去年の11月頃だったと思う。
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その日は午後から予定が、無かったもんですから、紅葉の写真を撮ろうと、カメラを、持って車に乗り込んだ。
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外は、良い天気、良い写真が撮れるなぁと、思い、京都は、宇治川沿い天瀬ダム方向へ、向かった。
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ダムを左に見ながら、宇治川ラインを、滋賀県方向へ、車を走らせるが、まだ、紅葉は、いい色合いに、染まっていない感じ。
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もう少し、山の上の方なら、気温も低いので、赤く染まっていればと、思い、ナビで、良いところが無いか、調べてみた。
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丁度、滋賀県側より、宇治市へ抜ける、山越えルートが出てきた。
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ナビに従い、その道を、山の上へと、車を走らせた。
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道は、段々と細くなり、昼間だというのに薄暗く、又、対向車が来たら、離合する所が無いので、ひやひやしながら、奥へと進んだ。
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本当に、この道走って大丈夫なんだろうか、まぁ、道はアスファルトだし、ナビも道を表示しているし、行けるやろうと、思いつつ、内心かなりびびっていた。
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もう、紅葉の写真どころでは無い感じ。
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しばらくすると、道が二手に別れていて、左に行けば宇治、つまり帰る方向、右は、○○ゴルフと書いてあるので、もう少し冒険しようと、その、ゴルフ場の方へハンドルをきった。
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これもまた、道幅が狭く何かヤバイ雰囲気、車を、ターンするにも、広いヶ所が無く、おまけに登りのくねくね道、「あっちゃぁ~止めときゃ良かった」と、思いながら、進むしかない。
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メッチャ、ブルーになりながらも、ゴルフ場なんかあるのかと、思っていると、少し道幅が、広くなった。
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「よっしゃ、ここでUターンして帰ろう」と、ハンドルを切り返した。
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何とかターン出来た。
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ふと、前方を見ると、「あれぇ?」
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自分の車より30m程先に、1台の車が、道の左端に止まっている。
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1600ccクラスの白の車。
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そんなはず無い、こんな車止まってなかった、それも、私と同じ進行方向を向いている。
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バックで、ここまで上がって来たというのか?
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不思議に思いながらも、離合しなきゃ帰れないので、その車に近づいた。
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どうやら、ぎりぎり離合出来そうな感じ、その車のリヤウインドウから3人乗っているのが確認出来たし、滋賀県ナンバーだった。
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車を、右端ぎりぎりによせ、サイドミラーをたたんだ。右ボディが、木の枝で「がりがり」と音を立てる中ゆっくりその車を、抜きに入った。
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内心、「こんな所で、車こすった、などと、もめるのも、面倒だし、もし、こすって事故となってもここまで警察が来るまで何時間もかかるし、」と、思った。
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丁度、相手の運転席と自分とが、並ぶ位置に来た。「どんな奴や」と、ちらっと見た。
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運転席には、今時レーバンのサングラスをかけ、右腕をハンドルに乗せた40代の男、その手には黒い皮手袋をしていた。助手席には、女性らしき人影、良く見えなかった。
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「こいつ、アホちゃうかぁと、思いながらも、慎重に車を進めた。なにやらその男が「にやり」と、笑みを浮かべたかの様に見えた。
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「メッチャむかついた」
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小枝にこすりながらも、やっとの思い離合出来た。
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何や、こいつらはぁと、思い、ルームミラーで、後ろを見た。
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ええぇぇ~。
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車が無い、車を止めて肉眼で確認した。
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やはり無い 忽然と姿を消したのである。
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嘘だろう?今その車と離合し、ミラーで確認するまで数秒も経っていない。
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まるで、狐にだまされた感じ
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車を降り、その白の車が止まっていた所を見て回った しかし、何も無い。
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開いた口がふさがらないと言うのは、まさに、この事なんだ。と、言うより、おかげで車右側面キズ入りました。(メッチャむかつく)
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もし、その車と接触していれば、どうなってたんだろう?
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しばらくして、この事を、何人かの友人に話した。
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そのうちの一人がこう言った。
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何年か前に、その付近で、車内練炭自殺が有り、3人か4人死んでるとの事。
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そうか、その案件思い出したのだ。それは、夕方頃だったかなぁ いつも道理、地元の消防無線を、ワッチしていると急に騒がしくなってきた。
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第一報の遺体発見から、搬送に至るまで聞いていた事を。
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確か、私に記憶では、それは、赤い車だったと思うが?
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ん~よく分からん。
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それ以来、幾度となく、紅葉の写真を撮りにその場所付近に行くが、あの白い滋賀県ナンバーの幽霊車には、出会っていない。
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もし、今度遭遇すれば、写真はもちろん、何らかのアクションを起こすつもりです。
作者渋谷泰志