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死滅の刃_鑑賞するのもアウトな…

短編2
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死滅の刃_鑑賞するのもアウトな…

鑑定団は揃って「ウーン」と困惑していた。

某家宝価格付け番組に送られてきた一品は、

これまで「現存しない」というのが美術史学・考古学での

定説だった。

中ノ島:「ひどい仕事してますね~」

若手:「『値段つけられません』というやつですか…」

N大学学長:「プロデューサーの判断を仰ぎましょう」

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名刀「不動行光(ふどうゆきみつ)」

あの織田信長の愛刀であったとされる。

信長数々の名刀コレクション群でも最も愛用され、本能寺の変直前に、寵愛していた森蘭丸に授けられたが、

主人である信長ともども焼け崩れ、現存する黒塗りの鞘(さや)も後世の復元とされる。

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鑑定団は当初は贋作と疑ったが、違った。

名物鑑定員・中ノ島の義理の妹は霊感があり、その刀を一目見るなり顔面蒼白になり、こう言った。

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その刀はゆうに一万人は斬っている!

そのほぼ全てが戦ではない、

生きた人間での試し斬りと見せしめの様な処刑だ

怨念が何重にも巻き付いている、刀身が見えないほどだ

信長も振るっていたが、他にも幾人もの武将がこれで人を斬っていた、

その使い手には平安の頃の武将もいる

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現代の日本では最凶の呪具だ

鑑賞するだけで祟られる!

触れればすぐさま憑き殺される!

そんなものを取り出し、鑑定し、値段をつけて全国放送!?

…とんでもない

関係者全員、いや、日本国が滅びるぞ!!

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義理の妹が言うに、被害者が出ていないのは、

幾重にも封印が施され、重厚なケースに丁寧に保存されているからだという。

保存状態は良好に違いないが、

もし開封した場合は…

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スタッフや鑑定団の間でも彼女の霊感は有名で、しかも当たると評判だったが、

流石に日本が滅ぶというのは信用されなかった。

美術商「巣文閣」社長:「少なくとも、

送り主は存命中の方だからなあ」

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プロデューサー:「俺もそう思うが、

…メチャクチャ嫌な感じがするんだよな、

絶ってー開けちゃダメだぜ、みたいな…」

ディレクター:「同感だ。

万が一でも放送事故なんて御免だ。

おい、お前、他にテープ無いのか?」

AD「あっ、これがあるんで、放送はいけると思うっす」

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結局、件の名刀は、それを発見し、値段も付けようとした部分ともどもお蔵入りとなり、

世に知られることは無かった。

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中ノ島「いい仕事(カット)してますね」(背中に生首を乗せながら)

編集担当「あ、お憑かれ様です(この人はもう長くはないな)」

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