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ある日、アパートのポストを開けると、
一通の手紙が入っていた。
差出人の名前は無いし、
更に、消印も押されていない。
(何だ、これ、、、?)
部屋に入り、中身を見てみる。
そこには、
女性の文字で、何やら書かれていた。
オレは読んでみる。
『あなたは、3日後に、
仕事に行く途中の、横断歩道で、
轢かれます。
そうして、死にます。』
(何だ、これ、気味悪ぃ、、、)
そう思って、オレは、
その手紙をシュレッダーにかけた。
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その3日後に、
オレは、会社に行く為に横断歩道を
渡ろうとしていた。
信号は、青。
その時に、オレは、
ふと、手紙を思い出した。
横断歩道を、渡らなかった。
すると、次の瞬間、
暴走したタクシーが、横断歩道目掛けて、
突っ込んで来た。
朝の出勤時ともあって、多数の人が
巻き込まれた。
( 、、、、、えっ?
、、ウソ、だ、ろ、、、?)
そのうちに、
救急車やらパトカーが来て、
目撃者として、オレも話を聞かれた。
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それから暫くして、
アパートのポストを開けると、
一通の手紙が入っていた。
( えっ、、また、、、?)
部屋に戻り中身を見る。
『1週間後、
あなたが運転する車が、事故に遭います。
彼女が大切なら、
車に乗らないで下さい。』
、、、、、、、、
、、、えっ?
( 、、、なんで、1週間後の、
デートの予定まで、知っているんだ、、?)
オレは気味悪くなり、
また、
手紙をシュレッダーにかけた。
(、、ストーカーか、何かか、、?)
しかし、
以前の事故の事もあったので、
その日は、彼女と電車で出かけた。
その後、
気味の悪い手紙は来ず、
(たまたまだろう、、、)
と、敢えて気にせずにいた。
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そんな矢先、
家に帰り、普通にポストを開けた。
久しぶりに見る手紙が入っていた。
オレは、緊張しながら、
中身を読んだ。
『明日、あなたのアパートは、
火事になります。
ちょうど、夜の10時25分に。』
オレは、思った。
( こいつが、
アパートに火をつけるんじゃあ、無いのか!?)
オレは、
すぐに警察に行った。
手紙を見せた。
警察は、
「明日、アパートの周りに、
何名か、警官を配置させます。
パトカーでも巡回しますので、ご安心下さい。
不審な人物がいたら、
すぐに、所持品検査をしますので。」
「分かりました。」
オレは、そう言って、
警察署を出たのだが、何だか怖い。
( とりあえず、
明日は、アパートに居ないでおこう、
彼女のとこにでも泊めてもらうかぁ、、、)
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そうして、次の次の日、
彼女が、急に、オレを起こした。
「、、、な、に、、?」
寝ていたオレは、かなり不機嫌に言った。
彼女は、かなり興奮している。
「ねぇ、アパートっ!!
アパート、火事になったらしいよ!?
昨日、私の家にいて良かったねぇー!!」
オレは、
テレビに釘付けになった。
テレビから、レポーターが喋っている。
「、、、昨夜、10時半過ぎに、
近所の方の通報で、、、
なお、不審な人物は、
見られなかったと言う事です、、、」
(10時半過ぎ、、?)
オレは、あの手紙を思い出す。
( 警察が、
厳重に見張っててくれたんじゃあ、
無かったのかよ、、、)
その後、
住む家を失ったオレは、
次の部屋が見付かるまで、
彼女の部屋に、ご厄介になった。
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その日は、残業で、
彼女の部屋に帰るのが、遅くなった。
一応、彼女には
" 遅くなる " と、連絡をいれておいたのだが。
すると、彼女の部屋のドアの前に、
一枚の紙切れが落ちていた。
何気無く、拾う。
そこには、女性の文字で、
『今、ドアを開けない方が良いですよ。』
と、書かれてあった。
(、、、? 何が、、?)
オレは、彼女の部屋の扉を開く。
玄関に、男物の靴、、、。
( 、、、あぁ、
そう言う事、か、、、)
オレは黙って、ドアを閉めた。
夜道を1人歩く。
すると、向こうから女性が歩いてきた。
別に、普通の事。
オレは、下ばかり向いてたし、
女の顔なんか、見る筈も無い。
しかし、すれ違いざまに、
「、、、ねぇ、、」
と、声を掛けられた。
オレは、反射的に声の主を見る。
さっきの女性だ。
、、、、、、
、、、オレは、、沈黙した、、、。
右側からしか、その女を見て無かったが、
明らかに、
女の容姿がおかしい。
頭の左半分の髪の毛が、抜けている。
左頬からは、頬骨と、何本かの歯が、
見えている。
足元もおぼつかなく、ヒールの靴は
片っぽう、無い。
( 、、、ヤバい、、)
オレはダッシュで逃げようとした。
すると、
その女が、嬉しそうに言った。
『、、、うふフ、、
あ、ナダの、いの、ぢ、
な、ンドも、なん、ド、も、、、
ダズけ、であゲた、でシよ?
だ、ガラ、、、
わ、だシガ、だズけて、あげタブんの、
あなダのい、のち、、、、
わ、だジニ、、、
っちょーだいっ!?』
その瞬間、
オレは、全速力で走り出した。
泣きながら。
( クソっ、何で、オレなんだよっ!
他にもいっぱい、いるだろうがぁー!?)
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それから暫く、
オレは、ネカフェ難民だった。
どこかに住むと、必然的にポストがある。
だから、
次に住んだアパートのポストは、取り外した。
しかし、アパートには、
玄関から差し込めるドアポストがある。
そこに、、、
" カタンッ " と、
何かが差し込まれる度に、
オレは、ドキッとする。
今後、、
あの手紙が、差し込まれなければ良いが。
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