リサイクルショップ〜シリーズ14 コンビニ強盗〜

中編5
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リサイクルショップ〜シリーズ14 コンビニ強盗〜

俺の名前は「皐月 未来」

コンビニで働き始めて、五ヶ月が経つ…

不思議な客が多いので、退屈はしないが、どうも接客というのは上手く出来ない。

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「なんだこりゃ⁉︎コピー機が壊れてんじゃねえか!!」

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アロハシャツに短パン、サングラスにリーゼントと言った、ちょいワル親父ならぬ、ちょいワル兄さんが、コピー機を蹴っている…

いや、あんたが壊そうとしてるんだよ…

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「お金…入れました?」

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仕方がないのでそばに行き聞くと、ビックリしたような顔をして

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「な…なに?金が必要なのか?」

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と貧乏人のような事を言った。

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「そこにやり方書いてあるんで…まず、お金を入れていただいて…その後…」

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「文字くらい読めるわ馬鹿!……えぇと…っ!!

なにをぉ!?カラーは一枚だけで、こんなにするのか?…くっ…そ…あのババァぼったくってやるからな…」

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などと、独り言をブツブツ言いながら、恐る恐るコピー機のボタンを押していた。

壊されやしないか見ていると、他の客がそれをいい事に万引きを働こうとしている…

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「お客さん…それ、お金払っていただかないと持ち出せないんです。」

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すると、

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「そ…そんな事知ってるよ…今外で仲間が居たもんだからさ…ほら」

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言い訳が酷すぎる…さっきから外に歩いているものなど、いない…

更に、胡坐(あぐら)をかき立ち読みならぬ胡座読みを試みる輩がいる…

くつろぎすぎだろ…

普通に買い物をしているのは、このコンビニの常連のリサイクルショップの店主くらいだな…

弁当とお茶を手にレジに来て

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「温めは要らない…箸もね…」

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と、紳士な感じ。

この人、誰かに似てる…

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『なんとか… 聡(あきら)』

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なんだっけ…?

ルージュの指環って歌、うたってる俳優なんだけど…

喉の辺りまで出かけてるのに…

忘れた…

明日、姉貴にでも聞いて見よ。

そんな事を考えてる隙に、さっきの万引き野郎が本当に万引きをしやがった…

咄嗟に

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「あっ!お客さん!?お釣りお忘れですよ!」

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と言ったら、止まった…

馬鹿だこいつ…

しかし、何なんだここのコンビニは…

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夜、11時を過ぎた頃、仕事もそれほど忙しくもないので、ぼうっとバカみたいな客達を眺めていると、そこに奇抜な格好の輩が乱入してきた…この表現が一番適している、客とは言えない人物…

ヘルメットは被ったまま…

夏だというのに黒ずくめの長袖…

ファッションがなんとも、分かりやすい。

強盗に間違いないだろう…

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「うっ…動くなぁ!」

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と、俺にナイフを突き付ける…

(やめてほしい。先端恐怖症なんだよ…)

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「かっ…金を出せ!」

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動かないでいると…

強盗は、意味の分からない事を言う。

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「おっ…お前…なっ…なに落ち着き払ってんだ?ここっ…これが見えないのか!?かっ…顔色一つ変えねぇとは、いっ…いい度胸だな!」

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ナイフを揺すり、自分の有利を主張する…

俺は落ち着き払ってなんかいない…

結構、顔だって引きつってると思う…

それに、金を出せと言われたが、先に動くなとも言われている…だから動かない…ただそれだけ。

その前に、この強盗…

店に入る時に、世からぬ者も一緒に連れてきている…

ソレは彼をジッ…と見つめたまま、ユラユラと、佇んでいる…

なぜか分かるのだが、彼(強盗)に取り憑いているものじゃない…

下手に動けば、こっちに乗り換えるやもしれない…

余計に動けない…

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俺には霊が見える。

しかもはっきりした形で…

小さい頃からなので気にはしていない…

見たくはないけど見えるものは仕方が無い。

普通にその辺を歩いている者や、下手をすれば話しかけてくる者までいる…

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強盗と一緒に来たやつは、冬の装い。

グリーンのスタジャンにジーンズ…

カラフルな手袋、それにマフラーを着けている…

服は所々破け、左肩から腕にかけて真っ赤な血で染まっている…

頭は、頭蓋骨が剥き出しになり、左目が飛び出している…

事故により亡くなった者と推定された。

裏で休憩していた先輩が、監視カメラのモニターを見たのか、恐る恐る出てきた。

しかし、何やら不思議そうにしている…

レジ台に隠れるようにヒソヒソ声で声をかけてきた。

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「おい…二人じゃないのか?」

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カメラにもあいつが映っているのか…それほどハッキリ映るということは、だいぶ念が強い悪霊のようだ。

何と無く、強盗の方はどうでも良くなったので、冷静になれた…

レジを開ける。

万札の入っているところだけ鷲掴みに札を取り、強盗に渡した。

強盗はというと、あたふたと札を受け取り、慌てた様子で出て行く…

だが…

おい…

悪霊ちゃん…

ついて行かないの?

何でそこでぼうっとしてるの?

行きなよ…

行かない?

あっそう…

どうしたものか…

出て行った強盗を見送るように、その場で立ちすくんでいる…

先輩は、ホッと息を一つつき

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「怖かったぁ…店長に電話しなきゃな…なぁ!どうしたの?」

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などと、呑気なことを言っている…

強盗なんかよりも、こいつのがやばい…

出来れば、俺には憑いて欲しくない。

先輩なら、鈍感だし大丈夫だろう…

などと、悪いことを考える。

しかし、何て事だ…

こっちを見ている…

恨めしそうに…

俺の「見える」ことに気がついてしまったらしい…

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「先輩?俺の前に立ってもらえます?」

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「は?何で?」

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つべこべ言わず立ってくれ…

こいつ…俺に取り憑くつもりらしい。

悪霊の身体がこちらを向く…

早くしろ!

先輩には悪いと思いながらも、叫ぶようにせがんだ…

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「早くしてください!!時間がないんです!」

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いつも静かな俺が叫んだので驚いたのか、分かったよ…と前に立つ。

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………

間一髪だったようだ…

先輩が先輩じゃ無くなっている…

何故か、そのことが分かる…

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「どうして、成仏しないの?」

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こういう時は冷静な対処が不可欠だ。

先輩の顔をした悪霊が喋る…既に先輩の声とは別物だ…

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「彼女が…待ってる…」

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なるほど…女の所に行く途中、事故で亡くなったのだな…

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「大丈夫…彼女なら君の事をすでに迎えに来てるよ…」

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俺は既に、葬儀も済んでる事を見越して発言している。

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「え?どこ?直子?どこ?」

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知らねえよ…兎に角、店から出て行ってくれ…

思いが通じたのか…出口に向かう。

ホッと一息つく…

と…

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「皐月…てめえ、ぜってぇぶっ飛ばす…」

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と、先輩の声で言われた…あれ?

Concrete
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ヘイ、ロビン!秋の暮れだ…そう言ってもらえると嬉しいぜ!なんちゃって…えへへ(照)

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やあロビンミッシェルだ。

調べたら「ルビーの指環」だったよ!
中途半端な指摘をしてしまって申し訳ない…

このシリーズは全てが繋がっていて面白い。
描写に嫌味もなく読みやすいし、才能が羨ましいよ。また次も楽しみにしている…

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ロビンミッシェルさん、その通り!ご名答!あれ?字そっちだっけ?ウチにあるレコードには『ルビーの指環』ってなってたけど…

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やあロビンミッシェルだ。
作中に出てきた「ルージュの指環」とは
もしや寺尾氏の「ルビーの指輪」ではないかな? 間違ってたらすまん!

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