える。
「中村課長から。急な休みで全部投げて来ちゃったからさ、その件で。」
取り敢えず課長に濡れ衣を着せる。
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「もう、中村さんこうちゃんに頼り過ぎじゃない?
いっつも電話掛けてくるよね。」
「ほんとだよな、兎に角ごめん。
今回は俺も悪い。」
こういう時はまずは謝るに限る。
謝れる男なのだ、俺は。
「あと、笑ってたでしょ?お棺にビール入れる時。」
気付いてたの?
その時だけじゃないけど、その件も謝る。
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「ちらっと顔見たら、いつもの笑い堪えてる顔してるんだもん。
こっちも釣られて危なかったよ。」
お前も気付く奴だったか。
俺だけじゃなかった事に嬉しくなり、他にも堪えてる人がいた事、ビールの泡立ちに気付いた時がピークだった事を伝える。
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「泡立ってた?気付かなかった。
私びゃーびゃー泣いてたから、気づいてたら私も駄目だったかも。」
嫁も思い出し笑いをしながら答える。
仕事の電話には怒るけど、俺の不謹慎笑いに共感して涙目で笑う嫁を見て
「こいつと結婚して良かった」
と俺は改めて思った。
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繰り返しになるが、俺だって葬式の度に笑いを堪えているわけではない。
ちょっとしたきっかけと深読みでこの「不謹慎笑い」は発生する。
文中でも書いたが後天的にこの能力が発現する事もある。
読んだ人の記憶の片隅にでもこの話が残った時、その種はいつか発芽するかもしれない。
それは誰にでも起こり得るのだ。
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「今笑ったら社会的に死ぬ」
そんな恐怖に耐える機会は必ず来るのである。
そして、この話は「教訓」であり「呪い」でもある。
不謹慎笑いの世界へようこそ。
作者Kか H