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中編3
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トイレのドア

「この話人にするの初めてだわ」とOさんが話してくれた。

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これはOさんが中学2年生の時の話だ。

Oさんがいた一年生棟の学校のトイレは、一階に男女トイレ、2階に女子トイレ、三階に男子トイレがあった。

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「そこの三階のトイレのドアがね、凄い勢いで閉まるんですよ。ガターン!!って」

とOさんは懐かしそうに語る。

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「そんでもって廊下にも近いから、1階のクラスにまでいい音が響くんです。」

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その音で何度授業中に飛び起きたか…とOさんは言う。

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「バスケの部活終わった後だったかなぁ、大の方したかったんだけど体育館のトイレだと人がいそうだから、凄い音がするトイレのちょうど真下の一階のトイレ使ったんです。」

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大の方に入るとガターン!!って音がしたらしい。

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やっぱり凄い音だなぁ、久々に聞いた…とOさんは思った。

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腹痛と戦った後

また、ガターン!!っと音がした。

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「最初はドアが風で閉まっただけと思ったんですけど、2回も音がしたから誰か居るなと思ったんです。」

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もしかして…俺と同じことを考えてたやつが、一階のトイレに入った俺を見て恥ずかしいから、三階の方に行ったんじゃないか…?とOさんは考えたそうだ。

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「その時に私、ふとそいつを脅かしてやろうと思ったんですよ。」

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そのまま、期待に胸を膨らませながらトイレのドアに触れて開けました。

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Oさんは、人がトイレから出て帰ったと思わせる為にわざと音をたててドアを閉めました。

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今度は足音をたてないようにゆっくりと2歩いて女子トイレの前まで来ました。 

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「そこが、ちょうど階段から来たやつにとって死角だったんですよ。」

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Oさんは、階段からする足音をわくわくしながら待っていた。

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「でも、いつまでたっても足音聞こえてがなかったんです。」

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「先生とかが教室に戻ったのかとも思ったんですけど、それでも足音が響いてくるんじゃないかなって」

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そう思ったOさんは、三階のトイレにむかってみることにした。

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足音をたてないように、手すりに体重を預けながら

ゆっくりと歩いていった。

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冷たい鉄の感触が手の中に広がっていく。

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1歩2歩3歩、ゆっくりとだけど三階に進む。

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「まぁ、二階につく頃にはなんか冷めちゃって、普通に足音たてて歩いてました。」とOさんは、恥ずかしそうに笑った。

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そして、三階にたどり着いた。

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「そのまま、左側にあるトイレ見る為に2歩、3歩あるいて覗いたんです。」

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「わぁーーーーーー」

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とその声にびっくりしてOさんは尻もちをついてしまったらしい。

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冷たい床が手に染みる。

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「わはっわはっハハハはははははは」と子供の声が響いてる。

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でも、その声の主が何処にも見当たらない。

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手の体温が床と同じようになった頃、ようやく笑い声が止んだ。

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そして、さようならと言うようにトイレのドアが少し開いて、ガターンと馬鹿でかい音をしながら、ひとりでに閉まった。

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「最初は怖かったけど、もし今度あったら、今度はこっちが驚かせてやるんだ。」と懐かしそうにOさんは、この話を締めくくった。

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「ガターン」っと近くのドアから、音がした。

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