これは、小6の夏、修学旅行で体験したお話です。
小さい小学校だったので、他の2つの小学校と合同の修学旅行でした。
一泊2日の修学旅行、とても楽しみにしていました。
1日目の日程を終え、泊まるホテルに到着しました。
実はこのホテル、出ると有名なホテルでした。
友達5人と同じ部屋、とても楽しい時間を過ごしました。
夜も更けて、消灯の時間がやってきました。
私の寝る場所は窓際でした。
すごく月明かりが綺麗な夜だったと思います。
みんながどんどん寝ていく中、私は興奮からかなかなか寝つけませんでした。
部屋の時計を見ると、11時。
ふと窓の方を見ると、カーテン越しに線のような、黒い影のようなものがゆらゆらと揺れています。
ここって10階だよな?なんだろ、あれ?
一度気になってしまうと、余計に気になります。
しかもこんな時に限って、トイレに行きたくなりました。
嫌だな、トイレ一人は怖いなあと思っていると、
「おい、蒼波、トイレ行かねえ?」
隣で寝ていた友達がふと声をかけてきました。
良かった、一人で行かなくてすむと安堵しながら、
「うん、行く行く」
友達と2人で、トイレに行き部屋に戻りました。
「寝るか。」
「そうだね。」
と言葉をかわし、寝ようとしました。しかし、眠れません。
ふと、また窓が気になってしまいます。
すると、何やら黒い線のような影が、先程よりハッキリと見えるような気がします。
風に揺られるように、ゆらゆらゆらと揺れています。
なんだろ、あれ?
また目を瞑り、寝ようとしますが、窓が気になって仕方がありません。
ふと、目を開け、窓をみます。
すると、影の形がさらにはっきりと見えます。
良くみると、上には細い影、下には丸い影、そしてさらに下には細長い無数の影。
なんか、あれ、人の頭みたいだな?しかも逆さ?
怖い。早く寝なきゃ。
そう思えば思うほど寝れません。
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shake
すると、バタン、バタンと先程の影が窓に当たる音がします。
バタン、バタン。バタン、バタン。
しかも、こちらに当たる度にますます、人の頭のようにしか見えません。
ほんとに、なんなんだ、あれ。早く消えてくれよ。
その後も、バタン、バタンとリズムを刻むように定期的に窓に当たっています。
と、次の瞬間、大きな音で、思い切り窓にその黒い影があたりました。
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shake
バタンっ!!
しかも、ハッキリと影というより、それは、逆さ吊りになっている髪の長い女の頭でした。その瞬間、閉まっているカーテンが風もないのに、ヒラっとめくれました。
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shake
ヤバい、見ちゃダメだ。でも目が瞑れない。
その女の顔が見えようとした瞬間、
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「蒼波!見ちゃダメだ!!」
先程一緒にトイレに行った友達の声でした。
と、目を瞑ることができ、次に目を開けるともう女の姿はありませんでした。
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友達と話をすると、その友達もずっと同じものが見えていたようです。
トイレに誘ったのも、その影が明らかにはっきりと見えるようになっており、それにどんどん見入っていた私を助けるつもりだったとのことでした。
あの女は何故逆さ吊りだったのか、何故窓に当たっていたのか全て未だにわからないままです。
ただ、そのホテルでは昔、女が不倫の末、不倫相手に火をつけ、無理心中をはかろうとしたようです。
そう、あの10階の部屋のちょうど真上の部屋で。。
作者蒼波