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皆さんには、、、
絶対にウソだろーっ?って、
思われるかも知れません。
いや、きっと、そう思われますねー。
( あひるは、嘘つきなので 笑 )
しかし、この話は、
何度も書くのを躊躇いながら、
でも、投稿した実話です。
後は、読み手の皆様の取り方次第で、
お願い致します。
今回、この話を書くにあたり、
当時の恐怖を思い出しました。
今日の夜は、
クマのぬいぐるみと一緒に寝ます。
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この話は、大学時代に、
皆で、夜景を見に行った時の話。
(恒例の、心霊スポットツアーでは無い。)
男の先輩4人と、
女の先輩1人、
後輩の女の子が1人、7人で行った。
運転手の先輩の車が、
ハイエースだった為、
(私は、いつも、
何で、ハイエースに乗ってんかな、
しかも、ボロいし、、、とか、
かなり偉そうな立場で、
思っていたのだが、
それが、役に立つ時もあり、、、。
まぁ、彼なりに事情もあるのだろうと、
そこいら辺は、そっとしておいていた。)
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「今日は、寒いからさー、
キレイな夜景が見れるなー」
誰かが、気持ちの悪い事を言った。
そうして、F山の麓の、
小高い山の下で車は止まった。
「こっからは、
歩いて行かなきゃだからさー、
まぁ、大した距離じゃあ無いよー」
みんな、車から降りる。
しかし、何故だか私は、
車から降りなかった。
と、言うか、降りれなかった。
「あっ、私、車で待ってるわ。」
そう言ったが、
周りは「何で?」と、なる。
そりゃあそうだ。
すると、後輩の女の子が言った。
「私、たぶん、坂道登るのに、
時間かかるかも知れないし、、、。
1人で車にいるのも不安だし、
Kさん ( 私の事です ) と、車にいたいかな。」
その後輩は、右足が、少し不自由だった。
皆は、納得して小高い山に向かって行った。
その間、車内で後輩と話した。
「何でかさ、車から降りたくなくてねー、
でも、Mちゃん (後輩の女の子) が、
あぁ言ってくれて、助かったわ。
ありがとう!」
「いや、Kさん、
実は、私も降りたくなかったんですよ。
行きたかったら、行ってますし、、」
「、、、そっか、、
じゃあ、2人で車に残れて良かったねー」
ちなみに、
後輩の女の子は、学生結婚をしており、
お腹には命がいる。
うん?逆か。
まぁ、できちゃいましたけどー?結婚だ。
( 旦那は、夜景を見に行きやがったが。)
なので、赤ちゃんがお腹にいるから、
余計に、暗がりの坂道は危ないし。
不意に、
私の座っている左側の窓ガラスを、
ドンッドンッドンッと、叩かれた。
私は、みんなが帰って来たのかと思い、
( えっ?早くない? どしたん!?) と、
暗闇の中、眉間に皺を寄せて窓ガラスを見た。
、、、?
、、、、、、誰だ?
窓ガラスを叩いていたのは、
工事現場によく居そうなおっさんだった。
( 車を、ここに止めてたのを、
注意しに来たんかな?)
私は窓ガラス越しに言った。
「すみません!!
すぐ、帰りますんでー!!」
しかし、おっさんは窓ガラスを叩く。
( えっ、何!?
何かあったんじゃない?)
私が、窓を開けようとした瞬間に、
後輩が、私の右手を強く掴んだ。
「Kさん、ダメだよっ!!」
私は、( えっ?) と、固まった。
暫く、沈黙が流れた。
そうして、段々と声が聞こえ始めた。
「、、の、くれ、かえり、だ、さ、、」
「く、まにの、ぜでくれ、、、
がえりだい、ざ」
「ぐるまにのぜてくれかえりだいんざ」
「ぐるまにのぜでぐれがえりだいんざ」
「ぐるまにのぜでぐれがえりだいんざ」
「ぐるまに、、、ぐるまに、、、」
私は、後輩に、
「耳を塞いで、目を瞑ってて!!」
と言い、私の方へ抱き寄せた。
おっさんは、
さっきのおっさんとは別人かのように、
顔がぐちゃぐちゃだった。
( この話を、
ウソだと思ってもらっても良い。
そんな事は、
もはや、私にはどうでも良い。)
だけど、鮮明に覚えている。
顔中、血や泥?にまみれ、
鼻血が出てる、
口からも、どす黒い血が垂れ流れている、
首元は、覚束無い。
左頭は、陥没したかのように全く無く、
そうして、左目もずり落ちてる、
右目だけが、
月明かりでキラキラ光っている、、、。
、、私は、、、かなり怖かったが、
目が離せなかった。
相変わらずおっさんは、窓ガラスを叩く。
叩く度に、窓ガラスに血がつく。
私は、
生きてる人では無い、、、
そう思った。
今までもそうだけど、
人間は、守らなければいけない人がいると、
何でもできる。
しかも今回は、2人も大事な人がいる。
私は、窓ガラス越しに、おっさんに言う。
「あんたは、この車には乗れない。
早く帰れ。」
「のぜでぐれぇー、のぜでぐれぇー、」
おっさんは、叫ぶ。
完全無視。
しかし、
窓ガラスを叩く力が強くなって来た。
私は後輩に、もう1度、
「耳を塞いで、目を瞑っているように」
と伝え、おっさんに言った。
「無理だから。
この車、8人乗りだし、満員です。
だから、あんたは乗れません。
他の人の車に乗って。
帰りたいとか言われてもさ、
正直、あんたとは関係無いから。」
「ごねがいだよー、がえりでえんだよー」
「知らん。」
暫くおっさんは、窓を叩き続けていた。
私も、窓の下のドアを蹴っ飛ばしていた。
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そのうち、静かになる。
( 帰ったかー ) と、窓を見ると、
少し離れた所で、
ボーッとおっさんが立っている。
少しだけ、笑っているようにも見えた。
手に、何か持っている。
( やべぇ、調子に乗りすぎたな、私、、、。
どうすっかなー、、、
しかも、何で、
みんな、早く帰って来ないんだよっ!!)
、、、。
私の悪い所1、、、
1度ブチ切れると、相手が誰彼構わず、
クソみてぇな事をしてたら、
イライラしてしまう所だ。
早く白黒つけたい。
待つ、とか、耐えるとか、有り得ん。
( 反省です、、、
、、ショボーン。
取り返しのつかない事になる、恐れもあるのに。)
そうして、
イライラ絶好調の私の、
丁度、目の前に、ビールの空き缶があった。
( あぁー!!
気味悪ぃクソったれジジィめがぁー!!
もう、知らんっ!!)
私の悪い所、その2、、、
口が悪い、、、ショボーン。
そうして、
窓を開け、おっさんの方に、
ビールの空き缶を投げた。
で、唸り散らした。
「それっ、くれてやるから、
今、この車に乗ってる、他の2人には、
絶対に、手ぇ出すんじゃねーぞっ!?
おぃ、おっさん!!
分かったんかいっ!?
あぁっ!?返事せぇや!?」
おっさんは、
ビールの空き缶を持ちながら、
首を動かしつつ、暗闇に消えて行った。
( はぁ!?
分かったって事かぁ?
スプラッター映画みてぇな、くそジジィめが!
見た目が、グロ過ぎんだよっ!!」
そうして、
後輩に、声を掛けた。
「もう、大丈夫だ、と、、思う、よ?」
後輩は笑顔で、抱きついてきた。
余程、怖かったんだろう。
しかし、あの時に、、、
1番最初の時点で、
後輩に止められていなければ、
私は、窓を開けていた。
「ありがとね。」
私は、静かに後輩達に言った。
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しばーらくして、皆が戻って来た。
女の先輩は、プンプン。
「全然、夜景なんて、
キレイじゃあ無いじゃんっ!!
騙されたー」
そうして、皆が車に乗り込み、
帰る事になった。
F山を降りた辺りで、
女の先輩が、ポツリと言い出した。
「ねぇ、Kさー、
何で車から降りなかったん?」
「、、、。
分かんないんです。
だけど、何故だか、何だか、、、
車から降りたくなかったんです。
すみません。」
「謝る事じゃあ無いよー。
あの後さ、私らは、夜景を見に、
山を上がって行ったじゃん?
そしたらさ、変な石碑があってねー、
皆で、見たんだけど。
そしたらさ、
慰霊碑、だったん、だ、、よね、、、。
確かに、昔、聞いた事があるんさね、
この道路を作る時に、
山崩れ?の事故で、死人が出たって。
まださー、
行方不明の人もいるらしくってね。
だから、Kは、車から降りたくても、
降りられなかったんじゃあ無いかなって。
ほら、あんた、そう言うの得意じゃん?」
( 、、、。
得意?、、では無い、、、。
すこーし、いや、かなり、
表現を間違えていらっしゃる、、、)
しかし、
私と、後輩の女の子は、
その話を聞きながら、手をギュッと握った。
私達は、あの出来事を、
誰にも話さなかった。
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その後、後輩の女の子には、
元気な男の子が産まれた。
「Kさーん!抱っこしてあげて」
って言われて、
緊張しながら抱っこしたのを、
今でも覚えている。
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正直な所、
単に『夜景を見に行く』と言う話から、
心霊スポットツアーよりも、
恐ろしい体験をするとは思わなかった。
有り得なかった。
あのおっさんは、
本当に、家に帰りたかったのだ。
それは私にも、
十分過ぎるほど分かっている。
かなり可哀想だとも、思う。
しかし、
私達が、してあげられる事と、
私達が、してあげられない事がある。
それを、、、してあげられないのであれば、
変な同情は、無意味だ。
作者退会会員
完全な実話です。
その時、お酒なども飲んでいませんでしたし 笑。
もし、この話をお読み頂いた方が、
感じられた事を、そのまま感じて頂ければ、
嬉しく思います。
『私が体験した事』です。