中編7
  • 表示切替
  • 使い方

夜景スポット?

wallpaper:1063

皆さんには、、、

絶対にウソだろーっ?って、

思われるかも知れません。

いや、きっと、そう思われますねー。

( あひるは、嘘つきなので 笑 )

しかし、この話は、

何度も書くのを躊躇いながら、

でも、投稿した実話です。

後は、読み手の皆様の取り方次第で、

お願い致します。

今回、この話を書くにあたり、

当時の恐怖を思い出しました。

今日の夜は、

クマのぬいぐるみと一緒に寝ます。

separator

この話は、大学時代に、

皆で、夜景を見に行った時の話。

(恒例の、心霊スポットツアーでは無い。)

男の先輩4人と、

女の先輩1人、

後輩の女の子が1人、7人で行った。

運転手の先輩の車が、

ハイエースだった為、

(私は、いつも、

何で、ハイエースに乗ってんかな、

しかも、ボロいし、、、とか、

かなり偉そうな立場で、

思っていたのだが、

それが、役に立つ時もあり、、、。

まぁ、彼なりに事情もあるのだろうと、

そこいら辺は、そっとしておいていた。)

separator

「今日は、寒いからさー、

キレイな夜景が見れるなー」

誰かが、気持ちの悪い事を言った。

そうして、F山の麓の、

小高い山の下で車は止まった。

「こっからは、

歩いて行かなきゃだからさー、

まぁ、大した距離じゃあ無いよー」

みんな、車から降りる。

しかし、何故だか私は、

車から降りなかった。

と、言うか、降りれなかった。

「あっ、私、車で待ってるわ。」

そう言ったが、

周りは「何で?」と、なる。

そりゃあそうだ。

すると、後輩の女の子が言った。

「私、たぶん、坂道登るのに、

時間かかるかも知れないし、、、。

1人で車にいるのも不安だし、

Kさん ( 私の事です ) と、車にいたいかな。」

その後輩は、右足が、少し不自由だった。

皆は、納得して小高い山に向かって行った。

その間、車内で後輩と話した。

「何でかさ、車から降りたくなくてねー、

でも、Mちゃん (後輩の女の子) が、

あぁ言ってくれて、助かったわ。

ありがとう!」

「いや、Kさん、

実は、私も降りたくなかったんですよ。

行きたかったら、行ってますし、、」

「、、、そっか、、

じゃあ、2人で車に残れて良かったねー」

ちなみに、

後輩の女の子は、学生結婚をしており、

お腹には命がいる。

うん?逆か。

まぁ、できちゃいましたけどー?結婚だ。

( 旦那は、夜景を見に行きやがったが。)

なので、赤ちゃんがお腹にいるから、

余計に、暗がりの坂道は危ないし。

不意に、

私の座っている左側の窓ガラスを、

ドンッドンッドンッと、叩かれた。

私は、みんなが帰って来たのかと思い、

( えっ?早くない? どしたん!?) と、

暗闇の中、眉間に皺を寄せて窓ガラスを見た。

、、、?

、、、、、、誰だ?

窓ガラスを叩いていたのは、

工事現場によく居そうなおっさんだった。

( 車を、ここに止めてたのを、

注意しに来たんかな?)

私は窓ガラス越しに言った。

「すみません!!

すぐ、帰りますんでー!!」

しかし、おっさんは窓ガラスを叩く。

( えっ、何!?

何かあったんじゃない?)

私が、窓を開けようとした瞬間に、

後輩が、私の右手を強く掴んだ。

「Kさん、ダメだよっ!!」

私は、( えっ?) と、固まった。

暫く、沈黙が流れた。

そうして、段々と声が聞こえ始めた。

「、、の、くれ、かえり、だ、さ、、」

「く、まにの、ぜでくれ、、、

がえりだい、ざ」

「ぐるまにのぜてくれかえりだいんざ」

「ぐるまにのぜでぐれがえりだいんざ」

「ぐるまにのぜでぐれがえりだいんざ」

「ぐるまに、、、ぐるまに、、、」

私は、後輩に、

「耳を塞いで、目を瞑ってて!!」

と言い、私の方へ抱き寄せた。

おっさんは、

さっきのおっさんとは別人かのように、

顔がぐちゃぐちゃだった。

( この話を、

ウソだと思ってもらっても良い。

そんな事は、

もはや、私にはどうでも良い。)

だけど、鮮明に覚えている。

顔中、血や泥?にまみれ、

鼻血が出てる、

口からも、どす黒い血が垂れ流れている、

首元は、覚束無い。

左頭は、陥没したかのように全く無く、

そうして、左目もずり落ちてる、

右目だけが、

月明かりでキラキラ光っている、、、。

、、私は、、、かなり怖かったが、

目が離せなかった。

相変わらずおっさんは、窓ガラスを叩く。

叩く度に、窓ガラスに血がつく。

私は、

生きてる人では無い、、、

そう思った。

今までもそうだけど、

人間は、守らなければいけない人がいると、

何でもできる。

しかも今回は、2人も大事な人がいる。

私は、窓ガラス越しに、おっさんに言う。

「あんたは、この車には乗れない。

早く帰れ。」

「のぜでぐれぇー、のぜでぐれぇー、」

おっさんは、叫ぶ。

完全無視。

しかし、

窓ガラスを叩く力が強くなって来た。

私は後輩に、もう1度、

「耳を塞いで、目を瞑っているように」

と伝え、おっさんに言った。

「無理だから。

この車、8人乗りだし、満員です。

だから、あんたは乗れません。

他の人の車に乗って。

帰りたいとか言われてもさ、

正直、あんたとは関係無いから。」

「ごねがいだよー、がえりでえんだよー」

「知らん。」

暫くおっさんは、窓を叩き続けていた。

私も、窓の下のドアを蹴っ飛ばしていた。

separator

そのうち、静かになる。

( 帰ったかー ) と、窓を見ると、

少し離れた所で、

ボーッとおっさんが立っている。

少しだけ、笑っているようにも見えた。

手に、何か持っている。

( やべぇ、調子に乗りすぎたな、私、、、。

どうすっかなー、、、

しかも、何で、

みんな、早く帰って来ないんだよっ!!)

、、、。

私の悪い所1、、、

1度ブチ切れると、相手が誰彼構わず、

クソみてぇな事をしてたら、

イライラしてしまう所だ。

早く白黒つけたい。

待つ、とか、耐えるとか、有り得ん。

( 反省です、、、

、、ショボーン。

取り返しのつかない事になる、恐れもあるのに。)

そうして、

イライラ絶好調の私の、

丁度、目の前に、ビールの空き缶があった。

( あぁー!!

気味悪ぃクソったれジジィめがぁー!!

もう、知らんっ!!)

私の悪い所、その2、、、

口が悪い、、、ショボーン。

そうして、

窓を開け、おっさんの方に、

ビールの空き缶を投げた。

で、唸り散らした。

「それっ、くれてやるから、

今、この車に乗ってる、他の2人には、

絶対に、手ぇ出すんじゃねーぞっ!?

おぃ、おっさん!!

分かったんかいっ!?

あぁっ!?返事せぇや!?」

おっさんは、

ビールの空き缶を持ちながら、

首を動かしつつ、暗闇に消えて行った。

( はぁ!?

分かったって事かぁ?

スプラッター映画みてぇな、くそジジィめが!

見た目が、グロ過ぎんだよっ!!」

そうして、

後輩に、声を掛けた。

「もう、大丈夫だ、と、、思う、よ?」

後輩は笑顔で、抱きついてきた。

余程、怖かったんだろう。

しかし、あの時に、、、

1番最初の時点で、

後輩に止められていなければ、

私は、窓を開けていた。

「ありがとね。」

私は、静かに後輩達に言った。

separator

しばーらくして、皆が戻って来た。

女の先輩は、プンプン。

「全然、夜景なんて、

キレイじゃあ無いじゃんっ!!

騙されたー」

そうして、皆が車に乗り込み、

帰る事になった。

F山を降りた辺りで、

女の先輩が、ポツリと言い出した。

「ねぇ、Kさー、

何で車から降りなかったん?」

「、、、。

分かんないんです。

だけど、何故だか、何だか、、、

車から降りたくなかったんです。

すみません。」

「謝る事じゃあ無いよー。

あの後さ、私らは、夜景を見に、

山を上がって行ったじゃん?

そしたらさ、変な石碑があってねー、

皆で、見たんだけど。

そしたらさ、

慰霊碑、だったん、だ、、よね、、、。

確かに、昔、聞いた事があるんさね、

この道路を作る時に、

山崩れ?の事故で、死人が出たって。

まださー、

行方不明の人もいるらしくってね。

だから、Kは、車から降りたくても、

降りられなかったんじゃあ無いかなって。

ほら、あんた、そう言うの得意じゃん?」

( 、、、。

得意?、、では無い、、、。

すこーし、いや、かなり、

表現を間違えていらっしゃる、、、)

しかし、

私と、後輩の女の子は、

その話を聞きながら、手をギュッと握った。

私達は、あの出来事を、

誰にも話さなかった。

separator

その後、後輩の女の子には、

元気な男の子が産まれた。

「Kさーん!抱っこしてあげて」

って言われて、

緊張しながら抱っこしたのを、

今でも覚えている。

separator

正直な所、

単に『夜景を見に行く』と言う話から、

心霊スポットツアーよりも、

恐ろしい体験をするとは思わなかった。

有り得なかった。

あのおっさんは、

本当に、家に帰りたかったのだ。

それは私にも、

十分過ぎるほど分かっている。

かなり可哀想だとも、思う。

しかし、

私達が、してあげられる事と、

私達が、してあげられない事がある。

それを、、、してあげられないのであれば、

変な同情は、無意味だ。

Normal
コメント怖い
10
10
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信

@あひるちゃん
投稿よろしくお願いします。楽しみに待っております。

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信