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ガク「いいかい?次にピエロが現れても、動じるな。怖いと思ったりしたらピエロは更に力を増すからね~。次、君たちの誰の前に現れるかまでは俺にも分からないけど、強くなれ。爺さんの敵を打ちたいならピエロに勝て。それがピエロをやっつける方法だ」
…やっと光が見えた。
住職さんの亡き後に突然現れたこの男…
ガクさんがその方法を見つけてくれたのだ。
やっと…やっと終わる。
ここまで一緒に闘ってきた住職さんはもういないけれど…
これ以上犠牲者は増やしたくない…
ここにいる全員、誰一人欠けることなくピエロに勝ち、住職さんに報告するんだ!
!?
ヤバイ…、この感覚…
ピエロが現れる…
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ポポーン ポポポーン
ポポーン ポポポーン
!?
忘れもしないこの音…
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ここは!?
懐かしき、恐ろしい思い出のある遊園地です。
起きていたはずなのに、いつの間にか夢の中へ強制的に連れてこられてしまったようです。
『ギヒ』
ッ!?
耳元でピエロの声が聞こえ、辺りを見回したがピエロの姿はない。
落ち着け…私。
動揺しちゃダメだ。
怖がっちゃダメだ。
頭では分かっているのに、私の心臓は激しく脈を打ちます。
ドクン ドクン - - -
お願い!静まって!!
自分の心臓に言い聞かせる。
『長かったなァ? マイィィイ♪』
ピエロの不気味な声がまた耳元で聞こえた。
ッ!?
しかし周りを見渡しても、やはりピエロの姿はない…。
「どこッ!?…どこにいるの!?」
私は大きな声で叫びました。
『イヒヒヒヒヒ♪ ギヒヒ ヒャハハハハ♪』
私の様子をどこからか見ているのか、今度はフザけた笑い声が遊園地中に響いた。
『 お前は最後だァ♪ これから起こる事 しっかり見ておくんだなぁァア ど~れどれ♪誰からにしようかなァァ~』
姿は見えないけど、ピエロの気配を近くで感じます。
もの凄く怖くて、自分の身体が震えてしまっている事に気付き、震えを止めようと必死に身体に力を入れましたが止まりません。
むしろ、震えが酷くなってきました。
「止まってッ…お願いッ!!…」
いつの間にか私は泣いていました。
呼吸も乱れてきて、怖がっちゃいけないと思えば思うほど、悪循環になります。
こんなんじゃ殺されちゃうよ…。
『キヒヒ 安心しろォォオ お前はまだ殺さない♪ それまでせいぜい残された時間を大事になァ』
!?
ピエロの最後の言葉と同時に、意識が遠のく感覚に襲われました。
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母「マイッ!しっかりして!!マイ!」
ハルナ「マイちゃん!!」
ケンタ「マイ!起きろよ!!マイ!」
リョウ「マイ~!負けるんじゃないぞ!!」
暗闇の中でみんなが私を呼ぶ声が聞こえてきました。
ゆっくり目を開けると、みんなが私を覗き込んで涙を流していました。
私が目を開けると、お母さんは私をギュッと力強く抱きしめてくれました。
私「…無理、無理だよ、怖がっちゃいけないなんて…私、ピエロに勝てる自信ないよ…」
バタンッ!!
「ケンタッ!?え!?ケンターー!!」
突然何かが倒れる音と共にケンタ君のお母さんが大声で叫んだ。
見るとケンタ君が倒れています。
痙攣を起こし、ゴツゴツと音が鳴るほど頭や足を硬い床にぶつけています。
ガク「こりゃまずい…、その子をここに」
そう言って、座布団を並べて作った即席の布団に移動させ、様子を伺った。
ガク「始まったな…。まずはこの子が選ばれたんだ…。」
ケンタ母「この子は…、ケンタはどうなるんですか!?」
取り乱し、ガクさんに泣きながら詰め寄るケンタ君のお母さん。
ガク「こればかりは、本人を信じる他ない。この子が、ピエロの恐怖に打ち勝てるか…」
!?
またこの感じ…
視界が徐々に暗くなり、みんなの声が遠ざかっていく…
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ポポーン ポポポーン
ポポーン ポポポーン
!?
「ケンタ君ッ!?」
変な音が響き、周りを見渡すと、教室の片隅にケンタ君が立っていた。
「ケンタ君!大丈夫?」
私は呼びかけながらケンタ君の傍に駆け寄った。
しかしケンタ君は私に気づいていない様子…
気付いてないというより、見えていないし、聞こえていない、というのが正解かもしれない。
ケンタ「どこだよ!?出てこい!!俺がお前なんか倒してやる!!」
ケンタ君はキョロキョロしながら大きな声で叫んでいる。
恐らくピエロに対して言っているのだろう…。
しかし、威勢のいいことを言ってはいるが、震えているのがすぐにわかった。
私「ケンタ君!ダメ!!怖がらないで、ピエロを挑発しないで!!」
私が必死に止めても聞こえていない。
ケンタ君を抑えようとしても、すり抜けてしまう…。
私はここにいてここにはいないのだ…。ケンタ君に対して何もしてあげられない。
きっとピエロは、私に見せようとしているのだ。
この後起こる悲劇を…
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『よう ボウヤ~♪ 久しぶりだなぁァア? ギヒヒ』
!?
ようやくピエロが姿を現した。
ケンタ「何笑ってんだよ!!お前なんか全然怖くねーよ!」
必死にピエロに威勢を見せるケンタ君。
しかしピエロは、そんなケンタ君の姿を見てケタケタ指差して笑っている。
!?
突然ピエロが私の方に顔を向けた。
右手をピースして自分の両目に指先を向け、その後ケンタ君を指差したピエロ。
《しっかり見てろ》とジェスチャーで言っているのだ。
するとピエロはケンタ君の方に向き直し
『さぁてぇ、何して遊ぶぅぅう?』
頭をカクカク左右に倒しながらケンタ君に近づいていくピエロ。
私「ケンタ君、逃げてーーーー!!」
私の声はケンタ君には聞こえない…。
ケンタ「お前となんか遊ばない。殺してやる!!」
言葉とは裏腹に身体はもうガクガク震えているケンタ君。
そう言って、ファインティングポーズをしている。
『お? 気が合うねぇ♪ 僕もお前を殺すんだぁぁ♪ バトルロワイアルだ!!』
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そう言って、ピエロはコミカルな動きをしながら自分の身体に色々な武器を装備し始めた。
『殺されたら負けね♪あ、武器は持ち込みOKだよ!』
そう言って鼻歌混じりにどんどん武器をいたるところから取り出し始めた。
ケンタ「ずるいぞ!俺は武器なんて持ってきてないぞ!」
今にも泣き出しそうな表情のケンタ君。
『あ、そう… ふ~ん… じゃあ頑張って逃げて♪』
無の表情でそう言い捨て、また楽しそうにナイフ、槍、弓に日本刀…
殺傷能力が高い武器を身体に纏い、敬礼をしたピエロ。
『じゃあバトルロワイヤル始めるよ~? 殺されたら負けだからね~』
ケンタ君は武器なんて何一つ持ってないのに…
ケンタ「卑怯だぞ!!無防備な子供相手に、そんなに武器持ちやがって!!」
『ハ? ハ? 殺し合いに卑怯も何もねーんだよォォオ 死にたくなきゃ逃げるんだなぁァア イヒヒヒヒ♪』
そう言ってピエロは腹を抱えて笑った。
ケンタ君は下唇を噛み締め涙を袖で拭い、走り出した。
私、「ケンタ君!…本当最低、お前なんか地獄に落ちろ!!」
私はピエロに向かって叫んだ。
『地獄? 俺は地獄の番人だよォォオ? 地獄は俺にとっては天国さァア♪』
絶対にケンタ君を死なせない…死なせたくない。
でもどうしたらいい?
私はケンタ君に触れられない…
ケンタ君に私の声は聞こえない…。
私はひとまず、ケンタ君を追いかけた。
…あれ?
なぜだろう…
ケンタ君が今いる場所がわかる…
図工室の机の下に隠れて身を小さくしているのが分かる。
私はすぐにそこへ向かった。
…いた。
机の下で丸くなり、身体を震わせている…
ケンタ「ヤベェ…怖えーよぉ…、怖がるななんて無理だよぉお…本当に俺死ぬのかよぉお」
ケンタ君はボソボソと小さい声で言っていた。
私「…ケンタ君」
『もーいーかい♪ イヒヒヒヒ ギヒヒ 分かるぞぉお お前のいる場所がぁあ』
すぐそこの廊下ではピエロの不気味な声が響いている。
ケンタ君の身体は尋常じゃない程震えている…。
ドスッ ドスッ ドスッドスッ - - -
!?
鈍い音が聞こえ、何が起こったか分からず周りを見渡すとピエロが図工室の廊下側の窓の前に立っていた。
いつの間にか窓は開いていて、ピエロは弓を構えている。
ケンタ君!!?
ハッとしてケンタ君の方に目を向けて私は愕然とした…
ケンタ君の両目、鼻に矢が刺さって貫通している…
「…ッ、いや…やだ、…嘘でしょ?…ねぇ、ケンタ君?」
私の声が聞こえたのか、ケンタ君がこちらを見た。
ケンタ「…マイ?そこにいるの?…俺…どうなってる?メチャメチャ痛いんだよぉ…」
血なのか涙なのか分からない雫がケンタ君の両目から流れている。
「ケンタく…」
ドスッ - - -
私がケンタ君に触れようとした瞬間再び矢が飛んできた。
その矢はケンタ君のこめかみを貫き、その勢いでケンタ君は倒れ、そのまま動かなくなってしまった…。
「嘘…、嘘よね?…」
ピエロは矢が刺さったことをガッツポーズして喜んでいる。
私は血が出るほど下唇を噛み締め、恐る恐るケンタ君に触れてみた…。
!?
触れた…、しかしケンタ君はピクリともしない…。
「イヤァァァァアアアアアアアアア!!!!!!」
私は今まで出したことのない声で叫び、頭を抱えてその場に崩れ落ちるように座り込んだ…。
『ギヒ どうだった?どうだった?カッコよかった? ギヒヒヒヒ♪』
そのすぐ近くでフザけた顔してオチャラケているピエロ。
『ん~、もうちょっと焦らせば良かったなァ 次はそうしよ♪ 楽しみにしてて♪ プラン考えておくから♪』
ピエロの最後の言葉と同時に意識が遠のき始めた。
戻れる…
ケンタ君…どうか無事でいて…お願い…
何度も繰り返し祈りながら私は意識を失った。
母「……イ?マイ!?」
ケンタ母「…ンターー!!ケンタ!起きてー」
遠くから私とケンタ君の名前を呼ぶ声が聞こえてきた…。
私はバッと目を覚まして、すぐにケンタ君の方に駆け寄った。
今のところ、ケンタ君の顔はなんの異常もない…。
母「…何があったの?」
ケンタ母「マイちゃん!ケンタはどうなったの!?ねぇ!?」
泣いて取り乱しているケンタ君のお母さん。
私は何も言えなかった…。
!?
ケンタ「…母さん?……マイ?…やった、俺、戻ってきた…なんだ、あんな奴怖くもなんともなッ!?…」
グシャッ - - -
ドサッ - - -
ケンタ君は目を覚ました。
その場にいたメンバーがみんなホッとした瞬間だった。
ケンタ母「きゃああぁぁぁああ!!いやぁぁああああ!!……」
ケンタ君の顔がグシャッと見るも無残な姿に変わった…。
一瞬で顔面が血まみれになった我が子を見て悲鳴をあげ、気を失ってしまったケンタ君のお母さん。
ガク「…チッ」
ガクさんは拳を震わせ舌打ちをした。
リョウ君は恐怖で震え上がり、固まってしまっている…
ハルナちゃんは泣きながらケンタ君の名前を呼び続けていた。
私は、頭が真っ白になった。
あんなに近くにいたのに…
さっきまで元気よく喋ってたのに…
私、何も出来なかった…
ガク「マイ!!やめろッ!もう何も考えるなッ、これで終わりじゃないんだ、まだ守らなきゃいけない友達がいるだろう?お前がそんなんでどうする?強くなれ!!」
…ガクさん
さすがの私も、ガクさんが心を鬼にして私に喝を入れてくれているのが分かった。
いつの間にか頬を伝っていた涙を拭い深呼吸をして、気持ちを切り替えた私。
ガクさんの言う通り私にはまだ守らなきゃいけない人がいる…
これからも過酷な戦いが続く…
住職さん…
…ケンタ君、守れなくてごめんね…
私、強くなるから…だから、見守って下さい…
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『キヒ♪ 次は誰にしようかな~ 』
作者upa
最終決戦も前編と後編の2部作にしようと思っていましたが、
そうすると30分超えてしまう長編になりそうだったので、分けることにしました。
申し訳ございません(´;ω;`)
気長に待って下さると助かりますヽ(´▽`)/
『ピエロシリーズ』6作目になります♪
いつも閲覧してくださっている皆様、暖かいコメントをくださる皆様に支えられ、短いスパンで3作投稿できました!心から感謝致します!!
まだまだ未熟者のupaですが、今後もよろしくお願い致しますm(_ _)m
※※コメント欄にネタバレ含んでますのでドキドキしたい方はコメントは読まず、本編をご覧ください♪