今日は8月23日。
そして明日は俺の誕生日だ。
午前8時7分
ベッドから起きようとすると宅配が来た。
弟からだ。
一人暮らしを始めてから数回しか会ってない。
中には欲しかった香水が。
メッセージもついている。
「誕生日おめでとう。使ってくれ。」
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俺は弟に電話をかける。
「もしもし。誕生日プレゼントありがとう。でも俺の誕生日明日だっつーの。」
弟と他愛のない話をしながら大学へ向かう準備をした。
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午前11時56分
昼飯を食いに食堂へ
と思ったが今日はなんとなくラーメンの気分
行ったことがない店に入り看板メニューを注文する。
なんとなく店内のテレビへ目を向ける。
緊急速報だ。
俺の好きな女優がスキャンダル。
ショックを受けてるうちにラーメンが来た。
まずい。
まずいまずい。
こんなまずいラーメンは食ったことがない。
俺は店を後にした。
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午後6時30分
講義も全て終わり、暇になった俺は
明日の自分を祝うためにケーキを買いに行くことにした。
俺は昔からチーズケーキが好きでよくチーズケーキを選ぶが
今日はなんとなくモンブランの気分だった。
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午後7時30分
明日の誕生日に備え、といっても
一人暮らしだし大したものじゃないけど
料理やケーキの準備をしていた。
明日で20歳だ。12時を超えた瞬間酒を飲もう。
と準備を進めていた。
その時、電話がかかってきた。
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大学の友人だ。
近所の居酒屋に来いと。
1人で寂しく誕生日を迎えると思っていたが
みんなと過ごせるなんて最高の前夜祭だ。
歩いて向かい、横断歩道を渡ろうとした時
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shake
俺は暴走トラックに跳ねられた。
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午前8時7分
ベッドから起きようとすると宅配が来た。
弟からだ。
一人暮らしを始めてから数回しか会ってない。
中には欲しかった香水が。
メッセージもついている。
「誕生日おめでとう。使ってくれ。」
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あれ?俺これ…
と感じた。スマホで日付を確認。
8月23日午前8時9分。
明日は俺の誕生日。
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俺は絶対トラックに跳ねられた。
でも時間が戻ってる。なんだこれ。
タイムリープ?パラレルワールド?
そんな言葉を考えていた。
そうこうしている内に、時間が過ぎていたことに気付き
大学へ向かう準備をした。
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大学の講義は退屈なものだった。
2回も同じ講義を受けるだなんて退屈すぎる。
だが、予習はしてあるので理解が早い。
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昼にあのラーメン屋へ向かう。
看板メニューはまずかったので鉄板メニューにした。
テレビへ目を向ける。
緊急速報
俺の好きな女優がスキャンダル。
あぁ、これ、繰り返してる。
ラーメンが来る。
まずい、まずすぎる。
看板メニューを超えるまずさ。
だがなぜかくせになる。
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問題の午後7時半。
俺は手際よく誕生日の準備を進めてる。
すると電話がかかってきた。
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大学の友人だ。
近所の居酒屋に来いと。
1人で寂しく誕生日を迎えると思っていたが
みんなと過ごせるなんて最高の前夜祭だ。
だが、俺は二度と同じ罠にかからない。
細心の注意を払い、居酒屋に入る。
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大学の友人たちは俺の誕生日を覚えていてくれたようだ。
楽しい夜が過ごせそうだ。
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shake
ドンッ
厨房で爆発が起き、火事が起きた。
俺は逃げ遅れ、2度目の死を迎えた。
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午前8時7分
ベッドから起きようとすると宅配が来た。
弟からだ。
日付をみる。
8月23日
ありえない。
俺は何度も死に何度も誕生日の前日の朝になる。
いつまでたっても20歳になれない。
なんとなく、ムラサキ鏡を思い出した。
その言葉を20歳になるまでに覚えていると
死ぬとかいう都市伝説だ。
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いやありえない。
俺は信じない。
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しかし、俺は何度も何度も死に
何度も何度も誕生日の前日を迎える。
俺は精神的にも限界を迎えていた。
30回目を過ぎた辺りだろうか。
初めてのパターンが来た。
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宅配が来ない。
これは転機か?
講義の内容が違う
女優がスキャンダルを起こさない。
モンブランが売り切れている。
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おれはこのチャンスを逃すまいと
注意を払いながら生活する。
午後7時30分
大学の友人から電話だ。
俺の家へ来てくれ。
これも初めてのパターンだ。
やっと誕生日を迎えられる。
俺は嬉しくなり友達の家へかけ出す。
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shake
ドンッ
俺はトラックに跳ねられた。
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目を覚ますと
俺は病院のベッドにいた。
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体が動かない。声も出ない。背中が痛い。
そらそうか。トラックに跳ねられたんだ。無理もない。
点滴がゆっくりと落ちている。
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看護師が来た。目を開けている俺をみて驚いていた。
医師がきた。
「高橋さん。分かりますか?意識はありますか?」
俺はできる限りの力を使い、うなずいた。
そして、1番に聞きたかったことを聞いた
声が上手く出せなかったが振り絞って出した。
「今日は何日ですか?」
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医師は答える。
「8月24日です。」
勝った。俺は勝利した。
何度も死を繰り返し
何度も誕生日の前日を味わった。
俺はやっと20歳に。
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「高橋さん。事故の前の記憶はありますか?」
無いはずがない。俺は30回も繰り返したんだ。
俺は頷く。
医師は
「本当ですか?それは素晴らしい」
ああ。まったくだ。
「今日は素晴らしい日ですね」
本当に素晴らしい日だ。
「まさか誕生日の日に目覚めるだなんて」
いいことづくしだ。
「50歳の誕生日おめでとうございます。」
作者らふぃ
はい。どうも。
怖いですね。事故にあって目覚めたら30年後。
ハッピーデスデイという映画を観まして
それに影響され、自分がこんなふうになったら嫌だな
と思い作った作品です。
心は20歳なのに体は50歳
どんな気持ちなんでしょうか。