電車に揺られていた時のこと。
急な腹痛に襲われ、居ても立ってもいられなくなった。
トイレ…トイレに行きたい。
俺は電車を降り、駅のトイレに飛び込んだ。
トイレに個室は2つしかなく、入り口寄りのほうは鍵が掛かっていた。慌てて奥の個室に入り、用を足す。
落ち着いたところで、ふと壁を見る。そこには駅のトイレ特有の落書きがたくさん書かれてあった。
相合い傘や個人名、罵詈雑言…1つ1つ目で追っていくと、やたら太い字で書かれた携帯番号が目に留まった。やたらと気合いの入った文字に、思わず笑ってしまう。
その番号の脇には「決してこの番号に電話を掛けないで下さい」と注意書き?みたいなものも書かれていた。
…人間、やるなと言われると余計燃えるもの。
俺は上着のポケットから携帯を取り出し、その番号に掛けてみた。
プルル…プルル…プルル…プルル…
着信音は隣の個室から聞こえてきた。
作者まめのすけ。