中編3
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酔っ払いおじさん

午前2時頃、俺は飲み屋が立ち並ぶとある路地裏をテクテクと歩いていた。

別に酒が飲みたくて来ているわけじゃあない、どうやらこの路地裏には一際うるさい酔っ払いのおじさんが居るらしいんだ。

とは言ってもここは普通の飲み屋街、変な酔っ払いが居るのはよくあることだ。

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しかしその酔っ払いおじさんは近所迷惑になるほどデカい声で怒鳴り散らしているらしい、しかもほぼ毎日、午前2時頃。どんだけ酒飲んでいるんだ……。

それで俺はその酔っ払いおじさんが気になってこの路地裏に来たってわけさ。

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5分くらいボーッと俯いて歩いていると……

『テメェ何見てんだオラァ!!!ぶっ殺すぞ!!』

急に怒鳴り声が聞こえた、例の酔っ払いおじさんだ。

しかし、声は聞こえるのだが、肝心な姿が見えない……。

『おいおい無視かよ兄ちゃんよぉ〜!!』

「え!?」どうやら酔っ払いおじさんは俺に向かって話しかけているようだ。声の感じからして60代くらいだろう。

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「あの……何か御用でしょうか……。」

『あぁん!?俺は今、めちゃくちゃイr#/○*¥**!!!』

呂律が回っていない…酷く酔っているようだ。そして俺はなぜおじさんがそんなにイライラしているのかについて聞いてみた、すると…

『あぁん!?そんなのテメェの様な若者のせいだろ!俺は被害者なんだよ被害者!テメェみたいな馬鹿が俺に酒をゲーゲーぶっかけるからこうなるんだよ!!もう勘弁してくれ!!!俺は静かに暮らしたいんだよ……。』

「ゲーゲーぶっかける??」なんだ?まるで酒をかけられただけで酔っ払うような言い分じゃないか。

『話はそれだけか!?あぁん!ならとっとと失せろオラァ』

「………はい」目的はただ噂の酔っ払いおじさんに会うことだけだったのだが、結局おじさんは俺に姿を見せることはなかった。声は近くから聞こえてくるのにどこにも居ない、まるで幽霊だ。

これ以上ここに居るとまた何か言われそうなので今日は帰ることにした。

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数週間後

例の路地裏にあった飲み屋が全て潰れたらしい。

本当なのか確かめるために俺は路地裏に向かった。

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「マジかよ本当に無くなってやがる……。」

そこは何もないただの路地裏だった。すると……

『あれ?あの時の兄ちゃんじゃあないか!久しぶり。』

「え?(聞いたことのある声………酔っ払いおじさんだ…!)」前回と同じで姿は確認できない、しかし一つ違う点があった。

「あれ?酔っ払っていませんね。」おじさんはものすごく穏やかだった。

『そうか?でもまぁ飲み屋が潰れたからもう騒ぐことはないよ、安心しな。それに、あの時はひどいこと言っちまってゴメンな…。』

素は結構まともな人なのかもしれない。

「ところで、なんでここの飲み屋って潰れちゃったんですか?」

『…………………なんか毎晩人が沢山いてスゲーうるさいから飲み屋にいるやつら全員消えてくれないかなぁって思ってたらみんないなくなってた。』

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「え?」

『ゲーゲーする奴もいなくなったから自然と酔いも覚めたんだろうなぁ。がはははは!』

何を言っているんだ…………このおじさんは一体……。

「……あなたは何者なんですか?ずっと姿を現さずに話しかけてきてますが……。どこに隠れているんですか!!」

『どこって…ずっとお前の真下にいるよ』

「え?」俺は恐る恐る下を見る……。

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そこには綺麗なアスファルトの地面があるだけだった。

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なんかがじわじわ心に響いてきますね。まさかアスファルトの声だったとは。

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