これは、僕が小学5年生だったときの話だ。そして、今日に至るまで続いている、僕の腐れ縁の話と言ってもいい。
僕の家の近くに、小さな神社がある。神社と言っても、何故かグラウンドや砂場、滑り台等があるため、神聖な雰囲気など欠片も無い。だが、近所の子供達には絶大な人気を誇っている。そんな神社だ。彼と初めて会ったのも、その神社だった。
ある日、僕はいつもの様に神社の縁側に寝そべって本を読んでいた。なんの本を読んだのか今となっては覚えていないが、オカルト関係の本だった。そうしてると、上から声が降ってきた。
「ねえ、怖い話、好きなの?」
僕が声のした方を見ると、そこには狐目の少年が立っていた。
「・・・うん。好きだよ。」
狐目の少年は、ニヤッと笑って言った。
「じゃあさ、ちょっと俺の話を聞いてよ!」
・・・これが、僕と今日まで腐れ縁を繋いでいる友人、《薄塩》との出会いだ。
無論、《薄塩》というのは本名ではない。このサイトに投稿させてもらうに当たって、僕が考えた渾名みたいな物だ。かといって、適当につけた訳ではない。理由は2つある。
・僕の渾名が《コンソメ》だから。
・彼が、《薄塩ポテチ》を色々な事に使うから。
である。色々な事とは、主に、お清め等だ。薄塩は、幽霊が見えるのだ。だが、薄塩はある事件までその事を僕に隠していた。なので、この頃の僕は薄塩が《見える人》という事を知らない。
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薄塩は、ものすごく怪談が上手かった。周りにオ
カルト好きな子供が居なかったため、僕らはすぐに
仲良くなった。暫くすると、僕はあることに気付いた。薄塩は怪談を始める前に、必ずある文句を言う
のだ。それは、
「これは、ただの作り話なんだけど。」
と、いうものだった。普通、こんなこと言わないと思った僕は、薄塩に何か意味があるのか聞いてみた。
「薄塩って、毎回怪談を始めるとき、《これは、ただの作り話なんだけど。》て言うだろ。あれ、何か意味あるのか?」
薄塩は、少し考えてから言った。
「おまじない・・・みたいな?」
「おまじない?」
「うん。・・・ちょっと待って。今説明する。」
そして、薄塩はそこら辺に落ちてた枝を拾って説明を始めた。
「あのさ、コンソメは《怖い話をしてると、幽霊が出やすくなる》て、聞いたことある?」
「・・・ああ。怪談中に本物が出たとか、よく聞くな。」
「あれって、あながち間違いでも無いんだよ。」
「え?」
僕が薄塩の方を見ると、薄塩は拾った枝をペン回しの要領で回しながら、続けた。
「えーと、例えばさ、コンソメ。知らない奴らが皆で、コンソメの悪口言ってたら、どう思う?」
「え・・・?うん。普通に嫌だな。」
「だろ?幽霊だってそうだよ、元は人なんだから。」
「あ・・・!」
「自分の悪口を言ってる、勝手にちょっかい出して来たのはそっちなのに。自分が全部悪いような言い方してる。・・・てな。で、気が荒い奴らは、つい手が出ちゃうってわけ。ま、ガチで悪霊化してるのもいるけど。」
「そう・・・なのか。」
「さらには、ずっと寂しくて、自分達の話をされているのが嬉しくて、受け入れてもらいたくて来るのもな。」
「寂しい・・・。」
「どんなになっても、良くも悪くも人間だからな。寂しさも、憎悪も、愛情だってあるよ。」
薄塩は、どこか労るような口調で言った。目を閉じて、溜め息を一つ。
「でもさ、ダメなんだよ。この世の者に、あの世の者が、干渉するなんて。・・・だからさ、おまじないをする。」
「・・・これは、ただの作り話って?」
「そう。話をフィクションとして扱うことによって、干渉しないよう、繋がりを切るんだよ。」
僕等は、暫くの間、黙って縁側に座っていた。先に口を開いたのは、薄塩だった。
「さて、じゃ、ぼちぼち続き、行きますか!」
僕はにこやかに笑う薄塩を見て、何でか少しだけ安心した。薄塩の怪談が、始まる。
「これは、ただの作り話なんだけど・・・」
作者紺野
どうも。紺野と言います。拙い文章力ですみません。薄塩のことは、他にも色々書きたい事があったのですが、今回は取り敢えず出会いの話にしました。この頃の僕はまだ薄塩が《見える》ことを知らなかったので、「じつは薄塩は人間じゃないのかもしれない・・・?」なんて思っていました。更に、この頃は出会ったばかりなので、実は二人ともかなり猫を被っています。なので、だんだんキャラが崩壊していきますが、それが本性です。登場人物もまだまだ増えます。よかったら、読んでください。