短編2
  • 表示切替
  • 使い方

京都行き急行電車

春のぽかぽか陽気、この日は午前中、奈良で仕事だった。

nextpage

ある会社経営者の方から、事務所内の盗聴器の有無確認依頼だった。

nextpage

まあ話はさておき、帰りの電車内での出来事

nextpage

多分時間は、午後2時ぐらいだったかなぁ 近鉄奈良駅より発車間近い京都行き急行に飛び乗った。

nextpage

車内は人影もまばら、俺の乗った車両は6両編成奈良方1両目つまり車掌室の車両

nextpage

優先座席に座った俺は、流れる車窓をぼぉっと眺めていた

nextpage

俺の向かいには、二十歳過ぎの女性が座っていた。

nextpage

ちょっと好みのタイプかなぁ

nextpage

その方が、携帯電話を取りだし、なにやら操作している様子

nextpage

すると、車掌室の扉が開いた

nextpage

中から車掌さんが出てきて、優先座席付近での携帯電話の使用を控える様注意していた

nextpage

その女性は、「誰も座ってへんやん」などと言いながら、ふてくされた様子で席を移動した

nextpage

丁度、俺の斜め前の席に足を組んで座り携帯を触っている様子

nextpage

ふてくされた女の顔はぶっさいく!

nextpage

しばらくすると、隣の車両より、大きなボストンバックを持った二十歳過ぎの女性が右足をびっこ引きながら歩いて来た

nextpage

その女性の顔は怒りに満ちていた、一点を見つめ つまり、車掌室に向かって歩いて来る

nextpage

この子、何怒ってるんだろう?足が悪いんだったら、止まってから移動したらいいのに、

nextpage

それと、普通の顔してたら結構可愛いのに、と思ってその子の顔をじっと見ていた

nextpage

びっこ引きながらどんどん近づいて来る

nextpage

このまま行けば、その女性と、斜め前の足を組み携帯触っている女性のつきだした足が、ぶつかる!と、思った時だった

nextpage

なんと、その足を通り抜けた「えぇぇぇ?」よく見るとそのびっこの女性の体透けている

nextpage

最初は気がつかなかったが、だんだんこっちに近づいて来るに従い色褪せて来る感じ

nextpage

その瞬間「あっ、こいつ幽霊やぁ」と思い、その子の顔を、がん見した。こいつ、俺に気がないのか、気がつかないのか、車掌室のドアにゆっくり吸い込まれる様に消えていった。

nextpage

この怒り顔のボストンバックを持ったびっこ引いた女性の幽霊、この電車に取り憑いているにか? それとも、この車掌さんに文句があるのか?

nextpage

結局、何やようわからん真っ昼間の奇妙な体験だった。 ひょっとしたら、また 会えるかも?

nextpage

この車両はVVVFインバーター3100系です。この幽霊に遭遇した車両走行区間は、多分 高の原駅~新祝園だったと思う。

Concrete
コメント怖い
2
6
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

リアル怪奇譚って何気に降ってくるんですよね。

返信

足の不自由な幽霊よりも、逆ギレした女の子の方が怖いかも…。

返信