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短編2
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後天的霊感・産

母さんは特に何かの宗教にいるわけではないが、どんな命でも生死が絡むと感情移入しがち。

その対象はヒトに限らず、ペットや野生動物にまで及ぶ。

まあ、だからって家の中に出るゴキブリにまで慈しみを、ってほど寛大なわけではなく。

あくまで命の重みを意識することを重要視しているのであり屠殺や狩猟、駆除を否定する気ではないと。

そんな母さんは助産師。

俺が進学で上京するまでは、たびたび職場の話、新生児室に並ぶ子どもたちの話を聞かされていた。

でも、たまに、どこか影をおとすこともあった。

そういうときは決まって、「また見ちゃった」と言う。

どうも「お迎えの人」とやらを職場で視てしまうことがあるらしく、その翌日には必ず流産や死産があるんだと。

終末期患者ならいざ知らず、これから始まる命が消えて無くなるのを事前に知ってしまうこと、それを職場で預言するわけにもいかず、かと言って阻止する術も持たず…まあ、そりゃ辛いだろうね。

「誰でもいつかは死ぬよ。でも、産まれる前から死んでしまうことは別。祝われることなしに、むしろいきなり悼まれるんだから。それが誰の子であっても、辛いし悲しい。」だとさ。

最初に話したとおり、母さんは生死に対して感情移入しがちだから。らしいと言えばそうだ。

でも、視えてるのは「お迎えの人」だけなのかな。

母さん、たまに胎児?っぽい薄ら白い影にすがり付かれてたんだよね。

もうじき引退みたいだし、確かめるのはそれからでもいいか。

Concrete
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