キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
優「ねえ、希美ちゃん。今大丈夫?ちょっといいかな?」
希「あ、秋田君おはよう!どうしたの?」
優「ちょっとだけ話あんだけどさ、いい?」
希「う、うん」
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放課後
…
…
美「ほらほら!やっぱり亮輔君たら超カックイイ!きゃー何、あの筋肉?!か、神ね…
ねえ、希美もそう思わない?」
希「そ、そうね。確かにむきむきだわ…
でもさ美穂、毎日こんなとこから亮輔君眺めててよく飽きないよね。」
美「 飽きる? くすくす
あーそっか!希美はまだ人を好きになった事が無いからわかんないのね?それだったら仕方ないかー
この純な乙女心を理解するには、希美はまだちょっとだけ早かったかしら?くすくす」
希「ちょっと美穂ー!」
美「ごめんごめん、冗談よ冗談」
希「もう!てかさ…」
美「……… 」
希「美穂?」
美「……… 」
希「 ちょっと美穂どうしたのよ、そんな眉間にシワ寄せちゃって?」
美「ちょ、ちょっとしぃーー!黙ってて!今、私の念を亮輔君に送信してるんだから!」
希「送信?あのえっと、私が話したいのはその亮輔君絡みの話なんだけどな 」
美「えっ?なになに?亮輔君がどうしたって?」
希「あのさ、今日の休み時間にね、秋田君が珍しく私に話かけて来たのよ」
美「ちょっとまって!優人の話は聞きたくないんだけど。せっかく亮介君見ていい気分になってたのに!
もう、一体何よ?!もしかして あいつ昨日の愚痴でも言ってきたの?」
希「違う。それがさぁ…
次の日曜日にね、映画でも見に行かないかって誘われちゃったんだ… 北野○の、あれなんだっけ?えっとアウトケイジだったかな?」
美「レイジよ!!
はあ… 一体何考えてんのかしらあいつ?
はっ!!
そ、そうか分かったわ!!仕返しだわ、絶対そうよ!私の親友を奪う作戦ね。味方を増やして私を孤立させようって寸法かしら?
ふふ、まあ、あいつにしては中々よく出来た作戦だけど、甘い!甘過ぎ!だいたい希美がそんな軽い女な訳ないじゃないのよ。
しかしあいつはマジで馬鹿ね… 単純すぎ、なめんなっつの!希美、もちろん誘いは断ったんでしょ?」
希「それがさ、なんか断れなかったの⤵︎ 」
美「 はぁ?ちょ、ちょっと!あんたいったい何考えてんのよ?まさかあいつと二人でアルトレイジ見に行くつもりなの?」
希「アウトよ!
うん、そう、行こっかなって… 昨日美穂から聞いた話のこともあるしさ。なんか悪くて断りきれなかったのごめん、それにさあ…」
美「それに?」
希「な、なんか嬉しかったし、ポッ///」
美「えっ?
えーーっっっ!!!
ちょちょ、希美タンマタンマ!あんたマジで言ってんの?ちょっとほっぺたポッとさせてんじゃないわよ!つか嘘でしょ?
あんたさ、いつから優人の事が好きだったの?」
希「わかんない、だいぶん前から…ポッ///」
美「だからポッとさせんじゃないっつってんのー!
いい希美?あいつは昨日の仕返しであなたを誘ってるだけなの! 騙されちゃダメ!あいつの性格は私が一番よく知ってるんだから!そういう演技がサラッと出来る男なのよ奴は…
んー、やっぱダメダメ!ちゃんと今から断ってきなさい希美!!」
希「ぐすん…ひっく…ひっく…
だって、だって嬉しかったんだもん。ずっ好きだったんだもん!…ぐす…
それはあたしだって分かってるよ?本当は好かれてない事くらい… 秋田君、いつも美穂のこと大好きオーラ出しまくってるし、本命は美穂なんだってことは私にもちゃんと分かってる!
確かに秋田君は顔も頭も性格も悪いよ?
笑い顔もキモいし足も短いよ?
いつも何考えてるか分かんないし、ご飯食べる時なんて『目と鼻と口を同時に見開く』っていうキモ過ぎる癖がある事くらい知ってる!」
美「……の… 」
希「でも…でも!それでも大好きなんだもん!しょうがないじゃん!うわああん!!」ダダダダダダ
…
美「あ~あ、希美ったら言いたい事だけ言って帰っちゃった。でもまさか希美が優人の事を好きだったとはね、全然気づかなかったわ。
ん?てかこの話の中に全然亮輔君なんて絡んで無いじゃないの?
一体どういう事かしら」
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その日の夜
ピンポーン
優「 はーい、あれれ美穂じゃん!どしたんだよこんな遅くに? てか珍しいなお前の方から俺んち来んの ?明日は雨か?」
美「 相変わらず憎たらしいわね。つか優人!あんた一体何企んでんのよ?!」
優「 あー、はいはい!もしかして希美ちゃんの事かな?そうだろ? へん、別に何も企んでねえよ。ただ見たい映画があったから誘っただけだよ… 全然深い意味なんかねぇよ〜だ」
美「嘘つけ!
じゃあ希美の事どう思ってんのよ? 映画に誘うくらいなんだから、少しくらいはあの子に気持ちがあるんでしょうね?!」
優「ああ…どうだろな?へへ
てかさ、お前も来たら?映画。なかなか面白そうだぜ?なんだったら亮輔も誘うからさ」
美「はっ!!優人君?あなたは今なんとおっしゃったのかしら?」
優「ふふふ、だからさ、亮輔も誘うんだよ。あれ?希美ちゃんから聞かなかった?
川口があいつと仲良いらしいから多分誘えると思うぜ? で、どうする?」
美「まっ…、まぁしょうがないわね。ふ、ふふふ
私も希美が心配なわけだし、今回だけは特別に私も参加してあげるわ。でも言っとくけど今回だけだからね!」
優「ひひ…分かったよ。よしじゃあ明日にでも段取りしとくわ。それじゃまた明日な! 」
美「 ちょっと待って。
最近さぁ、あんまり光代お婆ちゃんの姿見かけないけど元気にしてるの?」
優「 あ、ああ婆ちゃんか?
そ、そりゃ勿論元気だよ。元気に決まってんじゃん、ピンピンしてるぜ ? 」
美「 そう、良かった。
じゃあさ、せっかくだし久しぶりにご挨拶でもしてから帰るわ。悪いけど家あげてくれる?」
優「 へっ?あ、ああ無理!無理!
婆ちゃん今足怪我しちゃっててさ、もう疲れて寝ちゃってんだよ!挨拶はまた今度にしてくれよ」
美「 へぇ、あんた今さっきおばあちゃんは元気でピンピンしてるって言ってなかったっけ?
まあいいわ、お婆ちゃんの寝顔だけでも見て帰るから」
優「 い、いやだからダメなんだって!また今度にしてくれよ!! 」
美「 あんたなにそんな焦ってんのよ?もしかしてなんか隠してんじゃないの?私に見せたくない物でもあんの?」
優「 はっ?そそそ、そんなもんねね、ねぇよ!!きょ、今日はもう遅いから明日にしろって…い、言ってんだよ! バカ、バーカ!!」
美「 ふふ、遂に出たわねバカ、バーカ。じゃあ無理やりにでも上がらせて貰うわ!そこをどきな坊や!!」ガタン
優「 お、おい美穂、てめえ何やってんだよ!ちょっと勝手に入んじゃねぇよ!今日はマジで駄目なんだって! クソてめー!こら!」ガタン! バタン!
美「きゃー痛い!痛い! ちょっと髪の毛引っ張らないでよー!!」
優「 てめえ家ん中には入んなっつってんだろうがコラ!サッサと外出ろやー!」
美「 分かった、分かったから髪の毛離してよ! ハア、ハア、 ちょっと優人最低!あんた何本気になってんのよ?」
優「 ハア、ハア、美穂が悪いんだろ!無理に入ろうとすっからさぁ!」
美「 あんたやっぱり最近なんか変よ!なんでそんなにムキになる必要があるの? 何かやましい事でもあるんでしょ?」
優「 お前しつけぇ!!なんにもねぇって言ってんだろが!」
美「 あっそう… あれ?
お婆ちゃん!?こんばんはお久しぶりです、美穂です。 何よ優人、お婆ちゃん元気そうじゃない。」
優「 はっ?
美穂お前何言ってんだよ。頭大丈夫か?婆ちゃんは今寝てるっつってんだろ」
美「 あんたこそ何言ってんのよ?
光代お婆ちゃん、いまあんたの後ろに立ってんじゃない?」
優「……へっ?」
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吉岡宅
…
美「 ただいまー!」
ニャオ
美「リクちゃんただいま」
ニャオン
ニャオン
ニャオン
ニャオン
ニャオン
ニャオン
ニャオン
美「あら、クロに太郎にみーちゃんにココア、Qちゃんにホタテにロビンにミルク。
アラレにクーちゃんにポポにアヅキまで。みんなお出迎えご苦労様ー」
ゴロゴロ
母「あらおかえりなさい。遅かったわね。学校で何かあったの?」
美「あ、お母さんただいま!うんちょっとね…
それよりお母さん、優人のお婆ちゃんなんだけどさぁ。なんか元気なさそうだったよ」
母「え、光代叔母さんが?
あんた優人君のお家行ってきたの?そういえば最近叔母さんの姿全然見かけないわねぇ」
美「うん、お婆ちゃん玄関までは出てきてくれたんだけどずっと俯いててさ。
顔も真っ白で、話かけても返事する気力すら無いって感じだった」
母「そう、じゃ明日にでも私もお伺いしてみようかしら。光代叔母さんももうだいぶご高齢だから心配ねぇ」
美「…うん」
母「それよりあんた明日も早いんでしょ?早くお風呂入って寝ちゃいなさい。
ほらほら猫ちゃん達もよ!」
ニャオン(全員)
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③に続く
作者ロビンⓂ︎
幼馴染み①
http://kowabana.jp/stories/29921
幼馴染み③
http://kowabana.jp/stories/29997
登場人物
秋田優人
吉岡美穂と幼馴染みの高校生。
中学生の時に両親を亡くし、以後、祖母と二人暮らし。
吉岡美穂
美人で優等生だが、絵が下手。
家で猫を10匹飼っている。
親友は永田希美。
永田希美
天真爛漫で何事にも興味津々な性格。
官僚の父を持つお嬢様。
趣味はヌイグルミ集め。
川口拓海
秋田優人のクラスメート。
真面目で読書家。
オカルトサークルの会長である兄の影響で、霊能者の稲河淳太と交流を持つ。
石原亮輔
秋田優人や川口拓海と同級生で、陸上部主将のスポーツマン。
優しくてイケメンだが、体育会系に有りがちな「どこか間抜けな一面」を持っている。
稲河淳太
肩書きは自らの体験談を語る初老の怪談師だが、確かなその実力から霊能者としても活躍している。
怪談を通じて川口拓海の兄と親交がある。
金と名誉に異常な執着がある一面も。
北野真子
稲河淳太の助手。
36歳、バツイチ子無し。
学生時代に火の玉を見て開花し、霊界に興味を持つ。