とある男性を襲った恐怖体験のお話です。
ある日の夜の事。
サラリーマンのAさんは会社からの帰宅中に突然の腹痛に襲われました。
腹に響く痛みは強烈なものでとても家まで我慢出来そうになかったので、近くにあった公園のトイレに急いで駆け込みました。
すぐに個室に入り和式便所に跨って用を済ませ事なきを得ると、ふと目の前の壁に書かれている落書きが目に入りました
[右みて]
太めの黒マジックか何かで書かれた子供っぽい文字でした。
目に入った命令に反応してしまい右側にある個室のドアに目をやると、同じ筆跡のような落書きがまたありました。
[左みて]
なんとも小学生位の子供が書きそうな内容の落書きでした。
案の定、個室の左側の壁に顔を向けるとまた同じような落書きが見つかりました。
[上みて]
(・・・・ん?上?)
小首を傾げてから上を見上げるとトイレの個室の天井に[下みて]という落書きが書かれているのが見えました。
(おいおい、どうやってあんな高い所に書き込んだんだ?)
少し気にはなりましたがその時はあまり深く考えず、とりあえず床を探してみました。
すると右足のつま先あたりに[上みて]という文字があるのを発見しました。
(なんだ、また上か)
もう一度天井に目を戻すと、先程の落書きの右横に[もっかい下みて]という文字がありました。
(ありゃりゃ、なんか急にテキトーになってきたな。飽きちゃったのか?)
笑いながら視線を下ろそうとした時、男性はある事に気づきました。
(あれ?・・・・俺がさっき天井の落書き見た時、あの位置には何も書かれてなかったような・・・・)
おかしいなと思い下を向かず顔を上げると、そこには信じられない光景がありました。
真冬だというのに半袖短パンで坊主頭の小学校2年生位の男の子がそこにいました。
その子はまるで道路にチョークで落書きをするかのように、天井に両膝をついて顔を地面(天井)に向けたまま何か文字を書いていました。
まるで重力が反転してしまっているようなその光景に男性は思わず「うわぁっ!」と驚きの声をあげてしまいました。
すると子供の顔が急にだらりと垂れ下がり、天井から吊るされた大きな豆電球のようになりました。
ぶら下がった逆さまな子供の顔を見て、男性は恐怖のあまり腰を抜かしてしまいました。
その様子をみて少年の顔はニヤニヤと笑いながら男性に言いました。
「まだ見ちゃ駄目だよ」
作者バケオ
前回「怖い」や「コメント」を下さった皆様、ありがとうございました。
今回はまたいつもどおりの怖い話に戻ってしまいましたが、本来こっちが通常運転なので(^^;)
どうでもいい事ですが、ここのサイトのイラストは結構豊富で意外と内容と合う絵がすぐ見つかるのでビックリします。