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中編3
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LINE

  これは、千葉に住む福島さん家族が体験した話。

福島さん家族は父、母、娘二人の四人暮らし。

普段からよくLINEのグループチャットを使って日頃から家族間でやり取りをしている。

今こんな事があったなど、他愛もない会話をグループチャットで報告しあったりする仲の良い家族だ。

そんな福島家だったが、今とある問題を抱えていた。

それは、一番下の次女の発言から始まった。

「何かさ、たまに家で視線感じるんだけど……」

家族の誰もがその言葉を否定した。

気のせいだと。

しかしそれからというもの不思議な事が立て続けに起こり始めた。

母親が家で一人で居る時に、誰もいないはずの居間で人影を目撃したり、家族で食事を囲んでいると突然、階段を登る誰かの足音を皆が耳にしたりなど、不可解な事が発生したのである。

そんなある日の晩、父親の友人が家に遊びに来ていた時に、連日家の中で起きている出来事についてその友人に相談する事にした。

「というわけなんだ……何か気持ち悪くてな」

「もしかしてこの家に他に誰かいるんじゃないか?」

父親の話に友人がそう返すと、皆が怯えた表情を見せた。

「おいおいやな事言うなよ……」

「悪い悪い、でもなあ、にわかには信じ難い話だし、他にも何かあったりするのか?」

「グループチャットでチャットしてる時によく起こるんだよな」

「グループチャット?」

「ああ、俺達家の中で別々の部屋に居る時もチャットで話したりするんだよ、今から風呂入るとかな」

「私それで風呂入ってる時にガラス越しに人影見た!」

長女が手を挙げて言った。

「ああ、こいつが叫び声あげてな、俺が駆けつけた時には誰も居なかったんだよ」

「私何かこの前一人で部屋に居る時、具合悪いから部屋でちょっと休んでるってチャットで打ったら、扉の隙間から誰かが覗いてたのよ、私怖くって寝たフリしてたんだけど、」

奥さんの言葉に父親が頷く

「流石にやばいだろそれは、警察は?」

「もちろん呼んださ、警察も家の中見てくれたけど誰も居なかったんだよ」

「大事だな……そう言えばもう一人の娘ちゃんは?」

「ああ、次女なら塾だよ、もうすぐ帰って来る」

「そうか、それにしても何かこれ、監視されてるみたいで嫌だ、」

友人がそう言いかけた時だった。

「見てるよ」

──ガタッ。

突然天井の方から音が聴こえ、一同一斉に上を見上げた。

「な、何今の声……?」

長女が青ざめた顔で呟く。

すると父親と友人が立ち上がり階段の方へと向かった。長女や母親も怯えた様子で後に続く。

階段を上ると、暗がりの中、奥の寝室の扉が不自然に開いていた。

「おい……」

父親が言うと、友人が振り返り固唾を飲んで頷いた。

二人が扉に近づく、すると扉の隙間に僅かな影がチラリと動いた。

「うわっ!」

友人が驚きの声を挙げるのと同時に、父親が扉へと駆け寄った。

ドアノブを捻り一気に開く。

明かりをつけ部屋の中を見渡すが誰もいない。

隠れている様子もなさそうだ。

「警察呼びましょう貴方、やっぱり誰かいるのよ!」

母親はパニックになりヒステリックに叫んだ。

長女がその様子にすっかり怯えている。

「そうだな……騒ぎになりそうだし娘も帰って来るから一応LINEしとくか……」

「分かった、じゃあ警察には、」

「あれ……」

父親が不意に声を挙げた。

「どうした?」

友人が訝しげな顔で振り返ると、スマホを見ていた父親の顔が固まっている、明らかに動揺している様だ。

「どうしたの貴方?」

「お父さん?」

一同が見守る中、父親が震える手でスマホを皆に見せてきた。

スマホの画面にはグループチャットの画像が表示されている。

「う、上のところ見てくれ……!」

「上?」

友人が聞き返す。

「グループチャットの、に、人数……!」

「あっ!!」

長女が驚きの声を挙げた。

グループチャットの人数、5人……。

「ご、五人目って……誰だ……」

友人が震える声で呟いた。

その瞬間、LINEのチャット欄に。

「バレタバレタバレタバレタバレタ」

父親が叫び声を挙げながらスマホを廊下に投げ出した。

以上が福島家が体験した話である。

後にスマホのグループチャットを確認すると、人数は四人に戻っていたという……。

福島さん達はこの件があって、家族間のグループチャットはやめてしまったという。

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