弟の体験談1
私には、霊感のある弟がいます。
帰省した時に、いろいろ体験談を聞かせてくれたので、今回はそんな弟の体験談を書いていこうと思います。
弟は、去年から専門学校へ通うために、学校の寮でひとり暮らしを始めました。
生活費を稼ぐためにアルバイトを始めたようなのですが、その帰り道での出来事がことの始まりになります。
バイト先から寮までの間に川があり、毎日その横を通って帰っていました。
その日の帰り道、なんとなく川の方を見ると人が見えました。
見た瞬間、生きている人ではないと分かったようです。
23時過ぎに川に入ること自体が普通ではないし、そもそも人は水の上には立てない。
というのが理由だったようです。
弟はまた嫌なもの見てしまったと思い、少し急いで帰ったのですが、部屋の前に着くと中に誰かがいる気配がしました。
「ついてきちゃった」
弟はそう思い、仕方がないので近所を散歩して
いなくなるのを待つ事にしました。
1時間ほどして戻ってくると、部屋の中の気配は消えていました。
弟は安心し、シャワーを浴びてから寝ることにしたようです。
布団に入り、ウトウトとしていると誰かが外で
自分の名前を呼んでいることに気がつきました。
耳を澄ませて聞いてみると、同じクラスの友人の声でした。
何かあったのかと思い、体を起こそうとすると、体が動きませんでした。
そこで初めて、金縛りにあっていることに気がついたと言っていました。
今までも何度かなったことがあるので、動揺することも無く、そのまま眠りについたようです。
その後も、夜になると名前を呼ばれ、金縛りにあうということが続きました。
弟は、「いつものやつ」くらいの認識で、特に気にしていませんでした。
ですが、ある日いつもと同じように寝ていると、少しいつもと違う感覚があったようです。
私が、「どんな感覚だったのか」と聞くと
弟「その時は、横向きで寝ていたんだけど、
俺の後ろに誰かが立っていて、何かをぶつぶつ
呟いていたんだよ」と答えました。
弟「その日は、結局何を呟いているのか
分からなかったんだけど、次の日の出来事で
理解できたよ」
次の日も同じように寝ていると、やはり背後に誰かが立っているのを感じたようです。
昨日と同じように何かを呟きながら。
弟は、何を呟いているのか聞こうと耳を澄ませましたが、睡魔に勝てず眠ってしまいました。
眠ると、不思議な夢を見たようです。
弟「俺は学校の教室にいた。学校と言っても、
俺が通っている学校では無くて、全然知らない
所だった。そして俺は、イジメられていた。
蹴られたり、髪を引っ張られたり、色々された。
そこまで見ると目が覚めたんだよ。
すっかり朝になってて、後ろにいた誰かも
いなくなってた。」
私「イジメられてた子の幽霊ってこと?
その幽霊がなんで来たの?」
と、思ったことをそのまま口に出すと
弟がその問いに対して答えた。
弟「その日の夜も同じように呟いてたから、
今日こそはと思って、耳を澄ませて聞いてみたら、
人の名前をずっと繰り返してた。
1人じゃなくて、数人の名前をずっと。」
私「イジメてきた子の名前ってこと?」
弟「そういうこと。夢に出てきたいじめっ子も、
呟いてた名前も女の子だったからそうだと思う。
で、毎日背後で呟かれても困るから、
お供物でもして成仏してもらおうと思って次の日
学校が終わってから、例の川に向かったんだよ。」
行動力ありすぎだろと思いましたが、黙って続きを聞くことにしました。
弟「次の日自転車で川に行ったんだけど、この前見た
ところには居なかったんだよね。仕方なく近くを
探してると、橋があったのよ。んで、橋の近くに
行った時、すぐにここに居るって分かった。
空気が重かったからね。それで、橋の下に降りたら
女の子が居たのよ。この子がイジメられていた子
だって思ったんだけど、なぜか他に2人霊が
いたんだよね。1人は女の子の横、もう1人は
見えないけど俺の後ろにいたと思う。
あんまり気にしてもしょうがないから、
お菓子をお供えして、俺には何もできないから
もう来ないでくれって言ったら、消えてった。
納得してくれたと思って帰ったのよ」
私「解決してよかったじゃん」
弟「解決したと思うじゃん?してないのよ。」
私「どういうこと?」
弟「帰り道のことなんだけど、自転車で車道を
走ってたら、急に後輪を誰かに蹴られて
転んだんだよね。そこにトラックが来てて、
ギリギリ止まってくれたから轢かれなかったん
だけど、危うく○ぬ所だった。振り返ったら、
さっき俺の後ろにいたやつが消えてくのが
見えたんだよね。その後は特に何事もなく
帰れたんだけど、いくら考えても何で蹴られたのか
分からないんだよね。ただ、いろいろ調べたら
橋にいた3人は家族だってことは、分かったよ。
あの橋で一家○中だってさ。新聞に載ってた。
で、多分だけど俺の後ろにいたのは、
父親っぽいんだよね、生きてた時も人前に
あまり出ない人らしかったから。
ただ、蹴られた理由はわかんないな。
まぁ、○なずにすんでよかったよ。」
この話は、ここで終了です。
なぜ、父親が自転車を蹴ったのかは分かりませんが、とりあえずその後は何もなく生活できているようです。
何のオチもありませんでしたが、読んでいただきありがとうございます。
他にも体験談を載せようと思っていますので、よければそちらも読んでみてください。
作者ゆゆ