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優「待てよ美穂ー」
美「何よ!! 」
優「いやぁ良かったよな映画。
アウトゲンジの最終章!まさかのラストで思わずハラハラドキドキしちまったよ」
美「あっそう、それは良かったわね。てか今のは絶対にワザと間違えたよね?ふん!」
優「な、何だよ…何怒ってんだよ?」
美「はあ?わかんないの?
じゃあ聞きますけど、なんで希美と亮輔君があんな楽しそうにずっと引っ付いてるんですか?意味不明なんですけど!あの二人ってそんなに仲が良かったわけ?」
優「ああ、あれか。いやぁじつは俺もビックリしてんだよ。でもよく見てみろよあの二人…
喋りかけてんのは殆どが亮輔の方からだぜ、希美ちゃんはすんげぇ迷惑そうな顔してんじゃん?ほら」
美「ふん、知らないわよ!てかもうどうだっていいわよ。私もう帰りたいんだけど!!」
優「そんなにスネんなよ美穂ー。
せっかくこの後、メシ食ってからみんなで心霊スポットでも行こうかって盛り上がってんのにさあ」
美「映画を見る前までわね。でも私気が変わっちゃったの。
はうっ!!
りょ、亮輔君たら希美の腕引っぱってんじゃん!ムキーーー!!」
優人の心の声『ちっ! 亮輔のやつ積極的だな…もしかしてあいつマジで希美ちゃんの事好きだったんかな?計算外だな』
美「もう私帰る!!」
優「ちょ、ちょっと待てよ!」
…
希「ねえねえ秋田くーん!あれ、美穂は?」
優「帰っちゃったよ」
希「えっなんで?なんで先に帰っちゃったの?」
優「知らね。なんか機嫌損ねて帰っちゃった 」
希「うそ?ちょっと私電話してみるね!」
優「あ、うん」
…
優「おいおい亮輔!お前なに希美ちゃんとイチャついてんだよ?美穂怒って帰っちまったじゃねぇかよ!」
亮「えっ? だってそれは優人が言ったんじゃないか希美ちゃんの事好きなフリしてろって」
優「バカ!それはこれから行く廃墟に忍びこんでからの話だよ!今はなんとなく希美ちゃんに気があるフリをしてるぐらいでいいんだよ」
亮「む、難しいね…」
優「ていうか亮輔!お前さ、実は希美ちゃんの事が好きなんじゃねぇのか?全然演技に見えなかったんだけど」
亮「えっ!
そそ、そんな事ないよ!ポッ///」
優「…好きなんだな。わかりやすいヤツ」
亮「………… 」
優「はあ… それならそうと早く言えよバカだな!せっかくの計画が台無しになっちまったらどうしてくれんだよまったく!」
…
希「秋田君!秋田君!美穂今からこっち戻って来てくれるってさ」
優「うそ!マジで?良かったー。
さすがは希美ちゃんだな!よし!じゃ目的地に行く前に腹でも満たしますか?ご馳走するよ!なんか食べたい物とかはある?」
希「らーめーん!!」即答
優「ラーメンか、いいね。他には?」
希「んー、えっとねえ。らーめーん!!」
優「……… 」
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天下絶品
…
優「うっ、げっぷう!! 」
美「ちょっとやめてよ下品ね!」
優「く、食い過ぎた~!
つか、何で俺だけ替え玉4個も食わなきゃいけねぇんだよ~ げっぷう!」
美「あんたが強がるからでしょうが!」
希「でも秋田君凄かったよ!
食べ方はキモかったけど…」
優「えっ、希美ちゃんなんて?」
希「んーん、何でもない。
ねえねえ、それよりこの後本当に行くの? おばけ見に」
優「ああ、美穂の機嫌も直った事だしな。
こいつ亮輔の隣りに座った途端、急に元気になるんだもんな、分かりやすい女だよまったく!」
美「ちょ、ちょっとそれどういう意味よ!
は、恥ずかしいじゃない!ポッ/// 」
優「はいはい!じゃあ行きますかー」
希「やったあ!めっちゃ楽しみー!
私ね、一回そういう所に行ってみたかったんだぁー 」
美「ふふ、希美好きだもんねー幽霊とか。
でも本当にいるのかな?幽霊。私は見た事ないから正直信じられないんだけどさ 」
優「さあな、やっぱ見えるヤツには見えるんじゃねぇの?」
亮「なあ、優人。やっぱり止めないか?そんなとこ行くの…
ま、万が一って事もあるしさ。もし、帰って来れなくなったらどうすんのさ?」
優「わはは!おい亮輔、おまえもしかしてビビってんのかよ?
でっけえ図体してる割には、キン◯マちっちぇな! わはは!!」
美「ちょっと優人!それ以上下品な事言うんだったら中止にするわよ!」
優「なんだよキン◯マぐらいで…
わ、わーったよ!早く行こうぜ!」
美「ちっ!」
希「…………///」
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某、廃小学校前
…
美「う、噂には聞いてたけど。これはさすがの雰囲気ね」
希「もう7時回ってるから真っ暗だし。思ってたよりも怖いー」
優「ひひひ、だろ?
ここはある先輩から教えて貰ったんだけどマジでヤバい所らしいぜ」
亮「ちょ、本気でこんな所に入る気かよ?絶対に止めた方がいいって」
優「なんだよ、まだ言ってんのかよ亮輔?お前って奴は本当にキン…
と、とにかくよ!
ここは随分まえに廃校になった木造の小学校跡なんだけどさ… なんでも二階の男子トイレに入っちまうと最後、違う次元に飛ばされてもう二度と出られなくなるらしいんだ。
いや、入らなかったとしてもトイレを見た者は全員記憶を無くした状態で発見されるらしくて、家族から捜索願いが出ても、探すに探せないらしいぜ 。ひひひ」
美「あんた馬鹿ね…
じゃあなんでみんな記憶無くしちゃうのに、二階の男子トイレが危ないって分かってるのよ?矛盾してなくない?」
優「あ、うーん。な、なんでだろ?
例外で逃げ延びた奴がいるんかなー?」
美「あほくさ。
まあ、そんなのただのガセ情報だろうけど、折角ここまで来たんだし、その謎のトイレとやらに行ってみましょうか?」
希「わーい、 楽しみぃ!」
美「ちょっと希美、あんたハシャギすぎよー」
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…
ギシ ギシ
美「鍵壊れてて良かったわね。簡単に進入出来たわ。でも見る限りガラスなんかは全部割られてるみたいだし、落書きやゴミの類いも凄いわね。
優人、ここって結構有名な場所なんじゃないの?人来すぎでしょこれ」
優「 まあそこら辺の廃墟と比べたら年季が違うからな年季が。てかなんでお前が先陣斬って歩いてんだよ、俺が連れて来てやったのにさ! ちぇっ」
美「ブツブツ言わないの!
何よ、こんな所来んのに懐中電灯すら忘れてきたくせにさ、私のアイフォンに感謝しなさい。もうさっさと見て、さっさと帰るわよ!」
希「幽霊いるかなー?」
優人の心の声『 さっさと見てさっさと帰るだって?
こいつらここの怖さなめてんな。そんな思い通りに帰れるとでも思ってんのかよ?くくくっ』
美「あんた何一人でブツクサ言ってんのよ!早く来なさい!」
優「わ、わかったよ」
ミシミシ
…
…
美「たぶんここね。例の男子トイレ…」
希「うん」
美「亮輔君大丈夫?
さっきから何にも喋んないけど」
亮「………… 」
希「やだ、亮輔君たら美穂にしがみついたまま目閉じて歩いてる」
亮「早く、早く帰ろう!ここは絶対にヤバイよ。
俺さ、言わなかったけど昔から結構見える方なんだ。ここはマジでヤバイよ。まともに目開けてらんない…」
希「亮輔君それ本当?
なんか見えるの?もしかして今周りに何かいるの?ねぇねぇどんなオバケがいるの?」
亮「わかんない、とにかく帰ろう!」
美「ちょっと希美やめなさい。亮輔君本気で怖がってるじゃないの!でも、たぶん亮輔君の言ってる事は本当よ… わかんないけど…
実は私も最近ちょっと変な幻覚を見る時があるの。今も見えてる…
ほら、あの階段の踊り場に赤い服を着た女が立ってる様に見えるんだけど…
あれって希美にも見えてる?」
希「み、見えないよ…
ただ、真っ暗なだけに見える」
美「…そう、じゃあ私の見間違いかな。あれ、優人は?あいつはどこ行ったの?」
希「そう言えばさっきから声がしないと思ったら、どこ行っちゃったんだろ?」
美「こんな時にはぐれるなんて。本当にあいつは何を考えてるのか全くわかんないわね!イライラする!」
希「おーい、秋田くーーん!!」
美「ば、ばか!こんな所で大声出してどうすんのよ、危ないじゃない」
希「…だって。優人君もしかして先に帰っちゃったのかな?」
美「まあ、アイツならやり兼ねないわね…
で、どうする希美?ここの男子トイレのドア開けてみる?もうこのまま開けずに帰ってもいいんだけど」
希「うーん。
怖いけど、見てみたい気もする。折角だし…」
亮「希美ちゃんそれはやめた方がいい!
て、言うか絶対にやめた方がいい!やめた方がいい!やめた方がいい!マジで洒落になんなくなるよ!!」
美「りょ、亮輔君ちょっとヤバイわね。やっぱりもうこの辺で帰った方がよさそうね」
希「うん、そうね残念だけど。
正直私も怖くて腰が抜けそうになってきちゃったし!ふふふ」
美「希美ったら、こんな時によく笑えるわね。肝っ玉ヤバイっしょww」
希「美穂もね〜」
ジジジジジジ
希「何、なんの音?」
ジジジジジジ
美「トイレの中から聞こえてる!」
ジジジジ
ミーンミンミンミン
ミンミンミンミン
ミンミンミンミン
ミンミンミンミン
希「これってもしかして蝉の鳴き声じゃない?なんでこの季節に蝉がいるの?今冬なのに、なんで?」
美「しーー!希美!ほらトイレの中。段々と明るくなってきてる、お昼みたいに。
どういう事かしら…
この中では今、何が起こってるの?」
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④に続く
作者ロビンⓂ︎
幼馴染み②
http://kowabana.jp/stories/29992
幼馴染み④
http://kowabana.jp/stories/30011
登場人物
秋田優人
吉岡美穂と幼馴染みの高校生。
中学生の時に両親を亡くし、以後、祖母と二人暮らし。
吉岡美穂
美人で優等生だが、絵が下手。
家で猫を10匹飼っている。
親友は永田希美。
永田希美
天真爛漫で何事にも興味津々な性格。
官僚の父を持つお嬢様。
趣味はヌイグルミ集め。
川口拓海
秋田優人のクラスメート。
真面目で読書家。
オカルトサークルの会長である兄の影響で、霊能者の稲河淳太と交流を持つ。
石原亮輔
秋田優人や川口拓海と同級生で、陸上部主将のスポーツマン。
優しくてイケメンだが、体育会系に有りがちな「どこか間抜けな一面」を持っている。
稲河淳太
肩書きは自らの体験談を語る初老の怪談師だが、確かなその実力から霊能者としても活躍している。
怪談を通じて川口拓海の兄と親交がある。
金と名誉に異常な執着がある一面も。
北野真子
稲河淳太の助手。
36歳、バツイチ子無し。
学生時代に火の玉を見て開花し、霊界に興味を持つ。