中編3
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蝉の鳴き声

その日は珍しく蝉がうるさいほどに鳴いていた

いつもならひぐらしの鳴き声が聞こえるだけだったが、その日だけは別の蝉の鳴き声も聞こえた

あんまりにもうるさかったので窓を閉めて作業をしていた

しばらく窓を閉めていたが、そのせいで空気が回らず暑くなってしまい扇風機の風も熱風だったので、しかたなく窓を開けた

外ではやはり蝉が鳴いていた、うるさくてあまり集中できなかったが部屋を涼しくするためには開けてなければならないため、我慢していた

窓を開けてから少したって、蝉の鳴き声に混じって声が聞こえてきた

子供の声のようですこし騒がしかった

自分の住んでる家の近くには子供がよく来る、理由は単純で近くに公園があるからだ

自分は蝉を取りに来たのかな?と思い、子供たちの会話に耳を傾けると

「あーあ、ここって本当にひぐらししかいないな」

「別の所探そうぜ」

自分はふと違和感を覚えた

(さっきからひぐらし以外の蝉も鳴いているのにひぐらししかいない?)

相変わらず外ではひぐらしと別の蝉の鳴き声が聞こえる、うるさくて今すぐにでも窓を閉めたいぐらいに

しかし子供たちはひぐらししかいないと言っている

自分は箱の中にしまってある双眼鏡を取り出し窓の方へ歩いていった、外は夕暮れで日も沈みかけていた

双眼鏡で木の方を見ると、木の上に何かがいるのが見えた

それは子供の影のようで木の枝に座っていた

自分は「何だ、子供か・・・」と思い、また蝉を探し始めた

しばらく探していたが、結局蝉は見つからず外も暗くなり始めてきたし蝉の鳴き声もやんだので止めようと双眼鏡から目を離そうとした時

ふと黒い影が見えた

見てみるとさっき見えた子供だった

自分は(そういえばさっきからあの子、ずっとあそこにいるな)と思い双眼鏡で見ていると

その子が急に首を左右に振り始めたのだ、それと同時に

shake

「ミーン!ミーン!ミーン!」とあの蝉の鳴き声が聞こえてきた、しかも夕方より大きな声で

自分は思わず双眼鏡から手を放し耳を塞いだ、しかし鳴き声は変わらず聞こえていた

しばらくすると、鳴き声がやみ自分はホッとして窓を閉めようとした、その時

shake

「キィィィィイイイィイィイイイ!」と子供の奇声が聞こえた

自分は驚き転がり込むように部屋に逃げた

部屋についてドアを閉めたと同時に、奇声は聞こえなくなっていた

布団に潜りこみそのまま目をつぶって寝ようとした

しかし、蝉の鳴き声とあの奇声が耳から離れずなかなか寝付けなかった

気が付くと自分は寝ていたらしく外は月の明かりで照らされていた

窓を閉め忘れていたことに気付き部屋を出た

部屋を出て廊下から作業場を見たとき、自分は目を見開いた

あの子供が窓に座っているのだ

作業場は二階で玄関の鍵は閉めていたので入ることはできない

その子供は月明かりで照らされていたが顔は見えなかった、それどころか体全体が影のようだった

しばらく固まっていたが我に返って窓を閉めようと歩いた途端

その子供の影はこちらを向いて

shake

「キィイィイイイイィィィィィイイ!!」と前よりも大きな奇声を上げた

その後は覚えていない、気が付いたら作業場の窓の前で倒れていた

あの子供はなんだったのだろうか?ここらへんで事故があったという話は聞かない、だから余計不気味だった

今でも作業場の窓を開けるときは外の公園の木を気にしている

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