知り合いから聞いた話だ。その知り合い曰く知り合いの友人が先月末に死んだらしい。俺がご冥福をと言うと「実は気味の悪い話があってさ」と口を開いた。
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友人(B)がニコニコしながら話し掛けてきた。
B「なぁなぁ、A(俺の名前)。面白いところ見付けたんでさ」
A「何だ?良い心スポでも見付かったか?」
B「そうだな、心霊スポットみたいなところだ。とあるネット掲示板に貼ってあったんだけど青い鳥居って知ってるか?」
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青い鳥居。見たことも聞いたこともない。そもそも鳥居と言えば赤色だったり灰色だったり薄い白色だったりする。ネットで知り合った知り合いからは、「焦げ茶色のヤツとか黄色のヤツも見掛けたな」と言ってたのを思い出した。しかし、青い鳥居か……。想像すると気味が悪かった。しかし、友人の一言で更に気味が悪くなった。
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B「普通鳥居ってさ、祠があったり社があったりするだろ?でも、その鳥居の後ろは山になっててな。社とか祠とか無かったんだよな。でさ、その青い鳥居の話でな。そこにさ、ゴミとか捨てる人が祟られたりするって話があるんだよ」
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A「いや、そもそも山に捨てる時点で犯罪だし呪われたとして自業自得だろ」
B「いや、まぁそうなんだけどさ。他にも噂があってさ、もしそこに無い筈の社が見えたらヤバいって話もあるんだよ」
A「ヤバいって何が?」
B「それは知らん。未検証だし今度行ってみる」
A「おいおい、俺を巻き込むなよ。行くなら一人で行け」
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B「しょうがねぇな。ビビりは置いといてコンド一人で行ってみますよ」
A「へいへいビビりですよーだ。で、もしあったらどうすんだ?」
B「まぁ、噂だしな。見えたからって何かなるとも思えないしな」
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そう言って奴は意気揚々と向かったらしい。で、次の日奴からの連絡が途絶えた。電話をしても圏外、家に行っても帰ってないらしい。他の友人達に連絡してみても来てないという。仕方無くいつも奴が読みふっけていたネットの記事を見て青い鳥居についての情報を洗ってみたのだが……。
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青い鳥居の話は全く出てこなかった。というか、そもそもの話。青い鳥居の話が忽然と消えていたのだ。奴が言うにはここのネット掲示板に青い鳥居の噂があると昨日言っていたのではなかっなか?それでは、なぜ青い鳥居の話が無くなっているのだろう。考えて行き着いた先、ネットで知り合った(Cとする)知り合いの話では、「膨大な情報が流れるこのネット情報の中に不確かでも確実に息を潜めて獲物を狙っている何かは確かにいる。それは、あらぬ情報で獲物を釣り己の糧にしようとしている。それは、目に見えない悪意、それは悪魔、それは怪異、それは呪い。これにより消えた人間は存在する。小説の読みすぎじゃない。これは低い確率だが、確かにある話だ」
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可笑しな夢物語程度に話を聞いていたのだが、それは今現実に起こっている。俺は取り敢えず家に戻りBを探すための準備をしようとしていたのだが、奴から着信があった。出てみると
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B「…よお、A。どした?電話して」
A「どした?じゃねぇーよ。お前さっき電話でなかったし、家にも帰ってないって話じゃないか。一体何してたんだよ、心配かけさせやがって」
B「いや~何かさ、気分がよくて、何かふわふわしててさ、気持ちよくって、」
A「お前何言ってんだ?頭大丈夫か?それより、青い鳥居はどうしたんだよ」
B「青い鳥居?あ~、あったよ。でさ、鳥居の後ろは山って話だっただろ?何かさ山じゃなくて、何だろうな。変な感じでさ、そこに女の人が立っててさ」
A「B!!そこから逃げろ。絶対その女ヤバいって!!」
B「大丈夫だって。別に害がある訳じゃないって。ほら、声聞いてみろって」
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携帯電話から何かをブツブツ言ってる声が聞こえる。何を言ってるのか聞き取れないでいる。というかそこの周りには大勢の人の声が聞こえて何を言ってるのかは分からない。で、その大勢のざわめきみたいのが小さくなって何を言っているのか聞こえた。
shake
女「オマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイ」
shake
A「うわぁぁあぁぁ」俺は携帯を投げ捨てた。そして、またざわめき声が聞こえ始めるとBの声が聞こえてきて、「なぁ、大丈夫、だったろ今日さ、知り合った、みんなと一緒に、山の中にある洞窟に、行く事になったんだよ、お前も来いよ、おマえもコイよ、オマえもコイヨオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイ」
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必死になって電話の電源を消した。途端に伊恵の電話がなりはじめて勝手に留守電になって、「オマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイオマエモコイ」そして、最後に「いっしょにしのう」そこで電話が切られた。
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後になってBが山の中で意識不明で発見されて先月末に亡くなった。死因は不明。ずっと夜中、「サカサマサカサマサカサマサカサマ」の後に「ミンナツレテイコウ、ヒトリハサビシイカラ、ミンナイルトコワクナイヨ」ととても男の声とは思えない声が聞こえてきたらしい。聞いた話だとガラガラの女の声だったらしい。それからその病院では相次ぎご老人が何名も亡くなるという話があったとか。多分、Bに憑いた女が連れていったんだろうなと思う。
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C「で、何でその話を俺にした?」お茶を飲み終えて俺はAに言った。Aはずっと寝不足気味の目で俺を見ていた。
A「この頃ずっとBが夢から出てくるんだよ。例の青い鳥居と女と一緒に。で俺に『早くコイヨオマエモコイよ。ココハタノシイヨ』って言ってな。だから、お前に霊視してほしくて、頼めないか?」
俺はAに言った。「Bはこの世には居ない。今地獄にいる。普通の地獄じゃなくてあの女が作り出した異形の地獄。多分、そこに行くと成仏出来なくなるだろう。Bとやらには悪いがそこに近寄らない方が身のためだ。あと、お前は忘れろ。それが出来ないならここで御払いしてもらえ」
と言ってメモを渡した。
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あの後Aはすぐ御払いをしたらしく、夢は見ていないというが、どうも山が怖くなってしまい心霊スポットだからといっても山に入りたがらくなってしまった。Bは作られた地獄に今も居るのだろうか?Aが言ってた女と一緒に……。真相は解明出来るものじゃない。いや、したくないと思う。俺も出来るだけ青い鳥居については考えないつもりだ。山の中にある祠の無い青い鳥居については……。見るなら観光地のやつが良い。
作者赤坂の燈籠