短編2
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「視える」人たち

霊感っていうのは、他人から見たら嘘か本当かわからないもんだよね。

しかも、同じように霊感がある人同士を複数連ねて「視える」はずの場所に連れていくと、どういうわけか何が視えるかの詳細が違っていたり、そもそも視えていない人までいたりする。

霊感なしの人たちがその状況を傍観したら、もう誰の言うことを信じるか、いっそ誰も信じないか、って感じになるじゃん?

でもね。

みんな非日常的すぎて選択肢から外しがちな、「全員信じる」って目線をあてると、案外すんなり落ちが着くんだよ。

「視える」人たちには、それぞれ感知可能なチャンネルがあって、極端に振ると、動物霊だけ視える人だったり、怨霊や悪霊だけ視える人だったり、守護霊が視える人だったりってそれぞれなんだろう。

実体験でも、誰かが「あそこに○○が視える」って言ってる隣で「(え、いなくね?)」とか、「何も視えない、感じない」って言うのを聞きながら「(いる、絶対いる、そこに視える)」ってときもある。

でも、俺目線ではどっちであっても本当のことなんだ。

だからきっと、霊媒師にも得手不得手があってもおかしくないし、本当に何でも視えて解決実績の高い人は、すごく修行したんだろうなと思う。

さて。

ここまで読んで、疑問が残ってる人たち、いるよね。

話を巻き戻すけど、「視える」人たちを複数連れていくと、話が食い違うことがあるって言ったよね。

これってどうなん?ってなるよね、うん。

結論から言うと、どれも本当。

簡単な理由なんだよ、非日常的なだけで。

「同じ場所に複数が集まっている」んだ。

でも過程を逆算すれば、理屈自体は現実的だよ。

最初にそこに留まったもの、その後そこに引き込まれたもの、さらにその後に…ってこと。

まあ、そんなわけだから、霊感持ち複数人で心霊スポットに行くのはもちろん、誰が本物かなんて邪推で証言させあうようなことは控えたほうがいいよ。

一気に複数が「認知された」って反応しかねないからね。

あっ。もちろん、全員を信じりゃいいって言っても、この理屈悪用して視えないくせに視えるフリしちゃだめだよ。

「(嘘から出た誠、ってこともあるからね。)」

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