何年か前の秋の夕方6時半頃だったと記憶するが
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仕事帰り車を運転中、道が混み出した、雨もぱらぱらと、降り始めた。
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夕方の国道24号線は渋滞するので、裏道に逃げて走行中、妙なものを見たのだ。
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その場所は、両側が田んぼの、まっすぐな直線道路
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この道は、事故多発地帯で知られている。ヘッドランプをハイビームにして走行していた。
前方の信号が、青から黄色に変わった
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俺は速度を落とした。
信号の手前左に田んぼ道から交差するT路地があり、その交差点の角に1本の電柱がある
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その電柱の下に2人の人影がしゃがんでいるのが見えた。
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1人は若い男、もう1人は、良く判らなかった、と、言うより、見えなかった。
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そのうちの1人が、うんこ座りしながら俺の方をにらんでいる様に見えた
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ハイビームがまぶしかったのか?そいつらを通りすぎ、前方の赤信号で停車した
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ルームミラーで、後ろを見た。まだ、俺の方を、にらんでいる。
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「何や、あいつ、雨降ってんのに傘もささんと」と、思っていると、信号が青に変わった
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アクセルを踏み、その交差点を通過すると同時に、「あれっ?変だなぁ 奴らは、俺のヘッドランプで見えたが、何で、後ろが見えるんだぁ?それもルームミラーで?電柱には街灯も無いし、その横は田んぼで、ほぼ真っ暗、見える訳がない」
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何か、納得いかない、このまま家に帰っても、心のわだかまりがとれないと、思い引き返して確認しようと車をターンさせた
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さっきの信号の所まで戻った、丁度青だったので、ヘッドランプをハイビームにして交差点を通過
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目的の電柱の所で徐行運転した
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すると、その電柱の下には、さっきの奴らの姿は無かった
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俺がこの場所を、通過して戻るまで2分もかかっていないし、何処行ったんだぁ?まして周りは田んぼだし、隠れる所なんか無い。
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ふと、その電柱の下、つまり、奴らがしゃがんでいた所を見た。
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「あっ、やっぱり」って感じ、そこには、枯れた花束が牛乳ビンにさされた状態で置かれてあった
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奴らは、この世の者じゃ無かったんだ、と、納得して帰路についた
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やはり、こういう時は、確認し納得しないと、いつまでも心のわだかまりがとれません。
作者渋谷泰志