中編4
  • 表示切替
  • 使い方

歩きタバコにご注意

公園についた俺は、買ったばかりの新しいショートホープの封を開け、その一本を咥えた。

ふうう…

深く吸い込んだ白煙を、口と両方の鼻の穴から吐き出した。

この一服目が実にうまい。

今日も元気な子供達が公園内を楽しそうに走り回っている。

その傍で、まるでゴミでも見るかのように顔を顰めて俺をにらむお母さん達。

「ああ、そうか」

この公園が全面禁煙になったのは、去年からだったろうか?

ベンチから立ち上がると、タバコをを咥えたまま公園を後にした。

俺は今年で35になった。

て、事はタバコを吸い始めてから丸25年目だな。

悪い先輩に進められて吸い始めてからというもの、いまに至るまで休む事なく3箱のタバコを毎日毎日吸い続けている。

所謂、チェーンスモーカーだ。

もう俺の肺は真っ黒だろう。

最近では慢性的に右の胸が締め付けられるように苦しかったり、朝起きたら喘息のような咳が止まらない事も度々ある。

タンも絡むし、少し走っただけで息があがる。

値段も、俺が吸い始めた当時から比べると倍ほどの値段にまで跳ね上がっている。

毎日タバコ代だけで野口英世さんが一枚ヒラヒラと飛んでいく。

この歳でまだフリーターの俺にとっては中々に辛い出費だ。

じゃあタバコやめたら?って言われるかも知れないが、残念ながら俺にはタバコをやめられない理由がある。

俺は普通の人にはない特殊能力があるんだ。

それは霊感だ。

しかも、そんじょそこらの霊感体質の人とは一線を置くほどの強烈な霊感を産まれながらにして持ってしまっている。

物心ついた時から、俺の周りには様々な死人としか思えないモノたちが彷徨いていた。

たすけてー

あそぼー

いっしょにいこー

ねえきづいてるんでしょー

いたい!いたい!いたい!

おかあさん!おかあさん!

おぬしにはわしがみえておるのか?

様々な姿形をした亡者たちが、朝から晩まで休む事なく俺に付き纏って話しかけてくる。

本当、迷惑極まりない特殊能力だ。

両親も初めの内は子供にありがちな現象かと思っていたらしい。

だが、小学生に上がってからも一向に変わらない俺を見て、何度病院まで連れて行かれたことか。

もちろんお寺や神社なんかにも連れ回されたが口を揃えて「私たちの力ではどうにも出来ません!この子の力は強すぎます。残念ですが…」

いつもこんな感じだ。

やばい!さっき開けたタバコがもう切れそうだ。

早くコンビニに行かないと…

まあ、自分自信も半分は諦めていた。

確かに毎日幽霊を見ていたら慣れてはくるし、恐怖心なんかも既に無いに等しかったのだが、ウザい事には変わりなかった。

視えない人間が本当に羨ましいなと常々思っていたそんな頃に、俺はこのタバコと出逢ったんだ。

初めて煙りを吸い込んだ瞬間、クラっとして今までうるさかった落ち武者の声がぴたりと止んだ。

何が起こったか分からなかった。

吸い終わって5分もしたら、また落ち武者が近づいてきて話し始めた。

「頼ム!ワシのハナシを聞いテはクレぬか?!お主シカおらぬのジャ!」

またタバコを吸うと、落ち武者は悔しそうな顔をして消えていく。

「オ、オヌシ!それはナニを吸ってオルのダ?!」

あいつの顔は確か…俳優の西田敏行さんに少し似ていた気がする。

その時、俺は気付いてしまった。

タバコを吸ってさえいればあいつらは寄ってこない!いや寄ってこれないんだ!これでもう話しかけられる事はない!

俺は歓喜した。

あの日から俺は一度もタバコを切らした事がない。

しかし、最近ではあの公園と同じくどこも禁煙、分煙とうるさくなってきた。

歩きながら吸っていると罰金まで取られる始末だ。

喫煙者に対して、汚物でも見るような目で見られる頻度が年々増えている気がする。

「肩身が狭いな」

コンビニで買った新しいタバコに火を付ける。

「うっ!!く、苦しい!」

今までにない重い痛みが胸を襲い、堪らずその場に座りこんだ。

その拍子に買ったばかりのタバコごと車道の側溝の中に落としてしまった。

「うっ、ううう」

俺は何分間そこで苦しんでいただろうか?

咳き込んだ時にあてた両方の手には血がべっとりと付着している。

俺はもうダメかも知れない。

「大丈夫デすか? 」

中年と思しき男性の手が俺の肩を揺すった。

「うっ…きゅ、救急車を呼んでいただけませんか?」

俺は精一杯の声を振り絞って、男性にそう訴えた。

「 はてキュウキュウシャとな?キュウキュウシャとは一体なんぞヤ?」

「えっ?」

「それよりオヌシ!また出会えタノう!頼む!ワシのハナシを少しダけでも聞いテは貰えヌか?!」

「て、お前かよ!!!」

俺は心の中でそう叫び、そのまま意識を失った。

【了】

Concrete
閲覧数コメント怖い
1,25925
22
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信

おかえり~ロビちゃん♪
2日も会えないかと姉ちゃん心配だったよ~~

改名??
じゃ~~「ロビン美ッシェル」は?wwww

どっちにしても、ロビちゃんは、ロビちゃんだよ♡(*^^*)

生まれ変わるのも良いけど・・・
続きはどうなったっっっ!!!(*`д´)

返信
表示
ネタバレ注意
返信

やあ皆さん久しぶり!ようやく謹慎処分が溶けて1日ぶりに帰還したロビンミッシェル子だ。

突然だが、俺は今日から生まれかわる…ひ…

あのビンタロウ氏をも震え上がらせてしまう恐ろしい怪談を目指してしまおうと考えているんでよろすくな!(゚д゚lll/

名前も「ロビンミッシェル子」改め「ロビンミッシェル美」でいこうかと思うんだけどどうかな?…ひひ…

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

よもつさんとタイトルこそかぶってるものの、落ち武者との出会いと別れ、そして再会の感動のストーリーですね。

返信

最後…笑えましたwww

又お前かよ!!!って所は最高です( ☆∀☆)

そして、皆さんのコメについていけないorz
何がなんやら(;´д`)

返信

面白かったです。
沢山笑わせていただきました。
ありがとうございます。

返信

やあ今日はやたらと顔から血を流したお客様が多い、中華レストラン店主のロビンミッシェル子だ。
皆さん、怖いとおコメントをさんくすです。

今日はお別れに来ました。

よもつ先生、確かに俺はあの「エレベーター祭り」から少しおふざけが過ぎてしまったようです。反省しております…ひ…

最近は古参の先生方も余り見かけませんし、やはり皆さん「チクショウ!ロビンの野郎…あいつさえ消えてくれたらなー!」とか思われてそうな今日この頃です…ぐすん…

本当は毎日でも読みたいのですが、よもつ先生は先生のペースで新しい作品をお書き下さい!俺は今日から「全ての責任」をとってロム専に戻ります!(但し二日間限定)

今まで本当にありがとうごさいました!またいつか、どこかでお会いしませう!(二日間だけど)…ひ…

それでは皆さんさようなら!!(二日間)

ロビンミッシェル子

返信

おこんばんは。
また二度見しましたよw
面白いというボタンがないので、怖いをポチっと。
なんだか、怖話の趣旨がズレてきてるかもしれませんね。私の所為かも。
良からず思っていらっしゃる方もいらっしゃるようなので、大変申し訳ないです。
私はそろそろネタが尽きてきました。
どうしましょ、ロビン先生。

返信

ワタクシも、きっと両腕に丸で囲まれた五芒星がタトゥされてる方かと・・w
でも、あの裁判で証言されていた落ち武者さんだったとは・・めっさウケるwww

帰ったら、両方DVD見なくっちゃ!!!

で。。よもつさんLOVEで、夏美ちゃんLOVEなロビちゃん、確定されたねぇ♪
バレちゃうもんだねぇぇぇぇ〜( ̄▽ ̄)

あ。ストーカーってもコメあったねぇ♪
よもつさんが、優しい方で命が助かってるようなもんだねぇぇぇ(*´艸`*)

返信

…コメントしにお邪魔したのですがお姉様方に弄られるロビンM子様が面白すぎてコメントに書く内容忘れてしまいました…ひ…

返信

ロビンちゃん

(・8・)←こんな顔をしてたような『自分は特殊能力があって、遠隔霊視が出来て、守護霊が羽根が6枚ある大天使』とか言ってた、あの御方の事だよ(๑⊙ლ⊙)ぷ

遠い昔の事で覚えてないのかしら?( 亝👄亝)ウフフ💗←この顔文字キモいwww

返信

…て、お前かよ‼でした。

皆様、ロビン様のよもつ様への感情は、もはや愛ではありませんよ。
ストーカーです。

返信

ね、姉さん達はいったい何の話をされているんですか?…ひ…

返信

鏡水花姐さん

ああ~・・・その可能性は無きにしもあらずですな(๑⊙ლ⊙)ぷ

でも、たった1人のアホな行為で、ラ〇ラ〇バーがそういう人ばかりだと思われてしまうのも、真のラ〇ラ〇バーが可哀想ですわね(♡´艸`)

返信

紫音ちゃん(⌒▽⌒)

彼は、きっと…
◯キバの◯ロゲーム売り場にお帰りになったのかもですね(。ノω

返信

鏡水花姐さん

やっぱり姐さんも思ってたのね(*´艸`*)

天界に霊界にも行けませんやろなぁ~、きっと

天界及び霊界をこけにした人ですからねぇ~

口には出しませんが、あそこしか行く場所は今のところないでしょうな

改心して変われば別でしょうけどね・・・(ΦωΦ)フフフ・・

返信