【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

短編2
  • 表示切替
  • 使い方

トンネル

wallpaper:538

私の地元には、

「心霊スポット」と呼ばれる場所が

いくつかあります。

その中のひとつに

「幽霊が出没するトンネル」

というものがあります。

separator

最初に説明してしまうと、

このトンネルは峠道にあり、

住宅地から離れています。

つまりその「彼(少年)」が

そこにいるということ自体が

不自然である、という・・・

よく目撃されていたのは

夕刻、夕焼けの刻限を過ぎて

闇が落ちつつある時刻。

特に雨など悪天候の日。

実際に目撃したことのない人々は、

「気のせい」だとか

「噂システムでそう見えた錯覚」

などと笑い飛ばしていました。

separator

ある日、

そうやってその話を笑い飛ばしていた友人と

そのトンネルを通る機会がありました。

夕焼けも去り、闇の落ちる刻限。

天候は雨。しかも初冬。

「彼」はそこにいました。

歳は小学生ほど。

冬になろうかというのに薄着の夏服。

雨天なのに傘もさしていない。

行き交う車を眺めるでもなく、

ただ俯いて立ち尽くしていました。

一瞬、そちらに気を取られたらしい友人が

ハンドルを切りそこなうところでしたが、

なんとか持ち直してそのまま通過することが出来ました。

同じ「モノ」が視えていたのは明白でした。

separator

聞くところによると

「少年」はそのトンネルで事故にあったとかではなく、

事故にあったのは彼の家族なのだといいます。

「彼」は生き残ってしまい、

帰らない家族をそこで待ち続けているのだといいます。

今でも。

Normal
コメント怖い
6
8
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@あんみつ姫
「事故にあった親」は
おそらく充分供養されている
のではないかと思います。
となると、やはり
遺された子供の寂しさ
のようなものが、
「彼」をそこに立たせているのでしょうか。
コメントありがとうございました。

返信

@塵 様
私も、母親です。もう息子はだいぶ大きくなりましたが、この話からは、親を思う子の心が痛いほど伝わってきます。子が親を思う心は、親が子どもを思うこと以上に強く尊いものです。
お言葉を返すようですが、これはあくまでも私の感想を述べたまでです。親の冥福については、もう十分とむらえているのではないかと思いますが、もし、それができていないのだとすれば、なぜ、そのままにしておくのか理解できませんね。
こういう形で伝わる話は、慎重に扱わなければならないと思います。
以上です。

返信

@あんみつ姫
実はこの話で一番の問題は
「少年の家族」だと思っています。
その冥福を祈る次第ですよ。

返信
表示
ネタバレ注意
返信

@あんみつ姫
この少年に関する詳細は不明なのですが、
一説では
本人は遠くの親戚に引き取られた
とも、
後を追った
とも
言われています。

前者であれば生霊的なモノで、
自身はどこかで(それなりに)幸福に暮らしているか、
その暮らしが幸福でないので、
過去を懐かしんでいる可能性もある、
と思われます。

返信
表示
ネタバレ注意
返信