短編2
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ならず者

オンドリとメンドリの番いは、山でたらふくクルミを食べた後、歩いて帰るのが億劫になった。

そこで、番いはクルミのカラで引き車をこしらえてみた。しかし、今度はどちらが車を引くかで言い争いを始めてしまう。

しばらくすると、一羽のカモがやってきた。カモは、ニワトリたちが自分の山のクルミを無断で食べたことに気づくと憤慨、番いに襲いかかった!

が、あえなく撃沈。罰として車を引かされることになる。

道すがら、留め針と縫い針がその車に乗せて欲しいと頼んできた。番いのニワトリは同行を承諾した。

夜遅く、一行は宿屋にたどり着いた。宿の主人はいかにもうさんくさい一行の宿泊をしぶった。しかし、メンドリが道中で産んだ卵とこのカモをあげるからと説得され、やむなく泊まらせてやることに。ニワトリ一行は豪華に飲み食いをし、寝床に入った。

翌朝、オンドリとメンドリは早起きして、メンドリの卵に穴を開けて中身を飲み、カラをかまどの火へ放り投げた。そしてまだ寝ている留め針と縫い針を、それぞれ椅子のクッションと洗面所の手ぬぐいに刺した後、すたこらさっさと逃げ出した。しばらくして起きた例のカモも、小川に飛び込んで逃亡。二度と戻ってくることはなかった。

それから2~3時間後、宿屋の主人が起床した。顔を洗い、手ぬぐいで顔をふくと刺してあった留め針が顔にズブリ! 

ひとまず落ち着こうと、パイプに火をつけるためかまどのそばへ。すると、主人の目をめがけて卵のカラがパチン! 

怒りに震えながら椅子に腰掛けると、縫い針が主人の尻にブスリ!

昨夜遅くに来た客が怪しいと宿屋中を探し回るも、もう誰もいない。

宿屋の主人は、「さんざん飲み食いした挙句、金も払わず、いたずらまで仕掛けていくようなならずものは二度と泊めまい」と心に誓うのだった。

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