短編2
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体験談

 某県に住んでいた頃に、自分で体験した話と、人から聞いた話をまとめたい。

 

 現在は引っ越して別の場所に住んでいる。

 そこは※※※※※と呼ばれる場所であったらしい。

 伏せたのは、名前を出してしまうと、出した人によくないことが起こると、人に言われたからだ。

 

 これだけでも分かる人には分かると思うが、分からない人にざっくり説明すると、よくないもの、が留まり続ける場所という感じだ。

 こうした場所は意外とたくさんあり、有名どころを人から聞かされただけでも、両手の指では足りないほどあった(具体的な場所を聞いたが大半は忘れた)。

 ざっくばらんに言ってしまえば、幽霊のいっぱいいる場所となる(俺流の解釈にすぎない、怒られるかも)。

 そんな場所で体験した話。

 今回はその中でも俺が最初に体験した話。

 はじめに言っておくと、軽い内容だし、オチはない。

 大学を卒業してもフリーターをして、定職に就かなかった俺を見かねたのか、親と叔父のはなしあいがあったのか、叔父が自分の会社で俺を雇ってくれることになった。

 俺は気が向かなかったが、断る理由も見つからず、流れでそこに就職した。

 叔父の会社は何でも屋(正確には違うが)みたいな会社。でも、実際は人手の足りない工事現場で雑用をやるのが主な仕事だった。

 俺は行ったこともない場所に行き、叔父が用意した、安アパートにぶち込まれた。

 慣れない工事現場にヒイヒイ言いながら必死で仕事した。

 

 1週間くらい経って、先輩と飯を食いに行った。

 先輩は俺よりも二回りは上。

 年が近いやつは周りにいなかった。

 仕事終わりで、場所は適当なファミレス。

 俺と年嵩の先輩二人の合計三人。

 席に案内されると、隣の空席にコップが一つだけおいてあった。

 そこで飯を食い終わり、先輩の話を聞いていた。

 話を聞いていると、店員が終わった皿を下げる。

 あれ、と思った。

 隣の空席にコップが置いたままだ。

 

 客はいないようなのに、こっちは片付けないのか。

 俺がジロジロと隣席を見ていると

「見るな」

 先輩の声がした。

 

 さっきまでの柔らかい声色ではなく、無機質な、緊張しているような声だ。

 咄嗟に先輩を見ると、さっきまであった笑顔は消え、無表情になっている。

 俺は何だか怖くなり、そっちを見るのをやめた。

 その後、すぐに店を後にした。

 

 俺はまだ気付いていないが、後から思うと、この場所では、こんなことが日常茶飯事なのだった。

 

 

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