短編2
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公衆電話を使うと

実話を元に書きました。

あまり怖くないです。

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おかしな話なのですが、私は公衆電話を使うのが苦手です。使い方はわかっています、テレホンカードだって十枚以上消費しました。

何故苦手かと言いますと、私が公衆電話を通して誰かに掛けている最中、皆必ず

「そこに猫いる?」と聞いてくるからです。

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町にある電話ボックス内でも、駅内に設置されている物でも、決まり文句のように言われます。

我が家は近所でも有名な猫屋敷なので、

もしかしたら今まで病死した猫が背後霊みたいな形でおるんかな?とオカルトチックな考えをしていました。

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高校3年生の頃、私は誕生日に、念願のスマホを両親に買ってもらいました。

友達から色々と操作方法を教わったおかげで使いこなすことが出来ました。

スマホを使うのと引き換えに、公衆電話を使う機会はめっきり減りました。

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卒業式の前日、確か昼前ぐらいの出来事です。

私は3年間通っていた駅を、暫く使うことはないだろうとぼんやり思いながら、下りの電車を待っていました。

そこで、駅に設置されている白い公衆電話が目に留まり、

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そうだ、最後の記念として、本当に公衆電話から猫の鳴き声が聞こえるか試してみようか

と思い付きました。

もし聞こえるのだとしたら、我が家のどの猫なのか当ててみたい気持ちがありました。

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公衆電話に100円を投入して、電話番号は自分の携帯を打ちます。

他所から見ると変人以外の何者でもないのですが、幸いこの時間帯は駅員すら誰もいない、無人駅の状態でした。

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スマホに「公衆電話」と表示され、電話に応答します。

スマホを右耳、公衆電話の受話器を左耳に置きながら検証しました。

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「もしもし」

スマホから自分の声が反響して聞こえます。

「聞こえますか、お返事ください」

暫くそよ風の音だけが聞こえてきます。猫の鳴き声なんて一切しません。

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「やっぱりいないじゃん」

と呟くと、その声も拾ってスマホから自分の声が聞こえてきました。

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その直後

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うあぁぁう

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自分は何も喋っていません。

その声を聞いた途端、気持ち悪くなってすぐ受話器を戻しました。

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猫ではありません。

当時の我が家には色んな鳴き声の子猫、成猫がいました。

周辺の野良や歴代の猫たちを振り返っても、絶対に違うと断言できます。

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人の赤ちゃんの声でした。

その声は、まるで背中におぶっているんじゃないかと思う程、ハッキリと聞こえました…。

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あれから暫く経ちますが、未だに公衆電話を使うのを躊躇っています。

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