中学生の時の話です。
みなさんも夜中に学校に忍び込み、遊んだりしませんでしたか?
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夜な夜な遊び歩いていた。
コンビニや公園をたまり場にして、楽しいことはないか、そんなことばかり考える連中が集まり毎晩のように馬鹿騒ぎをする。
目をつけられ、最後に選んだたまり場は学校だった。
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その学校は校門は大通りに面しているが、中にさえ入りこめば、周囲は林や畑になっていて民家は近くにない。
あの頃の俺たちには天国のような場所だった。
夜の10時を回ると徐々に集まり始める。
誰が決めた訳じゃないが、必然とそうなっていた。
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いつも7〜8人は集まるのに、この日だけは4人しか集まらなかった。
話もあまり弾まなく、ただ寝転んでいる奴、ぼーっと空を眺めてる奴、昇降口から校舎の中を見てる奴。
なんだか盛り上がらなかった。
昇降口はガラス扉で、4ヶ所。
俺たちは、校門から1番奥の昇降口前でたむろしている。
今まで騒いでばかりで気にしていなかったが、改めて見ると、とても不気味だ。
非常口案内板の緑の光だけだが、なんともよく見える。
すると、昇降口から中を見ていた奴が声をあげた。
「誰かくる!」
みんなとっさの判断でガラス扉から見られないように、さっと身を隠す。
顔だけは中を確認できるようにだ。
階段から確かに誰かが降りてくる。
螺旋ではないが、降りてくる人影はまだ昇降口とは反対向きの階段の位置にいる。
もう少しすれば踊り場で反転してこちら向きに階段を降りてくるだろう。
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沈黙が流れる。
しかし、こちら側には降りてこない。
確かに人影はいる、が、動かない。
すると、1人が言った。
A「どれ?どこにいる?」
B「階段の上の方。今止まってる。」
A「俺には見えないけど…どれだ?」
C「ほら、あそこだよ。」
A「まじでわかんねぇー。」
気味が悪いと全員が感じていた。
後退りするように、ゆっくりとこの場を離れる。
もう解散の雰囲気となり、誰が何を言う訳でもないが、学校から出ようと校門へ向かった。
昇降口前を通過する時は、校舎の中を確認し、誰もいないことを確かめてから通過した。
二つ目の昇降口を通過する時、Cが言った。
「おい!階段のところ!またあいつだ!」
全員ギョッとする。
ゆっくり中を見ると…
確かにいる。
さっきと同じような位置に。
A「あのさ、まじで見えないんですけど。」
どうやらAには見えないようだ…
と言うことは。
全員「わぁー!」と声をあげ我先にと校門へ走りだした。
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無我夢中で全員走っていたが、大きな声が耳に入った。
「そっちはだめだ!裏門に行こう!」
誰が言ったかは分からなかったが、一気に方向を変えた。
しかし、裏門は1番奥の昇降口まで戻り、その先を校舎沿いに曲がって行かなければならない。
さらに裏門を越えても林道だ。
帰れなくはないが、相当の遠回りになる。
でも込み上げた恐怖心は抑えることはできず、裏門へ全力で走った。
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周りを一切見ずに、裏門を飛び越えた。
全員飛び越え終り、少し歩くと落ち着いてきた。
「まじで怖かった。」
「見えなかったけど、なんか感じたよ。」
など、平常心に戻りつつあったその時。
ガツッ! バタッ!
林の中から音が聞こえた。
「なんだ?行って見る?」
「お、おう。」
音のした方へ向った。
真っ暗だが、暗闇の中にずっといたし、滅多に通らないとは言え、知らない所ではない。
林道から外れて40m位進んだところで、音の正体に近づいた。
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それは…
顔だけしかなく、その顔からは血がしたたり落ちて固まっている。
目は見開き、こっちを見ている…
「あ、ああ、あ」
言葉にならない。
全員腰を抜かしてしまった。
なんとか這いつくばり林道まで戻った。
「あ、あれなんだ…」
「し、死体、だろ。」
「警察に警察に行こう。」
ひとまず、1番家の近いAの家に行き、Aの母親に話をした。
夜遊びを怒られたが、一緒に交番まで行ってくれた。
警察官にさっきの場所を案内した。
やはり、さっきと同じで顔がある。
その後は、たくさんのパトカーがきて林全体が入れなくなっていた。
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しばらく夜遊びは厳しくなり、あの林の死体についても話はしなかった。
二週間くらいたった頃、例の4人でたまたま集まる機会があった。
あの死体は、だいぶ前に首吊り自殺をしていたという話や、学校の元関係者だったなど分かる範囲の話をお互いにした。
そう言えば、とAが言った。
「裏門にって言ったの誰?」
全員顔を見合わせ、首を横にふる。
あの言葉がなければ、裏門には行かなかった。
いったい誰が?
それを分かることはなかった。
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あの声は俺たちに見つけてもらうための、叫びだったのだろうか…
作者げげげの怖男