長編14
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10人で散歩した時の話

実話を元に書きましたが、基本は私からの視点、自分が分からなかった箇所には他の人から聞いたことを補足として付け加えています。

正直、10年以上経った今から考えると、何かの夢だったのかもしれません…。

とにかく長いです、すみません。

個人名はイニシャル表記です。

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先に登場人物を説明しておきます。

私(N)…当時中学2年生。見た目が完全に「男」だった。心霊現象に遭遇しやすくなったのもこの頃。

n(弟)…当時小学4年生。年上から滅法可愛がられる天賦の才がある。何故かは本人にもよく分かっていない。

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Y君…私の同級生。年下にとても優しい一人っ子。モンハン仲間。

K君…私の同級生。席替えしたら必ずお隣さんになる腐れ縁。性格と話し方によりあだ名が「じいさん」。

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R君…私の同級生。TRPGだとオカルトの知識だけカンストしてそうな曲者。根は優しい。

T君…R君家次男。中学1年生。兄に影響されて怪談話に興味津々だがビビリ。苦労人。

i君…R君家末弟。小学3年生。皆のアイドル。

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A先輩…中学3年生。顔が栗原類に似ている。スゲー男らしい一面がある。

B先輩…A先輩の同級生。私たち中2組にボカロを布教した発信者。そして今回の事件の発端者。

E先輩…A先輩の同級生。3人ともイケメンだがこの人はベクトルの違うイケメン。片想いでした(過去形)。

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9:1=男:女です。

私たちはキックボクシング教室の生徒で、全員同じ地区の学校に通っています。

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夏休みの終わり頃のことです。

キックボクシング教室は、毎週夜の8時に開始して9時に終わることが多いのですが、

この日は先生が仕事の関係で30分も経たずにすぐ帰ってしまい、生徒だけが教室に居残ることとなりました。

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9時過ぎになれば、親の迎えがやって来ます。

全員が保護者の迎えを待たなくてはならなかったので、私たちは円になって他愛もない話をしていました。

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B先輩「あんさ、まだこんなに時間あるけ、裏山の方とか散歩でもしてみん?」

唐突な先輩の提案に、勢いよく返事したのはi君とT君でした。

長男のR君も行きたい様でしたが、

「俺たちライト持ってないんすよ」と答えました。

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私「あ、なら私のリュックの中に、予備のライト3つあるよ。これ使う?まだ電池入れとらん」

n「姉ちゃん持ってきて良かったん?」

弟の言ってることはごもっともで、

当時は結構値段の高かった200ルーメン(大体20m先はしっかり見えるくらい)の懐中電灯を、私はこっそり持ってきてしまいました。

元は祖父が私宛にくれたプレゼントです。

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私「壊さん限り大丈夫」

R君「あ、マジで?じゃあiに貸してやってくれん?」

E先輩「俺も欲しい。一本借りてもええ?」

予備の2本が渡り、残りの1本は誰かのライトが切れた時用として保存しておきました。

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一応、全員が山の散歩に行くということで決まりまして、

各自携帯と小銭とお菓子(私は予備の電池とライト)をポケットに入れて出発しました。

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キックボクシングの教室は、公民館の隣にある小さな建物で、周囲には住宅街が広がっています。

教室の裏手にある北地区方面の道を進めば、B先輩の言う山へ続く道が1本通っています。

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その山は、地元では「カンカン山」と言われているそうで、本当の名前は分かりません。

当時の私も弟も初めて聞く名前でしたし、そもそも北地区に赴いたことすら無かったので新鮮でした。

何故カンカンなのか、というのも当時は不明でした。

カンカン山の道中はまるで別世界のように静かで、家が数軒あるだけ、田んぼや畑が大半を占めています。

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田舎なもので、街灯は1本あればラッキーです。

私たちが出発した頃には、既に辺りは真っ暗でしたが、大きな満月が輝き、『化物語』の例の曲を合唱できる程の夏の大三角形がとても綺麗な夜でした。

大勢で散歩するのは怖いという気持ちを紛らわす効果があるようで、山道に入るまでの時間があっという間に感じました。

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因みに、列の順番としては

A先輩 E先輩 私 n i君 Y君 T君 K君 R君 B先輩

←後 前→

の順に並んでいます。

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B先輩「あれ?分かれてら」

完全に森の中を入った時です。山の頂上に続く石造りの階段まで行こうやと話していたら、ふとB先輩が止まりました。

赤いよだれ掛けをしたお地蔵さま1体が真ん中にあり、そこから綺麗に左右に分かれていました。

Y字の道に着いたみたいです。

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K君「B先輩、もしかして道間違えました?」

A先輩「おーいBさんよおー、後輩ちゃんを困らせんなよ~」

B先輩「うるせぇわ、右だ!俺の勘がそう言っている」

R君「勘すか、勘なんすか、その勘信じていいんすか」

後列は結構ブーイングの嵐だったのですが、B先輩はライトを既に右の道へ向けて歩いてしまいました。

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『さんぽ』の替え歌を、近所迷惑も考えないで合唱しながら、どんどん坂を上っていきました。

前で歌うi君とnは全然怖がる様子は見られませんでしたが、

私は歌声が止んだ時に、やけに虫の音が聞こえないなと気づいて少し怖くなっていました。

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この時期は夏真っ盛りですから、鈴虫やら蜩の音がちょっぴりでも聞こえるはずなのですが…。

山道だと聞こえないのかな、と無理矢理怖い気持ちを押し込んで、必死に歌いながら斜面を歩いていきました。

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すると突然

E先輩「Nさん、ちょっと止まって」

と声を掛けられました。ビックリして振り向けば、スマホで写真を撮られてしまいました。

いきなり先輩がフラッシュを焚いたものですから、前列も「うぉっ!?」と驚いたようです。

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T君「ねーえー今のAくん!?」

私「E先輩よ」

E先輩「ごめん、なんか今の皆の楽しそうな雰囲気、記念に撮りたかっただけやけ。

Bくーん、ビックリさせてごめんなー」

B先輩「お前次にまたやったらぶっ●すぞー!」

特にその後は何事もなく、道なりをずっと歩いていました。

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地面が土から石畳に変わったところで、頂上が近いことが予想されました。

この時初めて知ったのですが、先輩方は一度頂上に登ったことがあるらしく、

他の面子はそもそもカンカン山に入るのは今回が初めてでした。

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n「姉ちゃん姉ちゃん、お寺にあるやつがある」

急に前から弟が話しかけてきました。

弟のライトが指す方を見れば、ごろんと大きな、邪鬼を踏み潰す石像の跡がありました。

確かに、私たちが参拝するお寺の門前にある像とそっくりです。

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しかし、その像は邪鬼を踏みつける下半身しかありません。

その上は土砂崩れか何かで削れてしまったのでしょう、どんな人物かは分からない状態でした。

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私「他にもありそう?」

n「さっき来る途中にもあった。けどこんな大きゅうなかった」

K君「うへぁっ、何かでかいのがあるー!」

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情けない声を挙げたK君の方を見ると、私たちのいる場所よりもずっと先にK君とR君がいまして、二人はそこで何かを見つけたようでした。

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急いで駆けつけると、そこにも邪鬼を踏みつける何かの石像の跡がありました。

やはりそれも、上半身がスパッと綺麗に切れていまして、私と弟が見つけたものと何ら変わらない状態でした。

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邪鬼だけはおぞましい顔の作りを保っており、目線がちょうど私たちを睨むような形に彫られていたので、

i君は泣きかけていました。

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i君「兄ちゃんもう帰ろうよ…」

R君「ばっか、この先はあと階段昇るだけやし。そしたら帰るけ、それまで我慢しろよな」

兄の言葉に渋々納得したi君でしたが、やはり見慣れないものに怖いという気持ちは拭えないのでしょう、

nとY君の手をぎゅっと繋いで真ん中に挟まれながら歩いていました(可愛い)。

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像のことはあとにして、私たちは再び一列になって階段を目指して歩いたのですが…

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何だかやけに石畳の道が続いています。

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虫の音も風の音もしない、開けた道をひたすら歩いてばかりで、次第に皆の口数が少なくなっていきました。

ライトの先は一向に石畳ばかりを照らし、

とうとう先頭のB先輩は足を止めてしまいました。

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B先輩「……すまん、俺、もしかしたら道を間違えたかもしれん」

当然皆から大ブーイングが来ます。

ふざけんなよ、とか

どれだけ歩かせたと思ってんすか、とか

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当時の私たちもまだ中学生でしたから好き放題にB先輩を責めてしまいました。

そしてB先輩も思春期ですから、逆ギレして負けじと言い返します。

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B先輩「知らねぇし!俺はお前らの先生でもパパでもないんだぞ!

つか、そんな文句あるなら今すぐ戻る、退け、ひけー!!」

シッシッとあっち行けのハンドサインをするB先輩。

A先輩が宥めるのですが、怒りが収まらないようでA先輩にも当たっていました。

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雰囲気が行きと比べて圧倒的に悪くなった帰り道は、

今度はE先輩が先頭になり、黙って来た道を引き返して行ったのですが…

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…なかなか地面が土に変わらなくて。

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私はあの時、暑いというよりも、

何か道が長くない?と考えてしまい、

冷や汗が全身の毛穴から噴き出した気がしました。

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異変を感じたのは私だけではなく、皆も同じようでした。

E先輩「…おい、B、この道で合ってるよな?」

B先輩「…………」

E先輩「おーい、Bさま~、何か言ってくださいまし~」

n「…待って、俺ら帰れるん?」

私「帰れるはずよ、多分…」

Y君「B先輩、大丈夫ですか?気分悪いんですか?」

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B先輩はひたすら無言でした。

私はこの時頭の中で、当時テレビで見たばかりの『蟲師』というアニメを思い出していました。

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その話の題名は忘れてしまったのですが、

主人公が山のヌシのせいで冬の山に閉じ込められてしまい、抜け出せない状況に陥る展開がありまして、

急にそれがフラッシュバックして喉が苦しくなりました。

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弟のいる手前、弱音は見せたくなかった私はとにかく気丈に振る舞ってみましたが、

T君のライトが消えて

誰かの叫び声があがった時に驚いて躓いてしまいました。

T君「消えた消えた!電池!電池ない!ヤバイ!」

R君「落ち着けT!電池あるから落ち着け!Nさん電池ちょうだい!」

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結局私かよ!というツッコミはともかく、私も転んでライトを落としてしまいました。

E先輩「Nさん大丈夫?怪我してない?」

私の前にいたE先輩がライトを拾ってくれたのですが、

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その時にハッキリと

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カンッ

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と聞こえました。

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缶を蹴る音ではなく、石細工の時のような、石を削る音に近い「カンッ」という音でした。

引き返した先から響いてきます。

T君は何とか落ち着き、他の人もT君を宥めるのに必死だったため、誰も気づいてないようでした。

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ふと急に、皆を走らせないと、という衝動に駆られまして、

その時私が何と言ったのか忘れてしまったのですが、

一番後ろにいたB先輩の手を掴んで、他の人たちを前へ前へと押し出したのは覚えています。

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B先輩「Nちゃん!?何々どうしたん!?」

R君「え、まさかNさん、先輩と駆け落ち!?」

私「うるさい、おんし弟連れて走れや!!」

R君は肝が据わっていると言えばいいのか、こんな時でも軽口を叩けるウザい男でした。

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しかし、物事を冷静に判断できる人であるため、私の突発的な行動に了解して

R君「お前らゴーストクイーンが仰せだから走れや!」

と指示してくれました。

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後ろから

カンッ

カンッ

カン カン カン カン

カンカンカンカンカンカンカンカン

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確実に、何かが、私たちを追いかける音が聞こえてきます。

B先輩は後ろを振り返って「うわっ」と何かを見たようでしたが、

私は「後ろ気にしている暇があるなら走ってくれませんかね!」と問答無用で腕を引っ張りました。

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カンカンという音は先頭にも聞こえてきたようで、

i君をおんぶするY君が「みんな後ろ見んなよ!」と怒鳴ってくれました。

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全速力で走るのですが、やはり石畳の道から抜け出せません。

B先輩のライトが消えました。

ヤバイヤバイ、と声がしましたが、私のライトで足元を照らしながら走りました。

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20mシャトルランの最高記録が29の私は、

正直いつ転んでもおかしくないくらいに足と体力が限界でした。

その時先頭で、誰かが派手に転んだ音がしました。

Y君「じいさん大丈夫か!?」

K君が転んだようです。

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全員が途中で止まり、K君を起き上がらせるのに少し手間取ってしまいました。

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カンカンカンカン

…カン

音が止まりました。

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私たちは、初めて音の鳴る方を照らしました。

以下、一番視力の良かったA先輩から聞いたものです。

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・漆のような赤い体だった

・馬と同じく目が横に付いており、目玉が飛び出ていた

・人ではないが人の姿だった(?)

・パイオツがあった

・しめ縄のようなものを引きずっていた

・多分四足歩行(下半身は見えなかった)

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私は赤い何かが這っている姿は確認できましたが、正直そこまで詳しくは分かりませんでした。

しかし、私たちが一斉に照らすとあの五月蝿い音が止んで、

目の前にいる赤い『何か』も止まっている様子でした。

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E先輩「キモ…なにあれキモい…」

A先輩「ええか、怖いかもしんないけど蹴るなよ…」

私はすぐにT君に予備の電池を渡して、B先輩に予備のライトを渡しました。

音がカチャカチャ鳴っても、ライトで照らす『何か』は全く身動きもしませんでした。

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全員のライトが音の先を照らすことができました。

i君は泣き出してしまい、B先輩も「皆ごめんなさい」と謝りながら泣いてしまいました。

化け物を見つけても帰り道が無いのです。

隣の竹藪に突っ込む勇気(と考え)はありませんでした。

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その時、誰かが何かを投げました。

ピンポン玉サイズのソーダ飴です。

n「飴玉持ってる人向こうに投げて!はやく!」

弟の切羽詰まった声に、飴を取り出すのも焦ります。

私とR君、A先輩とE先輩が飴玉を持っていたので、

全員で節分のように「鬼は外ー!」と飴を地面に投げつけました。

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すると、赤い『何か』は飴玉をかき集め始めました。

明らかに人の手です。

妙に長いそれが何本も出てきて、

少なくとも10本以上は暗闇から現れたのを見てしまいました。

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正直に告白すると、中学生なのに、女なのに、

少し漏らしてしまいました。

怖くて腰が抜けてしまいましたが、

その時、地面が冷たい石ではなく、湿った土という感触がしました。

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R君が、私の腕を引っ張ってくれました。

R君「Nさん帰るから!立って!!」

その後はR君に引っ張られながら、山から抜け出すことができたようでした。

どういうルートを辿ったのかはもうあやふやで、気づけば教室の中に戻って皆と一緒に固まっていました。

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時計はようやく9時になったところで、あんなに長いと感じたのが嘘のようでした。

しかし、皆息を切らしています。

i君はY君の背中で眠っていて、K君は転んだせいで白い服が泥だらけになっていました。

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二度も転んだ私は、お気に入りのROXYのTシャツを汚してしまいました。

弟から「帰ったら姉ちゃんから風呂入れよ」と言われてしまいました。

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9時を過ぎた頃、保護者数人が教室内に入って、明らかに汚れている私たちを見て絶叫していました。

R君家は兄弟全員が服を汚していたので、お母様はかなりご立腹のようでした。

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勿論私たち姉弟も、母から何があったのか訊かれました。

私が「裏にあるカンカン山に、皆で行ったそ」と言うと、

B先輩とE先輩のお母さんが此方に詰め寄ってきました。

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誰が行こうと言ったほ?とか

れーふー?(すみません分かりません)を取ったか?とか

普段あまり話したことのないお母様方から殺されるんじゃないかという勢いで質問されました。

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素直に言うとB先輩が酷い目に遭うかもと不安になり黙っていると、

A先輩「すみません、俺が言い出しました。授業が早く終わったから、皆を山に連れて行きました」

まさかのA先輩が、嘘で名乗り出てしまいました。

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B先輩「違う!違うんよ母さん、俺が山に行こうって言ったほ、本当にごめん!Aは俺を庇って嘘を言っちょるほ!」

土下座するB先輩につられて、私たち全員が保護者に向かって土下座して謝りました。

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E先輩のお母さんは正座をして

「あんたら、何か鬼みたいなもんに会うたか?」

と訊いてきました。

鬼、という言葉にあたるかはわかりませんが、

少なくとも全員おかしなものを見たことを正直に話しました。

チラリと上を見ると、E先輩のお母さんの目が明らかに据わっていて、下手したらあの赤い『何か』よりも恐ろしく感じました…。

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その後は中2組の保護者の説得によって、私たちは特に罰を受けることもなく解散しましたが、

あの日以来、B先輩とE先輩は教室に通わなくなりました。

そして10月になると、先生の都合によりキックボクシング教室は潰れることが決まってしまいました。

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このメンバーで会うのも最後だね~、といつものように保護者の帰りを待っている時に、

私はA先輩から呼び出されました。

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A先輩「Nちゃん…あのさ、例の山に行った時のこと、まだ覚えとる?」

私「…はい……B先輩と、E先輩のことですか?」

A先輩「うん、どっちかって言うとEのことかな」

先輩はスマホのLINEを開いて、何かを見せてきました。

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写真です。

そこには私と弟、ぼんやりとi君とY君が見えて、

その周辺をぶわぁと蚊柱のようにオーブらしきものが映っているだけでした。

A先輩「Eからメッセ来てさ、『Nさんに何か見えるか聞いてほしい』って言われたんよ。

何かわかる?」

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私「…すみません、正直オーブの数すげぇなってくらいしか分かりません」

A先輩「そっかー、うん、Nちゃんありがとうね。Eにそう伝えとくわ」

A先輩はまた学校で会おうね、と言ってそのまま別れました。

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中途半端になってすみません。

その後A先輩と再会したのは卒業式でしたが、B先輩とE先輩は参列しておらず、

その後も会う機会は全くありませんでした。

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後日談が2つあります。

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①何であの時弟が「飴玉投げろ」と言ったのか

n「人の頭って飴玉みたいな形をしとるから、

幽霊に食われそうになるんやったら飴玉投げろって漫画で見た」

…どんな漫画読んだんだよと呆れてしまいましたが、結果オーライ(?)だったので弟には密かに感謝しています。

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②カンカン山とは

一昨年のことなんですが、ローカルラジオ番組で怪談特集をやっておりまして、リスナーが投稿した話に「カンカン山」があったんです。

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内容がうろ覚えなんですが…

昔、私の地元は水害により不作の時期が続いて、飢餓に苦しむ家が絶えなかったそうです。

そこで村の人々は山にお社(祠だったかも)を建てて豊作を祈りました。

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しかし、供えられる食べ物が無いのでどうしようかと悩んだ結果

活きの良い若い娘たちを無理矢理連れていって

社の中に出られないよう閉じ込めたか何かで神様に捧げたらしく、

その年は米も野菜も逞しく育ったのだそうです。

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当然娘たちの祟りを恐れた村の人たちは、

山に数体のモリビト(?)を置いて、社に極力近づかないように結界を張ったとのこと。

…地元信仰と言うのでしょうか、あまり私は聞いたことの無い話でしたが

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「社に閉じ込められた娘達が怒り狂うから

その山は『カンカン山』と言われている」

というオチにゾッとしたのは覚えています。

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