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短編2
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鬼の使い

親類の法事さあて なしても山ひとづ越えなんねもんで 隣村さ通じる梵字川沿いの道 とぼとぼ歩ったんども

三歳のとき風眼で目ぇ見えねぐなて それでもなんとが杖つぎながら歩ったんども

ひとりだば 心細ぐてはぁ……

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日もだいぶ傾いて ひぐらし鳴いっだけど

村ざかい越えだあだりで 急にわらし子呼ばるもんだがら「何だけ?」て言たら

めんこ声のやろっ子「婆んつぁ どさ行ぐ?」って

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「八久和の親類の家さ行ぐとこだぁ」て答えだら

「んだら途中で念珠寺さ寄て 門前の小僧っこさ このお供え物とどけて呉んねべが」て

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「はてな あそごは荒れ寺で 住職居ねぁんども」

「今は新しぃ住職入て 寺もなんぼが美すぐなた」

「んだべが」

って 藁半紙さくるまっだ饅頭受げ取て まだ歩ぎはじめだけど

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しばらぐ行たら 托鉢の雲水ど行ぎ合たがら「念珠寺さ 新しぃ住職入たなんが?」て訊ねだら

「入らね」って

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「そりゃおがすいな」

今しがだ渡さっだ 饅頭の包み見しぇだけど ほうしたらその雲水たまげで

「おめ 今遭たわらし子 きっと鬼の子だかすんない」

「な、なしてや?」て訊いだら 声震わして

「おめさん 大事そうにたがいでんなは 饅頭でねぐ 人の胆だぁ!」だど

もう腰抜がすほどたまげで 近ぐさあた猟師の家さ わらわら駆け込んだんだず

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あっどで村の衆 念珠寺さ行てみだんども

お堂のなっがは 人の骨どが髪の毛どが散らばてで しんでぇ有様だったけど

やっぱす お寺よぐよぐ構ねどくど んまぐねぇなあ なて

村の衆 その日のうぢ大工呼ばて 取り壊させだんど……

Concrete
コメント怖い
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