イギリス北部の都市グラスゴー中心部のブキャナン通り というショッピングストリートで、景観改善を目的にオレンジ色の街灯を 青色に変えたところ、犯罪が激減するという現象が起きました。原因を 調べたところ、青色の街灯によって犯罪が減少したということがわかり、 犯罪抑止を目的に青色の街灯が利用されるようになりました。
(引用:https://mille-p.net/青色防犯灯で犯罪が激減する.docx.pdf)
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犯罪抑制の効果がある心理的な理由、青色は静的で興奮を鎮める効果や心を落ち着かせる効果がある。(同引用先)
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僕は逆だ。ブルーライトのある道を夜、歩く時は不安で仕方なくなる。
最近、理由が分かってしまった。
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高校生の僕が部活で遅くなり、夜の8時過ぎごろに自転車で帰宅していた時のことだ。
普段は違う道を通るのだけれど、部活で疲れていることもあり近道を通って帰った。
その道は普段通る大通りから一本入った裏道だ。
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しばらく走っているとこの道が不気味に感じた。
走りながら横を見ると建物と建物の間から大通りを走っている車や歩いている人が見えた。
僕が走っている道は暗かったのに対し、向こうは明るかったから目立って見えた。
それに建物と言っても一戸建ての家が並んでいるだけなので、大通りとの距離は遠くなかった。
大通りと平行するような道である。
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初めはポツンポツンと4、50メートルおきに白い小さな外灯だったのだが、急にブルーライトに変わっていた。
ちょうどトの字に大通りへの道とブルーライトが点々とする道の分岐点に僕はいた。
天国と地獄を表しているようだ。
ブルーライトの方の道は怖いなと思ったが、今までかなり進んでいたのでもうすぐ家の近くの道に出るだろうと思いそのまま進んだ。
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結論は「やめておけば良かった」だ。
走ってしばらくすると気づいたが、ブルーライトは人を不安で嫌な気持ちにさせるのだと知った。
いつかの交通指導で警察が講演に来て「ブルーライトは犯罪抑制のために設置されており、実際に犯罪抑制に効果を示しているので安全な道です」
と説明していたことを思い出した。
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僕はこの裏道でブルーライトが犯罪抑制の効果的なわけを知った。
「人を嫌な気持ちにさせるからそもそも多くの人が入らないから」だ。
夜、人は明るいところに集まる。人が多いところの方が喧嘩や窃盗など、犯罪は多くなるに決まっている。
犯罪抑制に効果があるのは、人を寄り付かせないからだと知った。(火のないところに火事はない)
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僕は自転車のスピードを上げた。怖くなってきたからだ。
「おかしい」心の中でそう思った。
とっくに家の近くの道に出ていて良いはずなのに、僕はまだその道を進んでいた。
「なぜだ?とっくに家の近くに出るだろ!」と心の中で思っていると、さらに嫌なことに気がついた。
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横に道がない、、、
今までは家と家の間の道が何度も出てきて、いつでも大通りに行くことができた。
なぜか、白の外灯からブルーライトに変わり横の道がなかった。
不思議なことに完全な一本道になっていた。
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「有り得ないだろ」と思っても進むしかない。そのまま自転車を走らせた。
額と背中は冷や汗をかいていた。心臓の鼓動も速くなっていた。
それでも構わず走り続けていると
「ぼぉおおん」「ぼぉおおん」と鐘を叩く音が聞こえた。
右手に神社があった。
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「良かった。神社の道を横切ったら他の道に出られるかも知れない。しかも神社は神さまを祀っているから安全だろう」と思い入ろうとした。
しかし、それはやめた。入り口に差し掛かったところであり得ない光景を見たからだ。
神社の中は昼間だった。
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よく見ると人もたくさんいるようだ。僕は思わず「うわ!」と声を出してしまった。
神社に参拝に来た人や神社の周りに集まっていた人たちの顔が真っ暗で見えなかったのだ。
鐘の音や他の人の声のおかげで、僕の存在は中の人たちに気づかれなかったようだ。
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ここはダメだ。と直感して再び自転車を漕ぎ始めた。
灯りといえば、ブルーライトくらいなものでとても不安だった。
冷や汗をかきながら心臓をバクバク言わせて走り続けた。
とても嫌なものが見えた。前方に見えるブルーライトの一つが不規則に点滅していたのだ。
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「あー、どうせアレだろ。あの点滅してるやつの隣が点滅してさ。徐々におれの方に点滅と共に幽霊が来るんだろ。バーカ。」と心の中で思った。
あまりに緊張し続けて怖がり続けていたせいか、恐怖は一周回ってイライラに変わっていた。
「ほんま、腹立つわ。そんなん映画の中だけにしろや」と呟き。
そのまま、真っ直ぐに進んでいった。
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今まで通りチラチラと点滅を繰り返していた。しかし、僕が言ったような点滅が連鎖することは起こらなかった。
その代わり左手に並んでいる家の一つが明るくなった。
位置的に2階の部屋らしく、窓があるようでオレンジ色の光が漏れていた。
なぜかそこを起点として僕が走っていると、どんどん家の灯りが付いていった。
何となく、チラチラと見ながら走っていると。
中の人がバンッ!バンッ!と両手で力の限り窓ガラスを叩いていた。
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「うぜぇ」と僕は思った。今でも思い出すとうざいと思う。
僕はよく友達とホラー映画なんかを見ていたので「バンバン」と窓ガラスを叩くだとか外灯が点滅するだとかは知っている。
だから、ありふれたことをするから「うざい」と思った。
しかし、それでいて安心もした。ホラー映画で見たのと同じような光景なら事前に予想が付くからだ。
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「はいはい、見ないようにしたら良いんだろ」と思った。
視点を前に戻し、道を進んだ。進んでいると今度は一つの外灯の下に白装束の女が立っていた。
「これも話しかけない!」と決めて通り過ぎた。
女の方を見ることなく、、、
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ただ、今度は見ないだけでは済まないようだ。
「すたっすたっすたっ」と自転車の後ろから足音が聞こえてきたのだ。
「さっきの女かも知れない」と再び怖さで汗をかき始めた。脈拍も次第に早くなってくる。
僕は自転車のスピードを上げた。スピード自体は速くなったはずなのに、「すたっすたっすたっ」と足音は同じリズムで聞こえ続ける。
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「意味がわからない!ふざけんな!」と心の中で叫び一心不乱に自転車を漕いだ。
点滅や窓を内から叩くだけなら実害が無かったから正気を保てた。
しかし、追って来られるとなると話は別だ。
例えるならテレビで銀行強盗を見ても他人事で平気なのに自分が当事者となると不安になるような感じでだ。
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急いで急いで、猛スピードで必死に漕いだ。
それでも後ろから「すたっすたっすたっ」と足音は続く。
右に道があるのが確認できたからそこに向かって走り込んだ。
バキッと何かにぶつかり、その拍子にハンドル操作を失って僕は横に倒れた。
足音は止んでいた。「助かった」と思い、起き上がってまた自転車に乗り進み始めた。
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ボウッとうっすらオレンジの小さな光を少し離れたところに確認した。
「どうせ元の道を通っても帰れないみたいだったし、ダメ元であそこに行ってみよう」
そう決めてそこへ向かった。近づいてみると墓があった。
墓石の名前は祖父であった。光はロウソクに付けられた火だった。
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僕は自転車を降りて手を合わせて拝んだ。
「南無阿弥陀、南無阿弥陀」と。
しばらく拝んでからまた進み始めた。適当に方向を決めて自転車を走らせた。
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今までのことは夢だったかのように、あっさり自分の家の近くの道に出ることができた。
不思議だったのは家に入った時に時計を見たが、いつもの通学時間と同じであったことだ。
家族は部活が長引いたときの反応と同じだった。
「今日遅かったね」と。
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家族に帰り道であったことを話したが、「帰りながら作った話にしちゃよくできてるじゃないの」と言われたくらいのものだった。
次の日になり、その日の部活は休みだったので友達と一緒に例の道を通って帰った。
神社はあったが、立ち入り禁止となっていた。
それよりも、驚いたことがある。
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灯りが付きバンバンと叩かれたはずの窓が、並ぶ家々のどれにも見当たらなかった。
完全な壁であった。そしてさらに奇妙だったのが、裏道に面した玄関口、窓がどの建物にも見受けられず
全て一律して壁であったということだ。
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「おい、本当に昨日ここの道通ったのか?」と友達は神妙な表情で訊いてきた。
「そうだよ。でも昨日は2階に窓とかあったんだけどなぁ」と僕が答えると
「ここ、霊道として割と有名だぜ」と友達が言った。
続けて友達は
「ブルーライトってさ。人を嫌な気持ちにさせることで近寄らせず犯罪を抑制する効果がある反面、人に危害を及ぼす霊たちが集まる場所にもなるんよな。」
「なぜ悪霊が集まるの?」
「人が嫌がる場所に来る霊だぜ?良い霊なわけないだろ」
「そうだね(笑)」
作者カボチャ🎃