17年03月怖話アワード受賞作品
長編13
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消えた初恋

山崎:「すみませーん。ハイボール2つ。濃いめで。

すまん、すまん。

で?なんだっけ?」

原田:「お前、声でかいんだよ。

だからぁ、俺たちが小さい頃って、町内に一人は“名物おじさん”だの“名物おばさん”だのいたよなって話し。

そんなのを上げていこうぜ。」

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山崎:「おぉ、いたな。

俺んところは“スキップ兄さん”だな」

大宮:「なに?いつもスキップしてるの?」

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山崎:「うーん…歩くフォームがさ、スローモーションのスキップみたいなんだよ。

踵をゆっくり上げて…

その歩き方で、町中を暑い日も寒い日も、朝から晩まで徘徊してるんだけどね、

毎年3年生位の男子がさ、後ろから真似したり、からかったりしてついて回るんだよ。

普段は、全く無視のお兄さんも、余りにも度が過ぎると、クルッて振り返って追いかけて来るんだ。

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フォームはそのままで、決して走らないんだけど、足が長いからさ、大股で迫ってきたら、めちゃくちゃ早いのよ。

俺、同級生の女子が呆れて見てる前を、半泣きで逃げたもんなぁ…」

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大宮:「お前がアホな小学生だったってのがよく分かったよ」

山崎:「3・4年生の男子なんて、そんなもんだろ」

原田:「他には?

そんなん何かあるだろ?」

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三隅:「俺は、“10円くれくれおばさん”ですね」

大宮:「それは日本中にいた」

三隅:「俺、一人で塾からの帰りにばったり遭遇したんっすよ。

めっちゃ怖くて、親から“パンでも買え”ってもらった100円を投げて逃げたんっすよね…

あん時のおつり、返してくれないかなぁ」

大宮:「…って言うか、日本中の10円おばさんを“100円おばさん”に昇格させたのはお前か!」

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原田:「くだらなすぎてウケるwww」

山崎:「どうした、中野?

お前も何かあるの?」

中野:「俺?

うーん…俺のは夢だからな…」

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大宮:「は?夢?

町内の名物おじさんの夢を見たの?

面白そうじゃん。

話せよ」

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中野:「うーん…

今まで誰にも話したことないし、上手く話せるか分からんぞ?」

原田:「かまわん、かまわん。

どうせくだらん飲みの席だ。

話してみろよ」

中野:「ほんと、夢だからな。オチなんてないぞ」

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「俺の実家の通り一本違うだけの、ほんと近所に、子供に人気のおっちゃんがいたんだよ。

んっと…名前なんだったかな…

何とかのおっちゃん…んー、忘れたな…

とにかく子供好きでな、毎日子供たちがそのおっちゃんちに遊びに行ってたんだ。

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だけど、そういうおっちゃんってさ、子供からは人気があるけど、親たちからは

”あそこの家にいっちゃダメ”

とか言われるじゃん。

いや、今なら分かるよ。

俺だって二人の女の子の親だしな。

得体の知れないおっさんちに、我が子が出入りしてるとか…

ゾッとするしな。

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でも、子どもの頃は、そんなん分かんないじゃん。

なんであんなに優しい人のことを悪く言うんだろう…ってさ。

で、そうなると、子供の行動パターンはいくつかに分かれると思うんだ。

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“親がダメだと言っているんだからと絶対行かないタイプ”

“親の言いつけを守っている訳ではないけど、率先して行かない。

チャンスがあれば、行っちゃうタイプ”

“誰が言おうと関係なく、欲望のままにガンガン行っちゃうタイプ”

俺は2番目な。

興味もあったし、行きたくてたまらなかったけど、きっかけがなかったんだ。

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そんな俺にもチャンス到来。

2年生の頃かな。

俺には“せっちゃん”ていう幼馴染がいたんだ。

小さい頃から、親同士も仲良くて、家族でキャンプなんかも行ってたな。

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その日も、せっちゃんと遊んでいるところに、野球帰りのクラスメート数人に会ったんだ。

んっとな…なんかジャイアンみたいな奴でさ。

いや、いじめっこって言うんじゃなくて、身体が大きくてガサツ者ってとこがね。

そのジャイアンが

“今からおっちゃんちに行くけど、お前らも来ないか?”って。

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この機会は逃せないだろ。

俺は“行く!”って即答した後、せっちゃんを見るとさ、

せっちゃんも“いいよ”って言ってくれたから、ジャイアン達について行ったんだ。

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おっちゃんちは、引き戸の玄関開けると、40センチくらいの昇り口があって、すぐに四畳半くらいの真四角な和室がある。

襖を開けると、卓袱台やテレビが置いてある居間。

奥には左右に引き戸があって、片方の襖を開けると、もう一部屋和室。

反対は磨硝子の引き戸で、板張りの台所。

分かる?

フローリングじゃなくて、板張りな。

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そこに、真っ黒…

ん?真っ白…

まぁいいや、そんな一匹の猫と住んでたんだよ」

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『おっちゃーん、おっちゃんいる?おっちゃーん』

『おぉぉ、君たちか。

いらっしゃい。おやおや今日は大人数だなぁ。

おっちゃんちに入りきれるかな。

さっ、奥の部屋も開けていいから、中にお入り。

あぁ、君と君はここによく来ているから、台所の色々を知っているだろう。

ジュースとコップをみんなに出してあげて。

ちゃんとみんなに配るんだよ』

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『おっちゃん、このお菓子も出していい?』

『もちろん。全部出しておいで。

さぁ、ジュースをもらっていない子はいないかな?

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おや…?

君たちは初めましてだね?

こんにちは、○○のおっちゃんですよ』

『…こんにちは。

ぼく、ケンジって言います』

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『…』

『…』

『…』

『せっちゃん?どうしたの?

ご挨拶しないの?

あのね、この子はせっちゃん。

いつもはちゃんとご挨拶できるし、うるさいくらい喋るんだけど…』

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『そうかそうか、ケンちゃんとせっちゃんか。

ところで、君たちはすごいな。

この猫が触らせてくれるなんて』

『そうなの?

この猫、ぼく達が入ってきた時からずっとついて来て、座ったらすぐにせっちゃんの膝に乗ったんだよ。

でも、ぼくが抱こうとしたら逃げちゃって、またせっちゃんの膝に戻って来たんだ』

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『うんうん、せっちゃんが気に入ったのかな?

でも、ケンちゃんだって、なでなで出来てるじゃないか。

スゴイことだよ。

ほら、ここに来ているお友達。

みんな毎日のように来ているけど、一度だってこの猫が触らせてくれたことなんてないんだよ。

さっ、お菓子もたくさんあるからね。

遠慮せずに食べて行きなさい』

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『あっ、せっちゃん、あのお菓子があるよ。

ほら、あれでしょ?

いっぱい食べたいのに、ママがちょびっとしか買ってくれないって言ってたの。

あんなに沢山あるよ。

ぼく、取ってきてあげようか?』

『…』

『ねぇ、せっちゃん。聞いてる?せっちゃんってば…

変なせっちゃん』

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『おっちゃん、またこの前の妖怪の話ししてよ』

『えー、妖怪の話しはその前にも聞いただろ。

今日は幽霊の話しがいいよ』

『ばか、お前幽霊の話し聞いた日、一人でトイレ行けなくて母ちゃんに怒られたって言ってたじゃん。

妖怪の話しがいいよ』

『よしよし、分かった分かった。

じゃ、今日は怖い妖怪の話しをしよう。

いいかい?始めるよ。

むかーしむかし、まだ人間と妖怪が共に暮していた頃…』

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中野:「って感じで、その日は3つ4つ怖い話をしてくれて、解散したんだ。

せっちゃんも、帰り道ではいつも通りに戻って、また明日って別れたんだよ」

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原田:「ほぉ…その家、子供にとっちゃパラダイスだな」

中野:「だろ?

日頃、親が制限するお菓子もジュースも無制限、怖い話しだって聞かせてくれる。

ほんと、天国だよ。

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で、翌日学校に行ったら、せっちゃん休みだったんだよ。

具合が悪かったから、おっちゃんちで元気なかったのかな?とか思いつつ。

ただ気になるのは、先生が何にも説明しなかったんだな。

ほら、よく担任がさ

“今日、○○さんは頭が痛いから休むと、お母さんから電話がありました”

とか言うじゃん。

あれがなかったんだけど、まぁ俺が聞き逃したのかな?くらいに思ってて。

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うち、両親共働きだったから、家に帰っても誰もいないし。

放課後、一人で帰りながら

“せっちゃん遊べないなら、今日何しようかな…”

とか考えてたんだけど…

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そこはもっちろんだよな。

もうおっちゃんとは友達になった訳だし。

せっちゃんいない今日なら、あの猫も遊んでくれるかも!とか思ってさ。

ランドセル放り投げたら、すぐおっちゃんちに行ったんだよ。

おっちゃんちは、うちのすぐ近所だったし、家に入ったのは昨日が初めてだったとはいえ、その家の前は何度も通ってたしな。

迷うはずなんてないんだけど…

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おっちゃんち、跡形もなく消えてたんだ。

引っ越しとか、取り壊しとかのレベルじゃなくて。

雑草とか腰まであって、“随分前から空地でした”って感じでさ。

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俺、しばらく呆然としてたんだけど、子供ってさ、そういう時“恐怖”より“発見”って盛り上がらない?

だから、急いでジャイアン達が野球しているであろう広場に行ったんだよ。

メンツは昨日とほぼ同じだったんだけど…

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誰もそんなおっちゃん知らないし、昨日は日が暮れるまで野球してたって言うんだ。

一瞬“俺、いじめられてる?”って思っちゃったけど、そんな雰囲気もない。

そこで、すぐ走ってせっちゃんちに行ったんだ。

せっちゃんなら嘘なんかつかない!って。

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何の病気で学校休んだのか分からないけど、俺ならおばちゃんも会わせてくれるって思って。

玄関出てきたおばちゃんに

“せっちゃんにちょっとだけ会わせて下さい”

って言いながら、靴を脱ごうとしたらさ…

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“僕、だれ?

おうち間違ってない?

うちにはせっちゃんなんて子、いないわよ”

ってさ。

いつもの優しい感じで言うんだよ。

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俺、怖くなっちゃって。

おばちゃんがせっちゃんに何かしたんだ!って思って、すぐ逃げたんだよ。

その時に、チラッと玄関先を見たら、いつも置いてあるせっちゃんの自転車がなかったんだ。

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家に帰って、せっちゃんと写ってると記憶のあるアルバム全部出したけど…

一枚もせっちゃん写ってなかったんだよな。

ただ、一つ不自然なのは…

普通さ、バックによっぽどの何かがない限り、被写体の俺は真ん中にするものだろ?

だけど、どの写真も微妙にずれてるんだよ。

隣に誰かいたら、ばっちり!って感じに。

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でもまぁ、俺のそんな非現実な話より、親父の写真の腕前が悪かったんだと思う方が自然だろ?

その後、クラスの誰もせっちゃんの名前だす奴なんかいなかったしな」

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原田:「なるほどな。

それで夢の話しか。

それにしても、リアルな夢だな」

中野:「まぁな。

家とか未だに鮮明に覚えてるもんな」

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山崎:「……

竹田のおっちゃん…」

原田:「は?どうした?」

中野:「………あっ、そうだよ。竹田のおっちゃんだよ。

あぁ、思い出した、スッキリしたよ。

…え?なんで山崎がおっちゃん知ってんの?」

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山崎:「いや、それがさ。

話し聞くまで、ちょっとの欠片も覚えてなかったんだけど、

中野の話しを聞いてるうちに、段々思い出してきて。

俺のとこにもいたよ。

竹田のおっちゃん。

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そのおっちゃんって、ニット帽…じゃないけど、どんぐりの帽子みたいに、すっぽり被れる帽子をいつも被ってなかった?

それに紐ネクタイっていうの?

ブローチみたいなのに、紐みたいなネクタイ通してる…

そんなのいつも付けてたろ?」

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中野:「そうそう。

それ竹田のおっちゃんだよ。

ん?どういう事?

俺の夢の話だぞ?

あれ?話したことあった?」

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大宮:「あの…さ…

実は俺も竹田のおっちゃん知ってるんだよな。

知ってるって言うか、今思い出した。

めちゃめちゃ鮮明に。

“記憶の扉が開かれたぁ”って感じで。」

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山崎:「そうそう、俺も。

途中から自分の思い出話されてるみたいな感覚でいたんだよ」

大宮:「だよな?扉がパッカーンと。

……それと…

俺のとこには…

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せっちゃん…もいた」

「「「はぁ???」」」

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原田:「…大宮、それはダメだって。

聞いてて分かるだろう?

中野は夢だって思い込もうとしてるだけで、せっちゃんは中野の初恋だぞ。

いくらお前でも、それは冗談が過ぎるぞ」

大宮:「違う、違うって。

さすがの俺でも、そんな質の悪い冗談は言わないって。

本当にいたんだよ、せっちゃん」

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原田:「じゃ、特徴言ってみろよ。

鮮明に思い出したんだろ?」

大宮:「思い出してるよ。

何なら、今朝の会議よりばっちり覚えてるよ」

原田:「それはそれで問題大ありなんだよ」

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大宮:「ん~…特徴ってなぁ…

あっ、スカート。

黄色地にチェックのスカートで、そのスカートと同じ生地の吊りがついてて…

ほら、“ちびまるこちゃん”が着てるような。

分かる?」

原田:「あぁ、はいはい。

いや、分かるけどさ。

あの頃の女子は、みんなあんなの着てただろ」

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大宮:「そのスカートにボタンが付いてたんだ。

キラキラ宝石みたいなの。

せっちゃんは、その宝石みたいなスカートのボタンと、お揃いの髪留めしててさ。

いっつもそこに遊びに来てる女子が

“いいな、いいな”

って言ってたんだよ。

女子ってあんな小さいモンまで気づくのかぁって、関心してたんだ。

どうよ?」

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中野:「せっちゃんだ…」

原田:「まじで!?」

中野:「そのスカートと髪留め、せっちゃんのお母さんの手作りなんだよ。

確かに、クラスでも女子たちから羨ましがられていたな…

それに、せっちゃんと最後にあった日…

おっちゃんちに行った日もその服着てた…」

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三隅:「あのぉ…俺もいいですか?」

山崎:「は?良い訳ないだろ」

原田:「なにお前まで入って来ようとしてんの?」

三隅:「いやいや、俺だけアタリが強いっす。

俺のところにも、おっちゃんとせっちゃんいました。」

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原田:「はぁ…じゃぁほれ、特徴は?」

三隅:「はい…うーん…スカートはもう出ちゃったし…

確かに、あのスカートと髪留めは、めちゃめちゃ印象的でしたもんね」

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原田:「ほれ特徴だよ。

二番煎じはダメだからな」

三隅:「分かってますって。

目の下…目じりって言うんですか?この頬っぺたの上の方。

そこに斜めに並んで、3つのほくろがありました。

少し前、若い子が付けぼくろしてるみたいな可愛い感じの」

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中・大:「「…せっちゃんだ…」」

原田:「せっちゃんなのかよ…」

三隅:「それと…

…俺んとこには”だいちゃん”っていう男の子もいました」

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原田:「はぁ!?

お前、なに登場人物増やしてんだよ。」

三隅:「いやいや、マジで。

年は、俺やせっちゃんと同じくらいで。

双子なのかな?とか。

もっと言うなら、この二人、何で同じ小学校じゃないのかな?とか不思議だったんっすよ。

今みたいに“私立の小学校”とか多くあった訳ではないし、そんな存在、俺知らなかったし…」

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原田:「じゃ、なにか?

その竹田のおっちゃんは、まず仙台の山崎の所に行って、長崎の中野んとこでせっちゃん拐って、山口の大宮んとこ行って、どっかでだいちゃん拐って、名古屋の三隅の所に行ったっての?

家もそのままに?

なんだよ、それ?

もうその竹田のおっちゃんが妖怪じゃん」

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「「「…………」」」

原田:「いやいや、やっぱり信じられないって。

お前ら、俺と村本をはめようとしてるだろ?」

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山崎:「なんでだよ。

もともと、この話をし始めたのはお前だろ?」

原田:「でも信じられんだろ…

お前ら、中野の話をちょっと聞いただけで、30年くらい前の話を思い出したって言ってるんだろ?

じゃ、翌日に話を聞いたせっちゃんのお母さんやジャイアンは?

せっちゃんにスカート作ったりするほど、良い母親だったんだろ?

翌日に名前出されて、思い出さないわけないだろ?」

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大宮:「まぁ…確かにそれは言えるか…」

三隅:「それなんですけど…

俺、一つ心当たりがあるんですけど、いいですか?」

原田:「またお前かよ?

お前は一発一発でかいんだよ。

あぁもう!なんだよ?」

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三隅:「皆さん、記憶の扉が…と仰ってたじゃないですか?」

大野:「おうおう。話し聞いてる内に“パッカーン”とな」

三隅:「俺も正にそんな感じで思い出したんですけど…

俺の記憶の扉の鍵って言うんですかね。

きっかけは…“猫”だったんですよ」

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中野:「猫?あの猫?」

三隅:「そうです。

その猫って、全身は雪のように真っ白で。

片耳…んっと、左耳だけが真っ黒で。

両目の色がガラス玉のような、緑色じゃなかったです?」

山崎:「あっ、そうそう。

なんか、おっちゃんちには不似合いな高級感ある外国の猫って感じのな。」

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三隅:「そうです、そうです。

どうですか?

皆さん、その猫になつかれてませんでした?

俺、めちゃくちゃなつかれてたんですよ。その猫に。

いっつも遊びに行くと、俺の隣に来て…

そこに来てる女子が触ろうとすると、スルッと逃げるんですよ。

で、また俺の横に戻って来る…

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俺、動物苦手なんで、触ろうとはしなかったんですけどね。

余りにも俺の所に来るんで、勇気だして抱いてみようとしたんですよ。

そしたら…

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せっちゃんに

“抱いちゃダメ!”

ってでっかい声で怒鳴られて…

もう俺、半泣きですよ。

振り絞った勇気だったのに…

そしたら、せっちゃんが…

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“帰れなくなっちゃうよ”

って言ったんですよね。

多分、それ以降のおっちゃんちの思い出はないと思います。

つまり…その次の日には、俺たちの町や記憶から消えたんだと思います」

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原田:「はっ?じゃなに?

おっちゃんの記憶のない俺や本村の所にも、おっちゃん来てはいたけど、猫に気に入られなかったから、今思い出せないだけってことか?」

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三隅:「いや…真相は分からないっすけど…」

大宮:「ダメだ…

酔っぱらった脳みそでは理解できん」

山崎:「シラフでも無理だろ、こんな話し」

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本村:「あの…俺からもいいっすか?」

原田:「なに?

まさかお前まで思い出したとか言い出すの?」

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本村:「いえいえ、おっちゃんと会ってないのか、猫に気に入られなかったのかは分かりませんが、

俺は原田さんと一緒です。

そんなおっちゃん知らないです。

ただ一つ、気になることが…

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皆さんは、大学出の同期入社ですから、年齢も同じですよね?

一年を通してと考えれば、不可能ではないと思うんですが…

三隅、お前中野さんたちと何歳違うんだよ?

お前、俺より大分下だろ?」

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三隅:「あっ、俺、中野さんたちとちょうど10歳違いっす。

この前の飲み会で、その話ししたんで…

あれ?」

本村:「な?

中野さんところから消えた時のせっちゃんが8歳として、三隅のところに現れるなら

せっちゃん18歳になってるはずなんですよ。

“ちびまるこちゃん”のスカートを履く歳ではないはずなんですよ」

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中野:「じゃあ…せっちゃんは…

どこに連れて行かれて、どこを彷徨ってるんだよ…」

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一ノ瀬様、コメント・怖ポチをありがとうございました。
今思えば、不思議だったり怖いと思う事が、子供の頃は自然と受け入れられていたことって、ありますよね…
好きだと言っていただき、とても嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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なんか不思議な感じがして
すごい個人的にはすきなの話でした。

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虎鳴真矢様、コメント・怖ポチをありがとうございます。

虎鳴さんといい、セレーノさんといい…
恐るべき猫好き…
このお話しをラストまで読んでも尚、その猫に触れたいとは…( ´∀`)

なんだか、こんなおっちゃん…
記憶の何処かにいた気がしますよね…
悪い人ではないのだろうけど…今、思うと怖いな…とも思えちゃう(*´ω`*)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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Wind様、コメント・怖ポチをありがとうございます。

私が出したかった空気感まで読みとっていただき、本当に嬉しいです。
今回は『ジャジャーン』という怖さを出すのでなく、小出し小出しで怖さを出せたらな…と思って作ったもので…
『静かに、確実に』のお言葉をいただいて、ゾワーとしちゃうほど嬉しかったです。
(ん?表現がおかしいですね(´д`|||))

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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いも様、コメント・怖ポチをありがとうございました。
なんと、嬉しいやら恥ずかしいやらのお言葉を…
ありがとうございます(*´ω`*)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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mamiさん。
評価して下さってありがとうございます。
まったくこのままで、映像化いけるんじゃないですか?
評価が高いのも頷けます。

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ふたば様、コメント・怖ポチをありがとうございます。
お久しぶりですね。お元気でしたか?

やはり、地元にお一人は“名物な人”っていたのでしょうか(*^.^*)
何故か、誰が名付けたかニックネームが定着しているものですよね(*´ω`*)

ところで…“作業用のBGM”とは…???
お話しを録音されて、何かをする時に聞いていらっしゃるのですか?
スゴいですね(*^^*)
何にせよ、その様な名誉な事を行っていただき、ありがとうございます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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居酒屋での会話のような感じだからか、テンポがいいためにさらっと読んでしまったのですが、後からじわじわ来ますね。不意に後ろからうなじを触られたような感じ。それにしても三隅くんへの当たりの強さに笑っちゃいますね。よく居ますよね、みんなに愛されるいじられキャラ笑。こういう子好きです。

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