短編2
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憑いてきた2人

これは父が若い頃に体験したお話です。

父はその頃運送業というよりトラック野郎をしていました。

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その日父はお得意先のお客様をご自宅にお送りするために隣県まで走っていました。

夏の時期で天気もよくトラブルもなく送迎は順調に進みます。

ちなみに走路は高速道路を通らず峠道を走っていました。

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道中父とそのお得意様の2人はささいな世間話しをしていましたが、ある時お得意様がふと思い出したかのように語り出しました。

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過去に2人の友人がいたこと。

2人が賭け事か事業の失敗で2人同時に首を吊って自殺したこと。

父は特に気にもせずその話を聞いてそんなこともあるんだなと聞き流す程度の話でした。

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時間は夜9時頃、話しているうちにお得意様のご自宅に到着しました。

夜も遅く今夜は泊まっていかないか?とお得意様に言われるも父は帰宅することを決めたそうです。

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先程と同じ峠道を走っていたのですが父は違和感を感じました。

何故か生暖かいもといヌルい空気が社内に充満し窓を開けてみるも風がもなくただ居心地が悪い。

なおかつ遠くの木々は風?で大きく揺れていてそれこそ山全体が大きく揺れているように見えたそうです。

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かなり不気味に感じたがどうすることもできずただ峠道を走るしかありません。

そして峠を越えて県内に入ると先程とは打って変わって夏の夜の涼しい風と、ただ山が静かにあるだけだった。

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父が家に着いたのは丁度深夜0時。

父は余程疲れていたのか2階にある寝室に向かい、寝床に入った瞬間に意識が途切れました。

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急に意識が覚醒する。

どれくらい時間が経ったのだろうか?

それぐらいゆっくり長く寝たと感じる目覚めだったそうです。

近くにあった時計を確認すると2時…長い時間寝た気もするがと思っていると…

声が聞こえる…

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寝室の隣にも部屋があるが、この時間には誰もいないはず…

耳をすませて声を聴いているとその声は2人の男性が話しているようだった。

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こんな時間に誰が?と思っていると

shake

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

2人の大きすぎる笑い声が部屋全体に響き渡る。それと同時に障子が外れ父の頭の上を通り過ぎ壁にぶつかる。子供の頃から色んな経験をしている父であったがこの時だけは腰を抜かしたそうだ。

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笑い声が部屋全体や扉などを揺らしているような状況のなか、父はなんとか這いつくばりながらも移動し階段は転げ落ちるように1階まで避難をしました。

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翌日、家族に説明し2階の寝室を確認するとそこは悲惨な状況であった。

2階の寝室だけでなく2階全部屋の窓ガラスは割れ、障子も全て壊され1階にまで障子が飛ん壊れていたのであった。

その以降父は2人の声を聞いていない。

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父に憑いていくために友人に語らせた2人の怨霊。このようにあちらからターゲットと縁を繋ぐモノも中々怖いですね〜

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