中編4
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最後の願い

おばさんが亡くなった時の出来事です。

おばさんは乳がんでもう長いこと闘病生活を送ってました。

お見舞いも最初は色々な人が来てましたが

次第に病気が長引くと来る人はほんのわずかになりました。

そんな中、私はおばが好きだったので一週間に2回は顔を出してました。

時々、おばが残したご飯をうまそうに食べて見せたりして、

喜ぶ顔を見るとホッとしたものでした。

私の母も、実の妹ですからいつも顔を出し色々なおばの好物をもって

行っては、喜ばしてました。しかし2度目の手術が終わると

おばの様態が悪くなり、集中看護病棟に移されました。

酸素テントの中でのおばは苦しそうでした。

高校に通っていた私が学校の校庭を歩くおばらしき姿を見たのは

そんなある日でした。

その日は蒸し暑く窓を開けても校庭には陽炎が出てもやもやしてました。

窓越しに何気なく校庭を眺めていると陽炎の中に

一人の女性がユラユラと浮かんでるのが見えました。

普段は見逃してるはずがその日に限って外の景色やその女性の姿が

やけに気にかかりました。

「あれ、あれはもしかするとおばさん。」

そんな思いが胸にわきあがりました。

おばさんは日傘をさして、私のほうを見ておじぎをしてるように

見えました。

私はそんなはずがないと心に言い聞かせました。

昨日は、集中治療室に居たのに今日は歩いてる。

そんな馬鹿なことが起こるわけがないと考えてました。

すると、そのまぎわ教室のドアが開き、別の先生が駆け込んできて

授業をしてる先生に話かけ、私が呼び出され

「おばさんが亡くなったから早く帰宅しなさい」という事でした。

「私はどうして死んだのか」と思い

少し前に見た外の光景など忘れてました。

家に着くと救急車がちょうど立ち去った後でした。

家の中は重々しい空気が流れて居ました。

叔母は、ちょうど玄関から入ると居間の真ん中に寝かされていて

顔には白い布がかけられてました。

私は、おばの寝ているそばにそっと寄り添うように座り、おばの顔にかけられた白い布越しに顔をうかがう形でいました。

おばの生前の笑顔を思い出すたびに涙が

自然とあふれて頬を伝わってきました。

無性におばの顔が見たくなりそっとおばの顔の布を

はがし見ようとしたとき。

私が布をはがす前に風が吹きおばの顔の布を吹き飛ばしました。

おばの死に顔を始めてみたときに、私はなんて綺麗なんだと

涙目の中で思いました。

まるで寝ているようです。

死に化粧もしてないのに顔はばら色に輝いてます。

私はおばの顔に触れたいと思い手を伸ばしたそのとき

おばの目が開いたのです。

薄目ではありますが私のほうをおばの目が見てるのです。

私は、驚きと叔母は生きてると思い込み、

無我夢中でおばの肩に手をかけてました。

ゆすると近くに居たおじやおばそして父や母が

何事があったかと私の周りに近づいて着ました。

私は「おばさんが目を開けた、生きてる」と叫びました。

おじやおばが、おばさんの顔を見るともらい泣きをするように

みんな泣き出しました。

私が再びおばの顔を見ると

目は閉じてましたが涙が目から流れて頬には痕が残ってました。

おじや叔母は「よっぽど生きたかったんだ」というと

またもらい泣きをしました。

火葬場に向かい、最後の別れに叔母の手を握ったとき

叔母の手はぬくもりがありまだ生きてるような感じでした。

初七日を迎えた夜。

その日も蒸し暑く、窓を開けて寝てちょうどよい状態でした。

窓からは生暖かい風が入ってきてました。

私は眠くなり、眠りにつこうとしたときです。

叔母の声が弱弱しく外の方から聞こえてきました。

私は眠気が覚め、窓のそばに行くと、風が吹きだして、窓の下を

眺めるとそこには叔母が立ってました。叔母の体は白いもやに

包まれて、私の方を見上げる形で話しかけてきました。

「こないだは、ありがとう。私はまだ、あの世に行くことができません」

「どうしてか?」と尋ねると

「子供のことが気になりこれから行くと戻ってこれない」といいました。

私は「叔母さん私に任せてください。

叔母さんの子供は私の家に引き取り一緒に暮らすように、お母さんとお父さんが言ってました。」

というと叔母はまたお辞儀をして「ありがとう」と言うと

消えてゆきました。

翌朝、お母さんとお父さんに話すと母はまた泣き出しました。

父は、おばの子供を引き取り、私の妹にしました。

今は本当の兄妹のように和やかに暮らしてます。

Concrete
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りこさん
怖いありがとうございます。
こんな感じの話未だ一杯あります。
悲しいなかにも、怖さがあります
これからもよろしくお願いします。

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トドさん怖いと感想ありがとうございます。
3年ほど前に書いたものです。
読んだ後心の何処かに何かが、
残ってくれたら嬉しいです。
ありがとうございます。

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