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今から私が話すのは、とある小学校で起こった話です
ある小学校に一人の少女が転校してきました
転校生の少女は至って普通の女の子でしたが、一つだけとても変わった点がありました
彼女は何故か常に頭にオーバーヘッド型(よくあるアームを頭の上に乗せるタイプ)のヘッドホンを付けていたのです
何かの音楽再生機器に繋いでいる訳でもない上、授業中や登校中も常に頭からヘッドホンを外さずにいる少女に生徒達はすぐに疑問を投げかけました。
「・・・・これお母さんが死んじゃうすぐ前に買ってくれた大切なものなの。これ付けてるとお母さんの声が聞こえてくる気がして落ち着くんだ・・・・」
少女はつい最近両親を亡くし、親戚に引き取られる形でこの学校に転校してきたのでした
ヘッドホンを常に付けている事を学校側が黙認していたのも、彼女が精神的に不安定な状態であった為だったのです
それを知った他の生徒達は、それからあまりヘッドホンの事については触れないようにしてあげました
しかし同じクラスにいた一人の男子生徒だけは彼女が特別扱いされているのが気に入りませんでした
ある日彼は授業後の休み時間中に突然彼女のヘッドホンを鷲掴むと、強引にそれを奪い取りました
「やめて!返してっ!」
「気持ち悪いんだよお前!いい気になってんじゃねーよ!」
そう言ってヘッドホンを奪い返そうとする少女の手を払い除け、奪い取ったそれを自分の頭にすっぽりと被せました。
次の瞬間、けたたましい悲鳴が教室中に響きわたりました
驚いた周りの生徒達が彼に一斉に注目すると、男の子はふらふらと体を揺らした後に勢いよくその場に倒れこみました
同時に彼の頭に付いていたヘッドホンが外れ、再度教室に悲鳴が響きました
ヘッドホンと同じように、彼の左耳が彼の頭から外れ床に転がったからです
その後、駆けつけた先生方によって彼はすぐに病院に運ばれ、処置が早かった事もあり大事に至る事もなく左耳は問題なくくっついたそうです
それから退院した彼が彼女にちょっかいを出す事は二度とありませんでした
彼が友人にだけ教えた話によると、ヘッドホンを奪って自分の耳に掛けた時に知らない女性の声が自分の耳に聞こえてきたのだそうです
「・・・・確かに左耳の方から聞こえてきたんだよ。『私の娘に触るな』って」
作者バケオ
久々に投稿します(名前少し変えました)
最近はホント忙しくて、話が思いついても書く暇がないなんて事になりがちでした(^^;
ですが逆に考えて「書く暇がないなら空いている時間で書ける位の短い話にすればいい」って結論に至りました
なので今後は短編中編系で投稿していきたいと思います
時間がなくて辻褄が合わない内容があったりするかもしれませんが、多少は多めにみてやって下さい