某県に住んでいた頃に、自分で体験した話と、人から聞いた話をまとめたい。
現在は引っ越して別の場所に住んでいる。
そこは※※※※※と呼ばれる場所であったらしい。
伏せたのは、名前を出してしまうと、出した人によくないことが起こると、人に言われたからだ。
これだけでも分かる人には分かると思うが、分からない人にざっくり説明すると、よくないもの、が留まり続ける場所という感じだ。
こうした場所は意外とたくさんあり、有名どころを人から聞かされただけでも、両手の指では足りないほどあった(具体的な場所を聞いたが大半は忘れた)。
ざっくばらんに言ってしまえば、幽霊のいっぱいいる場所となる(俺流の解釈にすぎない、怒られるかも)。
そんな場所で体験した話。
今回はその中でも俺が最初に体験した話。
はじめに言っておくと、軽い内容だし、オチはない。
大学を卒業してもフリーターをして、定職に就かなかった俺を見かねたのか、親と叔父のはなしあいがあったのか、叔父が自分の会社で俺を雇ってくれることになった。
俺は気が向かなかったが、断る理由も見つからず、流れでそこに就職した。
叔父の会社は何でも屋(正確には違うが)みたいな会社。でも、実際は人手の足りない工事現場で雑用をやるのが主な仕事だった。
俺は行ったこともない場所に行き、叔父が用意した、安アパートにぶち込まれた。
慣れない工事現場にヒイヒイ言いながら必死で仕事した。
1週間くらい経って、先輩と飯を食いに行った。
先輩は俺よりも二回りは上。
年が近いやつは周りにいなかった。
仕事終わりで、場所は適当なファミレス。
俺と年嵩の先輩二人の合計三人。
席に案内されると、隣の空席にコップが一つだけおいてあった。
そこで飯を食い終わり、先輩の話を聞いていた。
話を聞いていると、店員が終わった皿を下げる。
あれ、と思った。
隣の空席にコップが置いたままだ。
客はいないようなのに、こっちは片付けないのか。
俺がジロジロと隣席を見ていると
「見るな」
先輩の声がした。
さっきまでの柔らかい声色ではなく、無機質な、緊張しているような声だ。
咄嗟に先輩を見ると、さっきまであった笑顔は消え、無表情になっている。
俺は何だか怖くなり、そっちを見るのをやめた。
その後、すぐに店を後にした。
俺はまだ気付いていないが、後から思うと、この場所では、こんなことが日常茶飯事なのだった。
作者某コンビニ店員