題名「礼」
──いつも私達のことを気遣ってくれて、ありがとう。
庭に住んでるナメクジのナメ子は、そう思っていた。
でも太郎君は気遣っているのではなく、きもいから踏まないようにしているだけだった。
踏んだりして靴の裏に付くだけでも嫌なのだ。
そうとは知らないナメ子は、太郞君にお礼をしたいと思っていた。
だけどナメクジに出来ることは限られている。
だがナメクジにはコンクリートでも削れるようなパワーが。
ある日、ナメ子は、ひらめいた。
その夜、仲間を引き連れて太郎君の枕元まで行くと、
「みんなー! 始めるよー!」
それを合図に、爆睡している太郎君の口の中に次々と飛び込んで、歯石を削り取り始めた。
翌朝、綺麗に歯石の取れた太郎君。
「へ?」
目覚めると、口の中がネチャネチャのグチュグチュで、ネチョネチョのグチャグチャだった。
良かったね。
題名「平和」
今日は真っ白なワンピース姿だった。
靴も靴下も同じく真っ白で、本当に可愛らしい女の子だ。
毎日のように花時計の世話をしに公園に来ている。
すぐ近くに住んでるんだろう。それにしても優しい女の子だ。
ジョウロを使って花に水を与えていた。そして草を抜いてやろうとしゃがみ込んだとき、彼女に向かって初めて花時計が口を開いた。
「やあ! 君も僕と同じで今日は花柄だね!」
作者いも
これにコメントした人は三日以内に死ぬ。
但し、旧統一に入信してマザーに金を払ったら助かる。