子供の頃の説明できない記憶

短編2
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子供の頃の説明できない記憶

昔、小学生の頃俺の家は父も母も共働きで俺は鍵っ子(古い)だった

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俺は背が列の前から数えた方が全然早い上に

スポーツできるとか笑いを取れるとか

今で言う陽キャじゃなかったから

イジメは無かったけどいつも一人行動なのが普通だった

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だいたい放課後は5時過ぎ頃母親が帰るまで

ファミコンするか家の玄関(木造の中古で広め)で特撮ヒーロー人形で遊んでいた

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その日も2時頃帰ってランドセル置いたら玄関でお気に入りの怪獣広げて遊んでたんだ

いつの間にかすごく熱中してたみたいで

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「すみません」

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って声が頭の上でしてびっくりした

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顔を上げると優しいお婆さんの声で

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「坊やお母さんいる?」って言うから

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「いいえ、まだ帰ってないです」と、

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shake

グッと

「じゃあお婆ちゃんといこうか」とものすごい力で引っ張られた

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俺をつかんでいる手がシワだらけなのや声でお婆さんだと分かるんだけど

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夕日の逆光でお婆さんの顔は暗くてほとんど分からない

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少し見える顔のシワからどうやら笑ってるみたいだった

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俺は本能的に「連れて行かれると終わりだ!」と必死に玄関の側の柱にしがみついた

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shake

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お婆さんはグッグッと力を込めてくる

とても老人の力じゃないと思う

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そのたびに自分の足がズルッと地面を滑って

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俺は怖くて必死にしがみつきながら「ごめんなさいごめんなさい」と泣いた

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いつまで引っ張られていたのか

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俺は気を失っていたみたいで

気がついたら布団の中で両親が心配そうに側にいた

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両親に泣いて話すと戸惑った様子だったけど

一応警察にも連絡して

警察は見回りを強化すると言ってくれて

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母がパートになって昼頃帰るようになり俺は鍵っ子じゃなくなった

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あの老婆が変質者なのか何なのか分からないけど

俺はその後夕方一人で行動できないのが大学生頃まで続いた

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数十年経った今でもあの時

老婆がどんな顔をしていたのかと想像すると夕方は嫌だ

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