短編1
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小さな黒い箱

変な経験をした。

道の真ん中に人だかりが出来ていた。

道の真ん中に置かれた小さな黒い箱に野次馬が群がっていたのだ。

年輩のおじさんが小さな金庫を開けようとダイヤルと四苦八苦格闘してる様子だった。

「君もやってみなさい」と急におじさんに言われた。

ダイヤルを合わせてカチカチと音がする度に野次馬が「おおー」と大歓声をあげる。

「一体、金庫に何が入ってるんだろうなー」

野次馬のヒソヒソ話が聞こえてくる。

なぜかこの金庫の開け方を知ってる気がしてきてワクワクして来たが、それと同時に何とも言えない気持ち悪さも感じてその場を後にした。

数日後、仕事で地方に行った時に特急の窓から変なものを見た。

田んぼの真ん中で小さな黒い箱に大勢の野次馬が群がってる様を。

Concrete
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