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日常怪談「コンタクトレンズ」

短編1
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日常怪談「コンタクトレンズ」

今日も仕事でパソコンを長時間見てしまった。

俺は洗面所で乾いた目を労るように、まずは右目のコンタクトレンズを取って液の入ったケースにいれた。

次に左目のレンズを取ったのだが、肘が洗面所の縁にあたってその衝撃で指先に乗っていたレンズはどこかに落ちた。

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シンクの上には見当たらなかったから、床に落ちたのだろうと俺はしゃがみ込んだ。

思った通りに、それは床に落ちていた。

でも、俺が落としたはずのレンズは、なぜか2つ、床の上にあった。

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もう一度ケースの中を確認すると、やはり右目のレンズはちゃんとそこにあったから、余分なひとつはいったいどこから落ちてきたのだろうか?

それはカピカピに乾燥していたわけではなく、俺が落としたものと同じ潤いを保っていた。

もっとも、どちらが俺の左目についていたものなのかわからなかったから、仕方なく左目のレンズだけ新しいものに替えた。

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もしそのレンズを試しにつけていたら、何か変わったものが見れたのかもしれない。

けれど俺は試してみなかったことを、けっして後悔はしていない。

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