ピー
メッセージが1件あります。
「ごめんね、また遅くなっちゃったね。明日は早く帰ってこようと思います。」
妻は、もう帰って来ない。
だけどこれを聞いていると帰ってくるようで…いつも聞いている。
お互い忙しくてなかなか会えなかった。
でも、僕と妻は留守番電話でやり取りをしていた。僕は心臓の病気だったから携帯は持てなかったし。そんな時妻は事故にあって死んでしまった。だからもう帰って来ない。
そんなある日
ピー
メッセージが2件あります。
え?他に僕の電話番号知ってる人なんていないのに。
「ごめんね。早く帰って来るって言ったのにまた遅くなっちゃったね。」
!
帰って来たんだ。
それから、僕と妻の留守番電話をとおした会話が続いた。
「僕も遅くなりそうだ。念のため夜ご飯作っておいたから、食べてよ。」
ピー
「昨日は、ありがとう。あなたって料理上手なのね。美味しかったわ。」
不思議と恐ろしさなんて感じなかった。
それどころかかずっと続いてほしいと思うようになった。
「今日は、病院行くから遅くなりそうだ。あっ、そうそうお風呂掃除しておいたからお湯入れただけで入れるよ。」
また、僕は妻に留守番電話を残した。
「田嶋さん、どうぞ。」
「はい。」
診察室に入ると医者が深刻そうな顔で座っていた。
「田嶋さん、あんたもう入院した方がいいだろう。」
えっ…
「病気が悪化してる。」
しぶしぶ自分でも感じていた。だか、入院をすれば妻との会話も出来なくなる。
「いいです。」
「だめだ。これは、医者として見逃せないんだよ!」
「だからいいでっ…ゔ…ぐっ」
もうだめなのか…
僕は病院から逃げ出した。
最後は、あの家で死にたい。
急いだ。
ガチャ
「はぁ…はぁ…」
ここで…
「おかえり」
「...葉恋!」
「やっと会えたね。」
作者ふぇい
幽霊が出るけど感動物語です。