病院で看護婦さんに聞いた話です。
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そう言えばこんな患者さんが居ましたよ。
正文(マサフミ・仮名)さんという方でバイク事故を起こして骨折し入院した方です。
患者さんはバイクが趣味で事故に遭ったその日も休日でバイクで遠出していました。
その時にグー○ルマップ上に黒い丸い穴みたいなものが突然出現したんだそうです。
運転中に何の前触れも無く突然にです。
何かのバグかな?そう思ってスクロールしてみると
「じごく」
とだけ黒い穴の中心に平仮名で書かれていました。
患者さんは好奇心を抱いて「じごく」に行ってみる事にしたそうです。
じごくに入った時グー○ルマップには
「しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね
しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね
しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね
しねしねしねしねしねしねしねしねしねまで○km」
と表示されました。
何だこれ!やっぱハッカーとかウイルスとかイタズラかなぁ?
そう思った瞬間、スマホからいきなり青白い手が伸びて患者さんの腕をわし掴みにしたそうです。
青白い手は物凄い力で腕毎ハンドルを切りました。
激突したのは地面ではありませんでした。
青白い顔をした巨大な子供の顔です。
バイクと一緒にその真っ暗な大口の中に吸い込まれていきました。
そして何百年も火で焼かれる様な悪夢に魘されたそうです。
やっとの思いでその地獄から這い上がり事故現場の道路に戻った所で力尽きたそうです。
その後なんですよね。
超常現象と言うか何と言うか・・・現場検証していた鑑識さんが言うには少なくとも彼は事故後4時間は行方不明だったらしいんです。
事故後にすぐ救急車が駆け付けたにも関わらず患者さんのバイクと衝突した軽自動車の運転手しか現場には居なかった。
彼は軽傷でしたがバイクに乗っていた患者さんはどこに飛んでいったのか分からないとの事でした。
結局、現場の何処にも見当たらない事から事故後にパニックに陥り逃走したのではないか?
と警察も当初は判断した様です。
そしてその4時間後・・・現場検証中に突如として骨折した患者さんが出現したそうです。
恐らく事故の時にどこか遠くへ飛ばされて自力で戻って来たのでしょうけど。
不思議な事はもっとあって事故前の記憶を喪失していて事故直後は自分の名前も思い出せない様でした。
「自分の名前は正文ではなく長五郎だ!」とか言ってましたよ。
ご家族の話によれば利き手も右から左に変わっていたり食べ物の好みも変わっておりまるで人格が変わった様だと・・・
幸い骨折が治癒する頃には記憶を取り戻してこの話を聞かせてくれたんですけどね。
事故の真偽を確かめたくて修理に出していたスマホのスクリーンショットも見せてくれました。
確かかにグー○ルマップには「じごくはいかがでしたか?」という通知が届いていましたね。
この黒い丸い穴は更新したらすぐに修正されてしまったそうです。
バイクは奇跡的にスリ傷が付いただけで廃車は免れたそうですが彼は二度とバイクには乗りたくないとの事でバイクもスマホもお祓いしてもらった後に売り払ったらしいです。
でも、何と言うか全体的に急に喋り方や立ち振舞いが変わる二面性のある方でした。
今でも強く印象に残っています。
作者退会会員