これは、私が働いて1年目くらいのお話です。
その当時の仲の良い先輩が、引っ越す家を探すので、物件さがしに付き合ってほしいと言われました。
その先輩は私が見えるのを知っていたので。
先輩と不動産屋に行き、ある物件を紹介してもらいました。
その物件は、2LDKだったのですが、集合団地でした。
しかも、よくある何故?こんなに安いの?って物件でした。
不動産さんと先輩と3人でその物件を見に行くことになりました。
私は、部屋の中を写した写真、特にクローゼットあたりを写した写真を見て嫌な感じがしていました。
物件に到着し、その部屋へ向かいました。
向かうに連れて、物凄くいやな感じがしてきました。
まず団地の建物、いわゆる物凄く古い団地で、部屋をリノベした物件でした。
団地のあちこちから、陰気な雰囲気が漂っています。
部屋に近づくと中から異様な気配がします。
先輩と不動産屋さんは全然平気な顔をしています。
異様な気配は部屋そのものと言うより、中のある場所からだけ漂っています。
「こちらになります。中は綺麗にリノベしてあるので、使いやすいかと思います。収納も三箇所ございます。」
「へー凄い綺麗な部屋。外から見たら大丈夫かなと心配だったけど。ねえ、ここ良くない?蒼波。」
「うん。まあ。綺麗だよね。」
そんなやりとりをしながら、部屋を内見していきました。
収納を不動産さんが、順番に説明してくれ、最後の一箇所になりました。
「あっここが最後ですね。ちょっとここはあまり広くないし、使い勝手は良くないかと」
さっきは、収納が自慢的な言い方をしてたのに。
「ここ私気に入ったかも。」
最後の収納は、和室タイプの襖をあける形でした。
その部屋に入った瞬間、先程の異様な気配があきらかにその襖の中からしています。
不動産屋さんが、襖に手を開けようとした途端、ガサガサ、ドタンと中で何かが落ちる音。
嫌な予感しかしません。
「あれ?なんだろ?ここの上の部屋ですかね。なんせ古いので。」口籠もりながら、そう言いました。
明らかに変だ。なんか隠してる。その答えはここにある。
不動産屋さんが、襖にてをかけ、開けると、なかは小さな収納です。
あれ?なんもないな。確かに嫌な気配がしたんだけど。
と、先輩がまず中を見ながら、「ここは狭いね。あんま物置けなさそう。蒼波も見てみて。」
「わかった。」
私は嫌な気配が消えたのも気になり、中を覗きました。中は本当に狭い、あまりものは置けないなあと思い、中から顔を戻そうとした瞬間。
上から先程の異様な気配。
shake
凄いプレッシャーを感じます。ヤバい、これはヤバいやつだ、、、。
上はみちゃいけない。
何かいる。。。
nextpage
相手が強い霊の場合、こちらを操れます。
これはガチにヤバいやつ。むきたくないのに、顔を上にむかされます。
必死に抵抗しますが、無駄でした。
顔が天井を向かされた瞬間、そこには首だけの男がこちらを凄い形相で睨みつけています。
その男は、首だけなのかと思いよくみたら、身体はあるが、首が細くねじ曲がっています。
ヤバい、ヤバい。早く出なきゃ。
男は睨みつけたまま、私を見ています。
「私はお前とは関係ない。早くこの場から去れ。私はお前のことを助けられないし、お前を救えない。だから去れ」
そう念じるとふっと、身体が軽くなりました。
やった。収納から顔をだします。
そこには、不動産屋さんと先輩が何事もない様子で談笑しています。
「先輩ここやばい。早く出るよ。早くっ」
「不動産さん、あなた重要なこと説明してませんね。とりあえず早くでますよ。」
そう二人に言い、部屋をなんとかでました。
団地の階段をかけおり、ふとその部屋のある窓を見ると、先程の男がいます。
良くみると首には紐があり、男の身体はぶらぶらと揺れています。
なるほど。全てわかりました。
不動産さんに車で戻りながら、尋ねました。
「ここ事故物件ですよね。しかもこの部屋で少なくとも、3人死んでますね。」
「えっ、何故それを。私なんか口に出しましたか。」
「なにそれ?蒼波なにいってんの?」
「先輩。さっき行った部屋は事故物件なんです。しかも、立て続けに3人死んでます。全てあの最後にみた収納のあった場所で。」
不動産さんの顔が青ざめています。
そして、こう説明されました。
「そうなんです。仰る通りです。あの部屋は原因不明に3人のしかも最初は女性、その後に男性が2人。首吊り自殺で亡くなられています。
隠していてすいませんでした。でも、何故それがわかったんですか。」
「私には見えるんです。だから、この先輩についてきたんです。ちゃんとした物件を紹介してください。隠しても無駄です。」
そう言うと、次はかなり綺麗な良さげな物件を紹介してもらえました。もちろん、幽霊なしの。
作者蒼波