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ラストワンドロップ(後編/俺と彼女サイド)

中編4
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ラストワンドロップ(後編/俺と彼女サイド)

music:2

俺達は走っていた、

最初の突き当たりを右に、またぶつかって左に、またぶつかって左、そして右へ

奇妙な音楽が少し遠のいたようにも聞こえる

『さっきの何!?』

彼女はハァハァ言いながら途絶え途絶え言葉を吐いた

『さぁ、俺にもわからんが、なんかやばそうだったなw』

俺は少し笑いながら答える、

尋常じゃないものに触れ、高揚していたのだと思う。

右手を苗木にそえたまま彼女より少し前を走っていたのだが彼女の

『ちょっと待って!!これ右手法で進んでるでしょ?このままいくと大回りをしてまたあの広場に戻るよ!!?』

という言葉に足を止めて振り返る

心なしか、確かに、またさっきより音楽が強く聞こえる気がする…

彼女は読めないなりに必死に地図をみて、先読みをしたらしい、

右手法の落とし穴だ…途中にダミーのゴールや出入り口がいくつもある広場、なんかがあるとそのぶん壁の数だけ行かなきゃならないのでそこを何度も経由することになるのだ。

『それは、是非とも勘弁願いたいな…』

俺は勇敢な命知らずなんかじゃない。

得体の知れない物にふれる高揚感なんてのは年に数回いや、数年に一度あれば充分。

好奇心旺盛な怖がりにすぎないのだから。

『じゃぁ次はどっちに行く!?』

二股に別れた壁の前で地図を確認する…

『こっちかな?』

と彼女は左を指差すまま2人ともそちらを向いた瞬間

背筋をゾクッと走る感覚…

まるで絶叫マシンで落ちるときのあの心臓を握られ、そのまま上へと引き上げられるその感覚、

そして全身の毛がゾワゾワ~とゆっくり、でも数秒で逆立つあの感覚を感じた…

『ぷ~ぴ~ぷ~♪』

その音は滑稽で、機械的で、そしてどうしようもなく耳障りな音だった

俺達が向かうつもりだった方には、

そちらを向いて、体育座りをしながら笛を口に押し当てている笛吹男がいた…

『な…な…に!?』

彼女はどうにか悲鳴をあげなかったものの、指をさしながらの格好のまま、

声にならない声で誰にとでもなく、尋ねている。

『ぷ~ぴ~ぷ~♪』

俺なんかは声すらでない。  

そしてゆっくりと動く…

『ぷ~~~♪』

と息を吐くかのように体育座りのまま丸まりながら、

曲がっていき、地面に頭をつける形になると

『ぴ~~ぷ~♪』

とまた音をならしながら、俺達が向かうつもりだった方へと前転をしながら消えていった…

しばらくの沈黙の後俺は口を開く

『まだあっちに行く!なんて言わないよな?』

自分の声が震え、軽くうらがえりそうになり、苦笑いが自然とでる。

彼女は未だに固まったまま動かない…彼女の恐怖が用意にわかる、そしてそれが逆に俺を冷静にさせる。

さっきの場面に取り残されたままの彼女の頭を掴み、こちらを向かせる。

生気を抜かれた人形のような彼女に一言だけ伝える

『大丈夫!ちゃんとここから連れ出してやるから』

手の甲に、腕に、

顔に、肩に…

パラパラと降り始めた雨が小さくはじけて、それぞれがまた合わさり、少し大粒の水滴になりスーッと流れて一筋の曲線を肌に描きながら落ちていく。

『ほら、反対の道へ行こう、奴はたぶん、俺達に気づいてなかったはずだ。』

人生ってのは思っている以上に無慈悲で残酷なものだ、

さっきの笛吹男が俺達に気づいてないわけなんかない…

それが例えば違うものを追ってるとしたら別だが…

今は…嘘でも彼女の気を楽にしてやれるなら、それでいいと思ったのだ。

雨は強くなる一方…雨宿りできそうな場所なんか広場しかない。

俺は彼女の手を引いて歩く、

彼女は何もいわずに素直について来る、

何度目かの曲がり角を曲がったとき、また二股に分かれた選択の場にぶち当たり地図を見ようとした彼女が言う、

『これ、どこからでるの?』

尋ねながら彼女はボロボロになった地図だったものを握 り締めていた

さっきまであんなに晴れていたというのに

雲の流れはこんなにも速いのだ、雨もすぐに止むだろう

『さぁ・・・』

と答えながら、そう思いたいと願った。

さっきから曲がるたびに

目の端でとらえたくない物をとらえてしまっている…

前転で移動している道化師のような男…

そのたびに、それとは逆の道を選び進んでいるのだが…

ある意味これはどこかに誘導されているのかもしれない…

でも、なぜだかこの道にきたとき、笛吹男が視線に入ることはなかった。

道は分かれ道、

ふたつにひとつ…

もう、下着までビショビショで歩くたびに、ヒジャビシャと靴が不快に吸い付ついたり離れたりを繰り返している

そんな事に気を取られていると不意にそれは聞こえた

『ぷ~ぴ~ぷっぷ~♪』

遠くであの笛の音が聞こえている、続いて…

『うわぁ~~!!!』

と、奇声が聞こえてくる。

『A!?』

2人して顔を見合わせると

声のした方へと自然とはしりだしていた…

Concrete
コメント怖い
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欲求さん コメントありがとうごさまいます!!

もえ次はおたのしみに(´Д`)(゚Д゚)

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薄紅さん ありがとうございます!!
今最終話かいてますからね!おまちんわ!!

返信

続き…きたーーーーーー!!!!

続き…楽しみだーーーー!!!!

返信

怖女さん 
だいぶお待たせいたしました!!
ありがとうございます!

いよいよ次の更新で最後になります!

また気長にお待ちいただければと思います!!

返信

待っていました〜!!

返信