前住んでたマンションでの話です。長いので暇つぶし程度に読んで頂ければ。
幼稚園頃から中学まで某県某所のあるマンションに住んでました。そこは4階建てで、私は4階の角部屋で両親と暮らしてました。
3LDKくらいでしょうか。まぁまぁ広かったです。
玄関から進んでいくと右に物置部屋、左に浴室、近くにトイレ、また進んでいくと右に私の部屋、左にオープンキッチン。突き当たりがリビングです。
リビングと隣り合わせで寝室がありました。
nextpage
ある夜、母がママ友会に参加するため、父と留守番になりました。私は小学4年くらいだったと思います。
私はリビングで大きなコタツでドリルを広げ、テレビに背を向けて宿題に取り掛かりました。
父は部屋の隅にあるパソコンスペースでゲームをしていました。
10分くらい解いた所でなんとなくテレビが気になり、何も映っていないテレビ画面を見ました。テレビの対角線上に私の部屋があり、テレビには私の部屋のドアが映っていました。
(何だろう。気のせいかな)
と思いまた課題に取り掛かりますが、どうも気になるのです。画面が。そこでもう一度画面を見ました。
nextpage
画面の中の私の部屋のドアが少し開いているように見えたのです。実際私の部屋のドアは閉まっています。
テレビ画面の中のドアはほんの少し開いているのです。
(…?なんだろう、見間違えかな?)
見間違えなら次見た時は閉まっているはず。もう一度振り返りました。
やはり、開いている————
人が1人入れるほどの隙間が開いているのです。勿論ドアは閉まっているはずなのに。
(なんか怖いな…もう一度、振り返ったらどうなってるのかな)
興味の方が勝ってしまい、もう一度振り返りました。
nextpage
(誰かいる————?誰?)
隙間から「白いシルエット」がこちらを覗いているのです。画面の中で、顔と思われるものだけが私の部屋のドアからひょっこり出ています。
家には父と私しかいませんし、父はパソコンでゲームしているので父でもないし、母も見送りしたので母でもない。
家族以外の誰かがドアから覗いている…
見間違えは確信に変わり、一気に寒気がしました。怖い。見間違えであって欲しいと心の中で思っていたのでしょう。
(ドアは…閉まったかな…)
何にでも興味を示すような子どもだったのでまたもや振り返ってしまいました。
テレビ画面の向こうの私の部屋は先程より開いていて、今度は上半身と思しきものも出てきています。
nextpage
(誰か出てきている!)
振り返る度、だるまさんがころんだをしているかのように「白いシルエットの誰か」が段々と姿を表してきているのです。
その後何度かテレビ画面に振り返りましたが、見る度に画面の向こうのドアは開き片足、両足と見えてくる…
(もしかしたらこっちに来るかもしれない————)
私の部屋は開いていないのに画面の向こうのドアは開き、誰かが近づこうとしているのに急に身の危険を感じました。
父には「宿題は終わったからテレビみるね!」と告げ、母の帰りを待ちました。手足が震えていたのを未だに鮮明に覚えています。
nextpage
その数日後から、私の部屋ではラップ音が鳴るようになりました。
手を叩くような音や何かが弾けるような音。恐怖に耐えきれず、あまり部屋に行くことはなくなりました。父や母には「疲れているのだろう」と信じて貰えず、1ヶ月程経ちました。
下の部屋に住んでいるSちゃんの親から、こんな話を聞いたのです。
「このマンションは、何かがいる」
Sちゃんの親は所謂霊感というものがあって、私より前に入居した人でしたが薄々「何か」がいることは気付いているようでした。
nextpage
「この辺りはねぇ、霊道があってね。それに乗って色んなモノがここに来てしまうんだ。だからどの部屋でも、いる時はいるからね」
私はすごく気になったのです。
「いる…?って…?」
Sちゃんの親は私の顔をじっと見て、
「見ちゃったのね、何かを。そして気づいたことがバレちゃったのね。でも今後は”絶対に”気にしちゃいけない。次気にしたら”呼ばれちゃう”からね。これ、持っておきなね。」
Sちゃんの親はバッグから清め塩のようなものを取り出し、私に渡すとにっこり微笑んで去っていきました。
nextpage
その後お風呂に入っている時に窓に誰かの影がうつったり、物置部屋で誰かの気配がしたりというのが何度もありましたが、絶対に気にせずに過ごしました。貰った塩は肌身離さず持ち歩きました。
高校生になる頃、父親の転勤もあり引っ越しました。1年後くらいにたまたま通りがかった時にはもう他の人が住んでいました。
心霊現象や不可思議な出来事が今でも起きているかは定かではありません。でも、霊道が通っている限り、今日もどこかの階の誰かの部屋で何かが起こっている————そんな気がしてならないのです。
作者れれみ
読んでくださってありがとうございます。実体験を書かせていただきました。拙い文章で読みづらい点はあると思いますが、その辺はご愛嬌ということで…( ˊᵕˋ ;)💦
ではまた、次のお話でお会いしましょう。