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これはとある女子高生を襲った恐怖のお話です
地元から少し離れた高校に入学したAさんは、知り合いが全くいない環境で上手く友人が作れず困っていました
このままではいけないと考えたAさんは、教室でいつも一人静かに本を読んでいるBさんに思い切って話し掛けてみました
すると意外と二人は馬が合い、その日のうちにとても仲良くなる事が出来ました。
Aさんは良い友人が出来た事にほっと胸を撫で下ろしました。
その日の放課後
帰り支度をしていたAさんにBさんが声を掛けました。
「私の家この学校の近くなんだけど、良かったらちょっと寄っていかない?さっき話した本も見せたいし」
Aさんは友人が出来た事でテンションの上がっていたのでBさんの招待を快く受けました
Bさんの家は学校から徒歩十分程と、確かにかなり近い場所にある二階建ての一般的な家でした
玄関を開け先に靴を脱ぎ始めたBさんの後ろでモジモジしていると「遠慮しないで」と手招きをされました
「おじゃましま~す」と少し照れくさそうに挨拶をしながら家に上がると、不意に誰かの視線を感じました
「ひっ!」
玄関から廊下の奥に目を向けると、そこにはドアの向こうから顔半分だけ出してこちらを見ている女の人がいました
「・・・・ただいまお母さん。今日は友達連れてきたの」
まるで幽霊のような生気のない顔の正体はどうやらBさんのお母さんのようでした
「こ、こんにちは・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
Aさんが挨拶してもBさんのお母さんはピクリとも動かず、こちらをじっと見つめているだけでした
「・・・・ごめん、先に部屋行ってて。階段上がって左側が私の部屋だから」
そういうとBさんはお母さんのいる部屋の方へといき、ゆっくりとドアを閉めました
急に来たのが不味かったのかとか色々考えましたが、ここで待っててもしょうがないので大人しくBさんの部屋まで行って待っていました
しかし十分以上経ってもBさんが部屋に来る気配がありません
不安に思っていると突然下の階から「パリーン!」とお皿か何かが割れるような音が聞こえてきました
(何?何があったの?)
Aさんが訳も分からず部屋の中央で怯えていると、少ししてやっとBさんが部屋へとやって来ました
「ごめんね、待たせちゃって。うちのお母さん今ちょっとノイローゼ気味だから」
「えっ!? ちょっ、Bちゃんそれ!」
Aさんは思わずBさんの頭を指さして声を上げました
Bさんのこめかみ付近から赤い色の液体がダラダラと垂れ流れていたのです
「あぁ、これ? 大丈夫よ、ケチャップだから。心配しないで」
Bさんの答えにAさんは我が耳を疑いました
それはどう見てもケチャップなどには見えなかったからです
嘘をつくにしても下手過ぎます
けれどBさんは部屋にあったタオルを頭に当てると「そうだ、本を見せるんだったわね」と何事もなかったかのように振る舞い始めました
Aさんは正直「引いて」しまいましたが、何か難しい家庭の事情があるんだろうなと思いあまり詮索等はしないようにしました
「えっと、あの本は確かこの棚に~」
コン、コン、コン
部屋のドアがゆっくりと三回ノックされ、瞬間Bさんの動きが止まりました
何が起きたか解らず固まっているAさんをよそに、Bさんはふらりとドアの方へと向かいました
「・・・・ごめんね、ちょっと呼ばれてるみたいだから」
そういうとBさんは重い足取りで下の階へと降りていきました
数分としないうちに下から怒鳴るような女性の声と何かが壁にぶつけられるような音が聞こえてきました
(・・・・駄目だ・・・・もう駄目だ・・・・うん、帰ろう!)
さすがにAさんももう限界でした
Bさんには悪いけど、そっと出ていって気づかれないうちに帰ろうと考えました
静かに部屋を抜け出すと階段を音を立てないように慎重に降りていきました
その間も物音や怒声はずっと続いていました
しかしAさんが一階の玄関前まで辿り着くと、あんなに五月蝿かった物音はピタリと止みました
(・・・・もう終わったのかな。だとしたらやっぱりBさんだけでも挨拶しといた方がいいかな?)
そう考えていた時、ちょうどよくBさんが部屋から出てくる姿が見えました
Aさんは慌ててBさんに説明しようとしました
「あ、あのねBちゃん、ちょっと今日は・・・・・・・ヒッ!?」
Aさんの目はBさんの右手に釘付けになりました
彼女の右手には包丁が握られていたのです
赤い液体がぽたぽたと垂れ落ちている真っ赤に染まった包丁が
「Bさん・・・そっ、それっ・・・・・・・・」
「・・・・・・あぁ、これ?」
Bさんはニンマリと笑いながら「大丈夫よ」と言うと、焦点の合っていない目をこちらに向けながらこう言いました
「ケチャップだから」
作者バケオ
幽霊よりも生きている人間の方が怖い『トリハダ』系ホラーです(ちょうど今日、劇場版「トリハダ」レンタルしてきた影響)
実際は恐らく、お話の最後のその後が一番主人公の女子高生にとっての恐怖の瞬間かもしれません
どうすれば彼女はこの後無事に助かるのでしょうかね?
私の中では
① すぐ逃げる >>> 後ろから刺される
② 説得する >>> 逆上して刺される
③ 戦う >>> 勝てない刺される
って感じで詰んでるイメージです